#5.0 食べる事を止められない
食べる事はいい事です!
誰がなんと言おうとも・・・
お楽しみ下さい┏●
「またこんなに食べて・・・少し食べ過ぎなんじゃない?」
「まぁまぁ、子供は元気に食べるのも仕事だよ。」
「でもあなた・・・」
「言ってやるな。見てみろ幸せそうな、この子の顔を。」
僕は食べるのが大好きで、度々太っていると言われる。
でも僕は食べる!
食べる事が幸せだと、思う。
だから僕は、どんな事があっても食欲が減らない。
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小学2年生の時、お父さんが旅立ったと、お母さんに言われた。
どこに行ったのか聞いても、お母さんは答えてくれなかった。
僕は親戚のお兄さん達と一緒に、葬儀場で鬼ごっこをしてた。
逃げている途中で、お母さんに連れられて僕は外に出た。
「この人が新しいパパよ。前のパパは旅に出ちゃったから、この人をパパって呼んでね?」
お母さんは新しいお父さんと手を繋いで、仲良さそうにしている。
僕は軽く頷いて、鬼ごっこに戻った。
お昼ご飯の時間になった。
僕は、いつも通りの量とペースで食べ進んでいるとお母さんに、
「こんな時くらい、食べるのを抑えなさい!」
と、怒られてしまった。
「でも、お父さんは食べても良いよって・・・」
「お父さんは、もう居ないの!外に行ってなさい!」
僕は泣きながら外で待っていた。
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俺は中2になった。
相変わらず義父と母はイチャイチャしている。
俺はそんな両親が嫌になり、グレた。
何度も警察のお世話になりつつも、反省しない日々を送っていた。
今でも食べることは好きだ。
食べていると、嫌な事を忘れられる。
今日も仕方なく家のリビングで、3人で食べる。
「ちょっとアンタ!どれだけ食べるつもりなの!お父さんが稼いで来たんだから、少しは遠慮しなさいよ!」
「うるせぇんだよ!こっちは仕方なく家で食ってんだよ、文句言うならこんなモン要らねぇよ!」
「なんて事言うの!コラッ!待ちなさい!」
俺はイライラをぶつけるように、足音大きく自室へ戻った。
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夜中、息苦しさに目を覚ますと、母が俺に跨ってハンカチを俺の口に押し付けていた。
俺はどかそうと思ったが力が入らず、次第に意識を手放していった。
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「あっちぃなぁ・・・んだよ此処は・・・」
俺は目が覚めたら、外にいた。
「アンタが、あんな事、言うのが、悪いのよ。アンタが、悪いの、お母さんは、悪くないの。」
訳が分からなかった俺は、立ち上がろうとしたが、体が動かない。
それどころか、指1本たりとも動かせない。
「俺に何しやがった!聞いてんのかババァ!」
「お母さんは、悪くないの、アンタが、悪いの。アハッ、アハハ、アハハハハハッ!」
気味悪い笑い声をあげると、母は何処かに行ってしまった。
俺は首をなんとか動かし、自分の体を見てみると、地面に埋まっていた。
首から上だけが外に出されていて、なんとも滑稽な姿だった。
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3日後、腹が減って元気も無くなって来た頃、母が目の前に茶碗を差し入れに来た。
「美味しそうな、ご飯でしょ?食べたいなら必死に首を伸ばす事ね・・・」
そう言われた俺は、痛くなるほど首と、舌を伸ばして茶碗に首を近付けた。
ほんの数mmの所だった。
舌に感じたのは、ジャリジャリした砂だった。
俺は目だけで、上を見ると血だらけになった包丁を持つ母が見えた。