13.グレイセド2
大きな音がしてリィが椅子から落ち頭を打ったのを見て焦った。何故こうなったんだ!もっとしっかり見ておけばよかった……ごめん。
周りの大人達も子供達も駆けつけてきて心配そうに見ている。
僕も心配でリィを覗き混むように呼び掛けてると、リィがふにゃりと笑って僕の首に腕を回してぎゅっと抱きついてきた。
抱き締めた手を緩めたかと思ったら嬉しそうに頬ずりにキスをされて、一瞬何が起きたかわからず固まってしまった。
リィは満足そうにまた頬ずりをして腕を下ろさずむしろぎゅっと腕を首に搦めて僕の胸に顔を埋めた。
僕はリィが落ちないように抱き締め、顔が真っ赤にならないように『冷静になれ!』と心で叫んだ。
子供は真っ赤な顔をして大人達は微笑ましく笑って見ていたが、お母様とウォレット婦人はニヤニヤしながらこっちを見ていた。この二人は面倒なことになるので無視しておこう。
リィを見てもらうため、ウォレット婦人がリィを抱き抱えようとしたがしっかりと腕を絡めて離れないのを見て、少しビックリしたあと微笑んだ。
「グレイセド王子すみません。リィが離れませんのでこの状態で診察してもらいます。そのままよろしくお願いします。」
無意識に僕から離れないリィに嬉しさが込み上げてくる。
僕の存在はリィの中で少しは大きくなってるのか…と思えてしまい嬉しくてたまらない。
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数分後意識を取り戻してきたようで、僕の腕の中でリィが挙動不審になっているのが、もう可愛くて可愛くてたまらない。
リィは覚えてるようで羞恥で悶えてたが、行動を覚えていたことに僕は嬉しかった。
僕に嫌われたくないと泣き出すからなにかと思えば、変態など思うわけないじゃないか。僕の方が貪欲……リィへの気持ちが強いのに。
まだ僕がどれほどリィを想ってるかわかってないね。
日々増すばかりだよ。
サムウィルの件のことを聞くと、不安からの行動だったことがわかった。リィは時々飛んでもない発想をするな。
こんなにリィのことしか見えてないのに不安がる必要ないんだよ。
リィなりに考えての答えだからそれを無下には出来ないが、僕以外の男が関わってるなら話は別だ。
僕のことをまだわかってないんだね。
しかたないから僕がいるときはいいけど、僕がいないときに僕以外の男と関わらないようにしよう。
これからも態度で示すしかないな。
今もリィのこと好きと態度で示してるが、まだまだ伝わってなかったみたいだ。
これからもっと露骨に示てあげるよ…どれだけ僕がリィのことが好きかを。
リィが僕と離れてると不安だと。。そばにいれば安心すると言った。
望みは叶えよう!即叶えよう!
僕も第一王子として学ぶべきことは毎日山積みだ。
でも、リィが安心できるなら少しの時間も無駄なく注ぎ込むよ。
不安が安心に変わるように、二人の思い出を沢山作っていこう。