#6.5 喰い散らす
ハクビシンって、どんな生体なんですかね・・・
お楽しみ下さい┏●
ここは空気が美味い。
窓を開けると他では味わえない、澄んだ風が入ってくる。
そう・・・純粋な負の心を持った少年の苦しそうな風も。
「いらっしゃいませ。ようこそNIGHT・Curtainへ。こちらへどうぞ。」
見た所、中高生だな。
これはアカかイエローが担当だろう。
「あの・・・この店って、」
「当店は、お客様の怨みを晴らす店でございます。例えば人を殺したい等でございます。」
「怨みを晴らすなんて・・・」
「当店は怨みを抱えてらっしゃる、お客様の前にしか現れません。」
「そ、そんな・・・・・・そうだ・・・俺は悪くなんか無いんだ・・・」
「お話をお聞き致します。」
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典型的な、都会への嫉妬か・・・
人間は住む場所で優劣を付けたがる。
店の多さ、道路の多さ、食の文化、方言の差。
全て醜く小さい。
俺が担当するしか無いな。
「それでは、お客様。怨みを晴らしたいですか?」
「あぁ。俺をバカにして、騙す連中なんて・・・死ねばいいと思う!」
「かしこまりました。ところで、お客様は人を呪わば穴二つ。この言葉はご存知で?」
「そんな事どうだって良い・・・あいつらを殺せるなら何でもするさ。」
「かしこまりました・・・では、失礼致します。」
ゴッ・・・・・・
この感触、久しぶりだな。
客の首をへし折る。
いい気分だ・・・
こいつは、どんな妖になってくれるかな・・・
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「また性懲りも無く学校来たんさ?」
「あぁ。お前らを殺すためになぁ・・・」
俺はそこで意識が薄れ始めた。
覚えているのは、うるさい悲鳴と、1口で虜になった食べ物だけだった。
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良く動くなぁ。
美味そうに人間を喰って、目がキラキラ光っている。
あいつは全員喰うまで止まりはしないだろう・・・
もう少し待ってみるか。
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「コレデェ・・・サイゴォ!!」
俺は学校中の人間を喰った。
もちろん殺すためでもあったが、後半は味覚を満足させる為だった。
あの男が近付いてくる。
「どうだ?怨みを晴らした気分は?」
「サイコウダァ。アリガトヨ。」
「礼なんか要らん。俺が欲しいのはお前の体だ。」
「ナンノコトダ?」
「お前を、おわすって事だ。」
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結局、札になったのは珀尾振だった。
動物系統は腐るほど居る。
醜い人間の心からは、弱い妖しか生まれない。
次の人間は期待しておくとしよう。