15.遭遇
「どうしたの?」
私が急に黙ったからか顔を覗いてグレイ様から訪ねられた。
グレイ様の瞳に私が映ってるのを見てますます緊張してきた。
「あっあの………その………すっすっす……………。」
なにこれ!なにこれ!
好きって言うのにこんなにも勇気がいるの?!
初めて自分の気持ちを言うことに勇気がいることを知った。
うぅぅぅぅ。。。
「リィ、具合悪い?大丈夫?」
やばい!体調の心配をされだした。
早く言わないと、せっかくのデートがお開きになってしまう。
グレイ様にとって今日の思い出がヨダレを垂らした変顔の私になってしまう!
断固阻止せねば!!!!
「ちっ……違うんです。グレイ様にお伝えしたいことがありまして……。」
「えっ?何かあった?……もしかしてサムウィルかサラモン令嬢のこと?」
「えっ?二人が何かありましたか??サラモンご令嬢とは文通しておりますが……。」
なになに?私の知らないところで二人と何かあったのかな??
気のせいかグレイ様の笑顔が張り付いた笑顔に感じる。
「何もないよ。サラモン令嬢との文通は楽しい?」
「はい。今度サラモン家主催のお茶会があるらしく、それに誘われていて親しいご令嬢にご令息が来るらしいです。」
サラモンご令嬢は恋のライバルだが、さっぱりした性格で話しやすいのだ。
「へぇ~。その話は初耳だな。行くの?」
「今日お話しようと思ってて…まだ返事してないのです。行ってもよろしいですか?」
「そうだね…行っておいでよ。」
「本当ですか?王妃様のお茶会以来お会いするので楽しみです~。沢山お話ししてきますね。」
「楽しんでおいで。どんなお茶会だったか聞くの楽しみだよ。」
ジーと見つめられ見つめられ見つめられ…………てどんだけみられるの!?えっ?なに?行くの本当は嫌なのかな~……。
暫くするとにこっと私に笑いかけてくれた。
「私グレイ様が嫌がることしたくありません。嫌な思いさせてまで何かをしたいと思いませんので、しっかり言ってくださると嬉しいです。」
グレイ様の瞳をしっかりと見て伝えた。
確かに友達は欲しいがグレイ様に嫌な思いはさせたくない本当の気持ちだ。
少し驚かれた表情をしてるがさっきよりも優しい笑顔になった。
「リィは妙に核心を突くときがあるね。…ありがとう。リィ大好きだよ。」
不意討ちの好きの言葉にドキンとする。
ドキンじゃない!なにやってるんだ私!告白するって決意してて先に言われてどーする!
グレイ様をドキンとさせるんじゃなかったの!勇気を出せ!
「ふふふ。グレイ様のことはしっかりと表情見てますからね。そっ、それで……あの…………。」
「今日は一段とやけにしどろもどろだね。はい。これ食べて落ち着こうか。」
クスクス笑いながらカップケーキを私の口に運んでくる。
……………はい。さすが王宮の軽食ですね美味しいです。美味しいんですが今は味わってる場合ではないのです。
「…カップケーキ美味しいです。グッグレイ様、すっ………す」
「キャーーーーー!!」
私の声に重なって悲鳴が聞こえてきた。
声がした方を見ると少し離れたところで女の子が叫んでた。
その女の子を見てどくんと大きく心臓が鳴った。
見たことない女の子なのになんでこんなに苦しくなるんだろう。
考えたくないと頭で拒否してるけど考えずにいられない。
遠くから見てもわかる。
ピンクのふわふわの髪の女の子。
近くで見ると容姿端麗なんだろうと思うくらい遠くから見ても綺麗な子。
………………………間違いない、ヒロインだ。
グレイ様が護衛騎士の一人を呼び女の子のところへ行くよう指示している。
グレイ様の目はヒロインを見ている。
もっと………………先の話と思ってたけど、こうして現実にグレイ様の目にヒロインが映る姿を見るのって胸が張り裂けそうだ。
それに……………もしかしてこれってイベントなのかな?
グレイ様とヒロインの出会う。。よくヒロインと攻略対象の王子様って小さい頃会って助けたことあります的な展開があったような。。
カップケーキを落として初めて自分の手が震えてることに気づいた。
告白は………やめよう。
今助けに行ってるのはグレイ様じゃない。
話をしてもいないし、近くで見たわけではない。
間接的とはいえ…………グレイ様とヒロインは出会ってしまった。
グレイ様の目にヒロインがどう映ってるのか…気になってしかたない。
「リィ、ボーとしてるけど大丈夫??あの女の子大丈夫だったみたいだよ。」
グレイ様の言葉でハッとした!
「あっ…………それはよかったです………。」
動揺を悟られないように笑顔で返事をするがうまく言葉が出なかった。
グレイ様…ヒロインに出会ってしまったこれからも気持ちが変わらず好きでいてくれますか…………。