105.お泊まり会5
部屋の外で壁に寄りかかり腕組をしていたカシリスを見つけた。
「カシリス知っていたのか?」
「いや………全てをではないが、ナージュがリーゼ様が好きすぎて暴走して申し訳ございません。」
あの冷静沈着なカシリスが薄暗い廊下でもわかるくらい頬が赤くなってるぞ。
ほぼ最初から………あるいは最初からか!?
「カシリスは俺にとっても大切な存在だ。だが次はないぞ。ナージュ嬢には釘を指したがカシリスお前にもだ。それから……………さっき聞こえた声は忘れろ。」
鋭い視線を送って最後は強い口調で念をおした。
カシリスがリィの事を想っているのはわかっていたがまだ諦めきれていないだろうな。
あんなリィが聞こえたらなおさらか…………。
ナージュ嬢の作戦はあの感じだと知らずただ呼び出されてきただけだな。
「………諦めることができたらとっくに諦めてる。想いは募るばかりだ。グレイセド様は残酷だな。」
声震わせながら呟いたカシリスの声を俺は聞かなかったことにして歩き出した。
誰であろうとリィは渡さない。
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「ナージュ様、すっすみませんお部屋の中で……………ところで食事の時思い詰めてましたが何かあったのですか??私でよければ聞きますよ?」
「リーゼ様………その事はもう解決したのでいいですわ。」
ナージュ様が悲しげに微笑まれたように感じたが、触れてほしくないところは誰にでもあるよね………。
「言いたいときがあれば何時でも聞きますよ。私はナージュ様大好きなので一生友達でいたいです。」
「リーゼ様、私も大好きですわ。ずっと友達でいてください。」
「ふふふ。なんだか告白大会みたいになってしまいましたね。」
ナージュ様と顔を見合わせクスクスと二人で笑いあう。
女子会みたいで楽しいです!!
「初めてのお泊まり会が何故か王宮になってしまいごめんなさい。ナージュ様大丈夫ですか?」
「最初は恐縮しておりました。王妃様も国王様とも一言二言しか話したことなかったのですが、雰囲気がよくこの機会を作ってくれたリーゼ様に感謝ですわ。」
にこっと笑顔でナージュ様が話してくれたから本当によかったと安心して自然と笑顔が出ていた。
……………ナージュ様からめちゃくちゃ見られてます。
「リーゼ様、キスってどんな感じですか?」
ナージュ様!?何て言いました?聞き間違い?
考えてなかった言葉が出てきて目を見開いて固まってしまう。
「ナッナージュ様??どうしちゃったのですか?」
「先程、グレイセド皇太子とキスされていて音をたてながらリーゼ様がとても気持ち良さそうだったから…………。」
ぎゃぁぁぁ!!
ちょっと待ってください!!
言い方が生々しすぎて………いや見せてしまって申し訳ないですが、めちゃくちゃ恥ずかしすぎます!
「……………さっきのことは忘れてください。」
「私は経験がありませんの。今までこんなこと思ってなかったですが、リーゼ様の事を見てると気持ち良さそうだったから私も経験してみたく………。」
いやいやいや、ナージュ様どうしちゃったのですか!?
どっから突っ込んでいいのか………自分が気持ち良さそうだったと言われ恥ずかしい上に、ナージュ様が変なスイッチが入ってしまってる。
「コホンッ。私のことはおいておきますが、ナージュ様が本当に好きになった方と経験してくださいね。」
私の言葉に想像したのかボーとした後に顔を真っ赤にされた。
んん?これはもしかして……………。
「ナージュ様、好きな方がいらっしゃるのですか?」
ボッと顔が真っ赤になりナージュ様が狼狽えている。
初めて見た動揺にとっても可愛らしいと私までハイテンションになってしまう。
顔を覆って想い人を思っているのか所作まで可愛らしい。
「そうだったんですね。お相手は………ナージュ様がよろしければ教えていただき恋話ナージュ様としたいです。ふふふ。」
それにしても誰だろう!?
まさかグレイ様!?だからキスを見てしてみたいと思ってしまったとか?
グレイ様ではないとは思うけど、聞くまでは可能性はある。人の心は変わったりするから。
実は諦めきれていなかったとか言われたらどうしよう。。
ナージュ様が恥ずかしそうにそわそわしている姿を見て怖くなり聞いてしまった。
「まさか……グレイ様ですか??」
恥じらっていた顔から一気にスンと真顔になり
「違いますわ。グレイセド皇太子はリーゼ様を小さい頃から溺愛しているではありませんか。そろそろ溺愛されている自信お持ちになって!!私はリーゼ様が幸せなのが嬉しいのです。それにリーゼ様への想いの強さ………腹黒いところは恐ろしいですわ。」
えっ!?最後の方急に声が小さくなって聞こえなかったのですが…………ようはグレイ様ではないと言うことですよね!
「グレイ様じゃないってことですよね。なら………私の知っている方ですか?」
「…………………様ですわ。」
「えっ!?ナージュ様聞こえなかったのでもう一回お願いします。」
「サムウィル様ですわ。」
「えーーーー!!そうだったんですか!?全然気づきませんでした。」
まさか、サムウィル様とは………今日もお泊まり会にいらっしゃってますよね!
少し二人が接近するハプニングあったらドキドキものですーー!
と軽く考えてたら、後に本当にハプニングが訪れることになるとはまだ私とナージュ様は知らず恋話きたーー!!と楽しく話しているのだった。