104.お泊まり会4
「んっ…………グ……レイ様…………。んっ…………。」
グレイ様は私の頭を押さえガッチリホールドしてピクリとも動けない。
グレイ様にされるがまま数分が経過したと思う。
なかなか離してくれず瞑っていた目を少し開けるとグレイ様の顔がアップだ。
………今まさにキスをされてるから当たり前だけどグレイ様の整った顔のアップに目を閉じてるからよくわかる……まつげが長く容姿端麗な人はどんな状況でも見とれるくらい綺麗だと思わず思ってしまい、そんなグレイ様にキスをされてると思うとぶわぁっと気持ちが高まって恥ずかしくて逃げ出したくなった。
瞑ってる目を見つめてるとキスをしながらグレイ様が急に目を開いて瞳が重なってしまう。
なにこれ……なにこれ!!
お互い見つめながらキスってこんなに恥ずかしいの!?
恥ずかしくて目をそらそうとするのがわかったのか今までよりも激しく口の中を貪られる。
「んんんんっ…………。」
逃げたくても逃げれず恥ずかしさから声をあげるが貪られているから声にならずグレイ様の味と舌の柔らかさに翻弄され逃れられなくなる………いや、逃れたくないと思ってしまう。
ヤバイな………この感覚。
グレイ様の味は媚薬みたいに何も考えられなくなる。
瞳と瞳がぶつかり合ってて薄暗い中でもわかるグレイ様から熱のこもった瞳で見つめられると身体がギューーッとなって無意識にグレイ様の首に腕を回して抱きついていた。
………どれくらい立っただろう。
もう何時間もたってるような気分になるが本当は数分なんだろうけど。
ようやく唇を離してくれたが、キスをしてるときからずっと目をそらさずお互いを見つめあっている。
熱のこもった瞳に今はとろんとしたまた違った要素も含まれているグレイ様の瞳を見て更に興奮してしまう。
「リィのとろんとした顔たまらないな。」
私もとろんとしてるのか!!
身体は火照ってるけど自分じゃわからないですから。
グレイ様もとろんとしていてたまらんです!!
「抱きたい…………………。」
熱を帯びた瞳で見つめられながら言われると思わず「どうぞ!!是非お願いします!!」と言ってしまいそうですが駄目です。
「ちょっちょっと待ってください。今は駄目です!!今日はお泊まり会ですよ。私とグレイ様がいなくなるとおかしいです。ねっ!ねっ!?落ち着いてください!?」
お姫様抱っこされプチパニックになりながらグレイ様を見上げ訴えるとクスッと笑い髪の毛を撫でられた。
「安心しろ、わかってるから。はぁ……でも辛いな。」
「グレイ様…………。」
何て言ったらいいのかわからず名前しか呼べない。
だってだって………抱きたくて辛い。と言われて何て答えるのが正解なのぉぉぉ!?
「私ナージュ様のお部屋に行く途中だったので行ってきていいですか!?」
「その必要はないと思うよ。」
「えっ!?どういうことですか?」
「この部屋はナージュ嬢の部屋だからな。」
「…………………………………………はっ!?」
何て言いました??聞き間違いですか!?
グレイ様が言っていることがうまく理解できません。
「ナージュ嬢、もう出てきてもいいよ。」
グレイ様が言ったことが合図のように部屋の電気がついてナージュ様が離れたところに立っていた。
えーーーーと今までこの部屋で何してた?
グレイ様とキスをしてキスをしてキスキスキス…………しまいには私グレイ様の首にしがみついてました。
……………………穴があったら入りたいです。
いや、もう穴を作って入りたいです!!
「ナッナッナッナージュ様……………。」
言葉がでないとはこの事だと身に染みてわかった。
動揺して何から言えばいいのかもわからない。
「急に入ってきたかと思えばイチャイチャ始めるから私存在を消すしかありませんでしたわ。」
…………そうですよね。
急に入ってきてこんな光景を一時見せられると対処に困りますよね。
顔から火が出てるんじゃないかと思うくらい熱いです。
「ナージュ様、変なもの見せてしまってごめんなさい。…………グレイ様知ってたんですか?」
グレイ様は不適な笑みで私を見ていて…………知っていたのね。
「酷いです……………友達に見られて恥ずかしいです。」
もうグレイ様もナージュ様も見ることができず、両手で顔を覆って俯くことしかできない。
「リィ、ナージュ嬢は何とも思ってないよ。むしろこうなってよかったと思うだろうね。」
ん?んんん?グレイ様の言ってることがよくわかりませんが、ナージュ様が気にしていないと優しくフォローしてくれたんですかね?
私がよくわからず首をかしげてると、
「少しナージュ嬢と話をしてるといい。俺は少し抜けるから後でリィを迎えに来るよ。王宮とはいえくれぐれも一人で出歩かないようにな。」
おっ怒ってたんですね!?
私が一人で部屋を出たことに…………グレイ様は心配性ですよ。
でもそんな優しいところも好きなんですけどね。
「わかりました。」
笑顔で言いながらコクリと頷くと優しく微笑み返され私をソファーに下ろし、ナージュ様に私を後で迎えに来ると伝えとくと言って離れていく後ろ姿を『グレイ様は後ろ姿もかっこいいな。』などとお気楽に見つめていた。
「ナージュ嬢、わかっただろ?リィは諦めろ。部屋を暗くして本当は誰とリィを甘い雰囲気にしたかったんだ?」
「そっ…………それは…………。」
「いいか。ナージュ嬢はリィの友達だから手荒なことはしたくない…………がまたくだらないことを考えたら容赦しないから。」
ん??どうかしたのかな??
グレイ様が出ていかれたのにナージュ様はその場で立ち尽くしていた。
「ナージュ様どうかされましたか??」
「リーゼ様はグレイセド皇太子に本当に愛されてるわね。ふふ……カシリスお兄様も私も諦めるしかないのね。」
近寄って話をかけるとナージュ様ハッとして私を見て少し悲しげに呟いた。