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10.お披露目4

「リィ、終わった後で二人だけで話をしようか。」


見学に行くことになった後から不機嫌なグレイ様からそう告げられた。

わっ…………私何かやらかしてしまった??


「はっはい。」


目を見れずグレイ様に返事をしたが、頭の中は何がいけなかったのかフル回転中だ!

しかし……残念なことに私の頭は弱い!わけがわからない。

こうなったら怒られる覚悟でグレイ様にきちんと聞こう!!



―――――――――――――――――――――――――――

…………………………………………………………グレイ様。。

笑ってるけど笑ってない。。

事態は深刻なのかもしれない。

もしかしたら私知らないとこで怒らせるようなことして愛想つかされたのかな…………。

悲しい……寂しい…………。

衝動でお菓子をいっぱい食べてしまう。

悲しいことに…悩んだりすると食べてしまう。。

美味しい……のに悲しい。。

ふと、空を眺めると澄みきった青空に二匹の鳥が羽ばたいてて恋人同士かなぁ~とボーと眺めていたら体が傾いてしまった。

ヤバイ!!椅子から落ちちゃう!!


思ったときは遅かった。

がぁぁん!!音と共に頭に強い衝撃が響いた。


――――――――――――――――――――

――――――――…………


「ィ!…………リィ?」


グレイ様の声が聞こえる。

頭がボーとして目をまだ開けることができない。

でも、グレイ様が焦ってるような声で私を呼んでる。

これって夢なのかな??

頭がボーとしてはっきりしないから夢なのかも!

夢なら……………グレイ様怒ってないかもしれない。

目を少し開くとグレイ様の顔が近くに見えて、思考回路がとんだ。


「あー。グレイさまぁ。ふふふ。」


グレイ様の首に腕を巻き付け頬ずりをし頬にキスをし、また頬ずりし胸元に顔を埋めてぎゅっと離さない。


「………リッリィ。」


夢だからいっかー。ふふふ。こんなこと現実じゃ恥ずかしくて出来ないから、せめて夢だけではグレイ様の綺麗な顔を堪能してたい!!

そうです。密かな願望です!!


倒れて頭を打った私に駆けつけたお母様達に同年代の子供達が間近で私の行動を眺めてるなんて知らなかったのです。



…………………………………………数分後、

だんだん意識がはっきりしてきて私は強く思った。


夢であってほしいと!!!!


だぁぁぁぁ!!頭がはっきりしてきて夢じゃないとわかって冷や汗が出てきた。

だって、夢と思って願望を剥き出しにしてたのに…現実だったなんて恥ずかしいこの上ない。

落ち着け!落ち着け私!

現状を確認しよう!


今、私の腕はグレイ様の首もとにしっかりと絡めてます。

怖くてうっすら目を開けるとグレイ様の胸元に顔がうずくまってます。

極めつけは、グレイ様に抱っこされて座ってます。


みんなの前でなにしてんだ私ー!!

穴を掘って隠れたい。

これどうやって言い訳する??

言い訳できるのか……あんな醜態を晒して……。

起きるのが怖い!寝たふりしたいが頭がはっきりしてしまってるのにこの状況はグレイ様にひっつけてるからたまらない……じゃなくて心がもたない。


……とぼけるしかないか。

何も知りません、何も覚えてません、と。

私の恥ずべき行動(願望)……そんなこと人前で晒すなんて私でもさすがに恥ずかしい。

行動がなくなったことにはできないが、せめて記憶にないと言うことにしてみては。。


「起きた?リィ、頭打ったんだけど大丈夫かな?」


悶々としてるところに、グレイ様からの声かけが!!

ビックリして目を開いちゃったらグレイ様と至近距離で目が合う。

うきゃぁぁぁぁぁ!!

抱きついてるから近くて心臓が破裂しそう!なにこの距離での見つめ合うの!ヤバすぎでしょ!!


「はっはい。頭ははっきりしてきました。すみません…。」


「ならよかったよ。王宮の医者に見てもらったけど大丈夫だって。」


「リィ、大丈夫??びっくりしたわ。ここは用意してもらった休憩室なの。私、ミールに伝えてくるわね。グレイセド王子すみませんがよろしくお願いします。」


お母様も周りにいたのね。

コクりと頷いて……まだ抱きついているのを離すタイミングがわからずどうしたものか。。


「グレイ様抱きとめてくださっていてありがとうございます。」


首に回してた腕を解き、グレイ様の胸にてを添え見上げるとホッとしたような優しい表情に戻ってて、あのどす黒いグレイ様じゃなくなってた。


「そのままでもよかったのにな。」


くすくすと笑ってそのまま抱き締めてくれて、今もまだグレイ様の腕の中にいる。

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