109.お泊まり会9
あれから大変だった。
サムウィル様からナージュ様が離れず、結局サムウィル様がそのまま抱き抱えカシリス様と寝室へ連れていった。
あれからグレイ様が離してくれない。
膝の上に座らせようとしたのでさすがに二人の前では恥ずかしいので隣に座ったからか不機嫌である。
いや、実のお兄様の前で恥ずかしいですよ!!
そんな気持ちは今更かもしれないけど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいんです!!
ナージュ様が心配ですが、私も酔いが回ってるのか頭がボーとして身体がふわふわしてるのにグレイ様は不機嫌な顔で……クリスお兄様は呆れた顔で………カペロ様は真面目な顔で………三人からジッと見られてます。
グレイ様は初恋の話で不機嫌なのか膝に座らなかったのが不機嫌なのか……思考がふわふわしてて考えがまとまらない。
「リィ……結構飲んだろ?」
「クリスお兄様……そんな飲んでませんよ。一杯だけです。美味しかったれすよ。ふふふ。」
「飲み慣れないのにそんなに飲んだのか!ここには強いお酒しか置いてなかったはずだが……。」
「そうなんですか?強いお酒って美味しいんでふね~。」
「しっかり話せてないぞ。俺がいない時に飲むのは禁止だ。」
頬っぺたをぷくう~と膨らませてグレイ様を見上げた。
「意地悪ですぅ~。」
「うっ……そんな可愛い顔しても駄目だ。何が意地悪だ!!こんなにフラフラしてとろんとした目をして危ないだろ!!」
シュンと俯いてると、クリスお兄様もカペロ様もグレイ様と同意見だったらしく
「リーゼ、今の状況を見てるとさすがにグレイセドの言う通りにした方がいいよ。クリスや俺の前でもいいけど他の人だと危ないと思うから。」
「そうだよ、リィ。俺たちの前だけにした方がいい。もちろん先程のナージュ嬢もだけれどね。」
「………わかりまひた。」
私そんなに酔ってるのかな……ナージュ様の方が酔ってそうだったからさらに心配になってきた。
「ところでリィ達は何の話してたんだ!?」
「ナージュ様とでふか?ふふふ。グレイ様と言えどももちろん内緒です。」
「ふーん。先程のナージュ嬢はビックリしたな。」
「そうなんです!!ナージュ様ずっと恋い焦がれてたらしくて……酔って爆発しちゃったみたいで……心配でふ。」
「サムウィルは安心だろう。ナージュ嬢には驚いたがサムウィルも気になってたところがあったみたいだしよかったんじゃないかな。」
「クリスお兄様もそう思います?ふふふ。ビックリはしましたがナージュ様の酔いが覚めてからがたのひみです。」
クリスお兄様からサムウィル様がナージュ様を気にしていたと聞いてめちゃくちゃ嬉しい!!
ナージュ様が両思いだと思うと自分の事じゃないのに興奮しちゃいますね。
「リィ、ハイテンションだね。ナージュ嬢と楽しかった?」
「ふふふ。はい、もちろんれす!!楽しすぎて言っちゃいました~カペロ様が初恋だっ……………て…………………………………っっっっっっ。」
「「えっ!?」」
あぁぁぁぁ……なんてこった!!
テンション上がりすぎてポロッと言っちゃった。
酔っていたのがサーーーと引いていくのがわかる。
グレイ様とカペロ様が目を見開きビックリしてる………そうでしょうね。言ったことなかったし。
クリスお兄様はわかってたのか哀れなものを見るような目で私を見ている。
いや、クリスお兄様そんな目で見ないでください。
わかってます。わかってますがついペロッと言っちゃったんです!!
しかも本人達がいる目の前でなんてことをしてしまっただ私!!
「えーーーーーーーーーと………………ナージュ様と楽しく話せてました。友達っていいですね。ふふ。」
なかったことにしよう。
酔った勢いでポロッと本人の前で初恋暴露とかドジにも程がある。
私は何もいってない。記憶から抹消しよう。
何も言ってないよー!何も言ってない!!とみんなに圧をかけながらニコニコと笑顔でいるが、カペロ様はほんのり頬が赤くなっているし、グレイ様はどんどん顔が険しくなるし、クリスお兄様助けてください!!
「リィ………やってしまったな。無理がありすぎる。さすがになかったことにはできてないよ。」
哀れな目をして私の頭をポンポンと撫でながらクリスお兄様が言ってきた。
………………………そうだよね。
さすがに無理があるよね。
はぁぁぁぁ…………………………ここはもうぶっちゃけるしかないのか!?
私も覚悟を決めるときが来た。
「……………………………私の発言で驚かせてしまってごめんなさい。グレイ様にもカペロ様にもきちんとお話をするつもりでした。クリスお兄様はわかってたみたいですが、私がグレイ様に会う以前にクリスお兄様に会いに来ていたカペロ様と会っていて、その時はカペロ様が本当に王子様みたいに優しくてかっこよくて幼いながらも私の王子様でした。初恋の王子様とカペロ様が同一人物なのは最近気づきました。…………とナージュ様と話しておりました。今は自分で言うのもなんですが、この場でいってしまったことの衝撃で酔いが冷めましたが、改めてカペロ様とお話をしたいと思ってます。時間作ってくれますか?」
「リーゼの好きな時に合わせよう。」
笑顔で快く了承してくれたカペロ様。
カペロ様には自分の気持ちをきちんと伝えなけばならない。
「グレイ様、突然聞かせてしまってすみません。」
「カペロ、クリス、すまないがお開きにしてリィと二人にしてくれるか?話がしたい。」
そう言うとグレイ様は私をお姫様抱っこをして行こうとするから
「私歩けます……………よ………………………………………はい、しっかりと抱きついときますね。」
グレイ様を見上げて言いながら拒否るのをやめ、腕を首に回してしっかりとグレイ様にくっついた。
……………だってグレイ様がどす黒いオーラ放出中でとても拒否できる雰囲気ではなかったのです。