#5.5 食べ物の恨みは死をもって
ご飯を目の前に置いて、首を伸ばした所で殺す。
犬神の作り方です。
くれぐれも真似しないように・・・
お楽しみ下さい┏●
「どうだイエロー。仕事の内容は覚えたか?」
「うん♪分からない所は無かったよ♪」
「上出来だ。そろそろ客が来る。ちゃんと準備していろよ。ブルーと違って。」
「ブルーお姉ちゃん?ちゃんと座ってるよ?」
「座りながら寝ている。見習うなよ?」
「は〜い♪あっ!お客さん来たみたいだよ♪」
俺は階段を降りながら襟元を正した。
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「いらっしゃいませ。ようこそNIGHT・Curtainへ。」
「あぁ。えっと此処ってどんな店なんだ?」
「ご説明致しますので、どうぞお掛けになって下さい。」
今回も死霊か・・・
見た感じ、若いな。
「当店のご説明に入る前に確認がございます。お客様は、ご自身が死んだ事にお気付きでございますか?」
「あぁ。母親が俺を殺したっぽいぜ・・・」
「さようでございますか・・・では、当店のご説明を。当店では、お客様の怨みを晴らします。誰かを殺したい。復讐したい等々・・・多岐にわたっております。」
「怨みを晴らすのか・・・それじゃあよ。俺の母親を殺しちゃくれねぇか?」
「承知しました。では、お客様のご年齢をお伺い致します。」
「中2の15歳だ。」
「15歳ですか・・・担当の者を呼んできますので、少々お待ち下さい。それと・・・人を呪わば穴二つ。お客様の怨みを晴らす為、お客様にも協力をお願い申し上げます。」
「協力って何をすれば良いんだよ?」
「それは、担当の者が説明しますので・・・」
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イエローを呼んで、階段の上で話をする。
「今回が初仕事だ。出来そうか?」
「もちろん♪あのお兄ちゃんをお札にすれば良いんだよね?」
「あぁ。頼んだぞ。」
「うん♪僕に任せて♪」
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「こんばんわ〜♪僕が担当のイエローだよ♪よろしくね、お兄ちゃん♪」
「なんだ?ガキじゃねぇか。」
「まぁまぁ・・・見た目はガキでも、お兄ちゃんより少し長く存在出来るんだよ・・・」
「どういう意味だ?喧嘩売ってんのか!」
「黙れよ・・・僕に逆らうな犬風情が。」
あ〜あ。勢いで、気絶されちゃった♪
まぁ、いっか♪どうせ妖にして札に入れるんだから・・・
えっと〜確か心臓を取って、潰して出た血をお札にかけるんだったよね♪
えいっ!・・・人間の血ってドロドロして気持ち悪い。早くお菓子食べたいから、サッと終わらせよっと♪
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あった!
ここがお兄ちゃんの家だね♪
さてと・・・お札に僕の血を垂らしてっと・・・
出た出た♪じゃあ、お兄ちゃん、しっかりとお母さんを殺してきてね♪
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「ただいま〜。父さん、母さん、居る?」
「おかえり。1週間も何処に居たんだ?心配したんだぞ?」
「ごめん父さん。母さんは?」
「リビングに居たけど・・・怒ってるのかな?」
「まぁいいや。母さんと話してくる。」
母はリビングで震えていた。
そりゃそうだ。
自分で殺した息子が帰ってきたんだからなぁ。
「ただいま。気分はどうだ?怖いか?」
「な、なんで、アンタが・・・」
「戻って来たんだよ。テメェを殺しにな!」
殺意を露にすると、首だけで飛んで母の腕を噛みちぎった。
何となく分かる。
俺の首は人間の物じゃない。
「ば、バケモノ!」
「テメェに殺された怨みを晴らす!」
ついでだから、父さんも殺しとくか。
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「お疲れ様、お兄ちゃん♪早くお札に戻ってね♪」
僕が言うと、お兄ちゃんの体と首は、お札に吸い込まれた。
「次は、このカス達だね♪」
汚い肉の塊から少しだけ血をお札に吸わせて、僕はその場を去る前に一言だけ呟いた。
「怨み恨んで蜜の味♪・・・自らの行いを知り我が糧となれ♪」
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「良くやったイエロー。札を。」
「はい、お札♪僕、お菓子食べてくるね♪」
初仕事で犬噛みか・・・
まぁまぁだな。
こんな妖まで出るとは、面白くなってきたな・・・