8. 防衛省四軍統合参謀本部調査室報告書
■ 1.8.1
防衛省四軍統合参謀本部調査室報告書から抜粋
第一章 3.(1) 侵略者
① 侵略者名称
この度の地球外からの侵略行為について、侵略者名称はファラゾア(PHARAZORE)にて決定する。
この名称は各国政府ですでに通称的慣例的に用いられている名称であるが、命名者は不明である。一説には、侵攻ごく初期に民間ネットワーク(インターネット)上で自然発生的に呼ばれ始めた名称を、侵略者の固有名称が未定であり不便を感じていたEU政府が採用したことが始まりとも言われているが、定かではない。
いずれにしても侵略者固有名称はファラゾアである事で、現在相互に連絡が可能な主要各国政府および関係する組織間の調整は終えており、我が国でも本名称を採用するものである。
② ファラゾアの拠点
ファラゾアの拠点、即ちその母体となる地域、国、或いは惑星または太陽系については、現在の所明らかになっていない。地球外である事は確実とされており、太陽系外であるものと推察されている。
また、ファラゾアが地球を侵攻するに当たって、太陽系内に橋頭堡的な拠点を形成している可能性も指摘されているが、これも明らかではない。
第二章 1.(3) ファラゾア兵器
①分類
現在確認されている中では、以下の四種に大別されている。
・宇宙船
・戦闘機
・地上施設
・サイバー兵器
(a) 宇宙船
現在までファラゾアの宇宙船は、100乃至150隻が確認されている。
宇宙船は地球周辺に常時停泊しているわけでは無く、作戦時にのみ高度300乃至500kmの位置に出現し、艦載機の大気圏降下等の作戦行動を行う。
同型の宇宙船は現在の所個体を区別する明確な特徴を発見できていない為、正確な数が判明していない。
いずれの宇宙船も噴射ノズル等は無く、いわゆるジェット噴射ではない推進機構を備えているものと推察される。
いずれにしても、ファラゾアの宇宙船が大気圏内に降下してくることは無く、現在までに得られた情報は全て地上からの光学望遠鏡での観察による。
ファラゾア宇宙船は外観上の特徴から大きく以下の四種に分けられる。
(i) 戦闘艦 或いは戦艦
全長500mから1500mのものが確認されている。多くは進行方向に長細い形状をしており、先端が錐状に尖ったもの、球状に丸まっているものなど、全長と合わせて多種存在することが確認されているが、全体的に突起物の少ない外観である。
固定武装、ミサイルの搭載が確認されている。固定武装としては大型の光学兵器が確認されている。装備数量は不明である。ミサイルは直径50cm、長さ2m弱の統一された形状のものを多数搭載している事が確認されている。正確な搭載数は不明である。
また、上述の武装以外の存在は現時点で確認されていない。不明である。
(ii) 空母
全長1000mほどの長細い箱形に近い外観で、一種類のみ確認されている。
箱形の下面側がハッチ状に大きく開き、開口部から同時に多数の艦載機を発進させることが可能である。
空母一隻当たり数千機の艦載機を格納しているものと推測する。
地球上の空母の概念よりも、コンテナという印象が強いものであり、飛行甲板或いは艦載機の射出機構などは確認されていない。
(iii) 護衛艦
全長500mから1000mのものが確認されている。
戦闘艦同様に進行方向に対して長い形状を持つが、戦闘艦よりも幅が広い形状をしている。
作戦行動中には戦闘艦、空母の周囲に停泊しており、これらの重要な艦船の護衛を行って居るものと推察されるが、具体的な戦闘行為への関与が観察されておらず、本項で述べる用途は推定によるものである。
(iv) 輸送艦 或いは補給艦
全長500mから1000mのものが確認されている。
戦闘艦、または護衛艦に較べて横幅の広い形状をしている。
戦闘艦や空母が、地上高度300乃至500kmを保持するのに対して、本船種は高度500km以遠、即ち戦線の後方に配置される。
形状および、作戦行動中の配置から、非戦闘艦であると考えられる。
同じく、形状と配置から輸送船、或いは補給船の役割を持つものと推察される。
(b) 小型戦闘機械
ファラゾア軍に於いて、地球大気圏内で具体的かつ直接的な作戦行動に関わるのが本兵器である。
全長は数mから10m以上のものまであり、またいずれも特徴的な外観形状をしている。
形状及び大きさから、人類と同等の大きさの生物が搭乗する事が難しいと思われるものもあり、高度な自動操縦、あるいは遠隔操縦にて行動しているものと推察される。
外観に噴射口の様なものは見当たらず、ジェット噴射以外の推進装置を有するものと考えられる。
(i) 戦闘機
全長約15mの長細い本体を持ち、進行方向後部に左右への張り出しが存在する。本体の幅は約1.5m、張り出し部の最大幅で約5m弱程度と見積もられている。
固定武装として本体に2門の大口径レーザー砲を搭載する。他に武装は無い。
大気圏内に突入してくるファラゾアの小型戦闘機械の中で最も数多く見られる機種であり、小型戦闘機械の約六割乃至七割が本タイプであるとみられている。
俗にクイッカー(Quicker)という名が兵士達の間で定着しつつある。
(ii) 攻撃機
全長20m弱の、半分に切った長い八面体の様な底面形状を持ち、高さが2.5mほどの扁平した機体を持つ。
正面および左右に開放型のミサイルランチャーを持ち、直径30cmx長さ60cm程の外形のミサイルをそれぞれ約20発ずつ同時に発射することが可能である。
この大量のミサイルによる飽和攻撃は脅威である。しかしながらミサイル各個体については、M8~M10での飛翔速度を持つものの、追尾性は高くなく、地球側の航空機で充分に避けられる。
胴体内にミサイル予備弾倉を持っている様であり、ミサイルを全弾発射した後に再度全弾一斉発射する所を目撃された情報がある。
本機体はミサイルの他に、機体後部に前方に向けて発射する中口径のレーザー砲を二門備えている。
俗にヘッジホッグ(Hedgehog)という名が定着している。
(iii) 偵察機
全長6乃至7mの小型機である。
前述(i)項の戦闘機を小ぶりにして、さらに胴体の前後長を短くしたような形状を持つ。
その形状、大きさから、人類並の大きさの生物が搭乗することは不可能であり、自動制御あるいは遠隔操作によって操縦されているものと考えられる。
中口径のレーザー砲を二門備えている。他に武装は無い。
偵察機と分類したが、本機体が偵察機である明確な証拠は無い。小型の機体、他と較べて貧弱な武装、追い詰められると急に高度を上げて逃走する行動などからの推定である。
俗にホッパー(Hopper)と呼ばれている。
(iv) 電子戦機
全長10m弱、幅5m弱ほどの扁平な機体の前後に四本ずつ計八本の角状突起物が突き出した形をしている。
針状突起物は、電磁波を送受信する一種のアンテナであると考えられている。物理的武装は無い。
航空レーダーのジャミングから、無線のジャミング、電子回路に干渉してのハッキングと、情報システムに関わるあらゆる電子戦を担当する。
遠隔干渉による電子機器への侵入は強力であり、対核攻撃用電磁シールドを備えていない航空機は、レーダーや無線情報を攪乱されるだけで無く、管制システムそのものに電子的な攻撃を受ける。
航空機だけでは無く、地上の固定ネットワークに対しても攻撃を行うことが確認されている。
その形状から俗にヒドラ(Hydra)と呼ばれている。
(v) 生体波攻撃機
直径10m弱、高さ5m弱ほどの扁平した球状の外形を持つ。
余り見かけることの無い珍しい機体である。
周囲数kmに接近すると、激しい頭痛を催す事があり、脳波等に干渉する生体波攻撃を行う機体であると考えられている。
接近すると激しい頭痛を催すことから、ハンマー(Hammer)、或いはブレインブレイカー(Brain Breaker)と呼ばれている。
(c) 地上施設
初期侵攻は大気圏外に停泊した空母から大気圏内へ降下することで地球への侵略を開始したファラゾアであったが、降下した地点を中心として地上施設を設置していることが確認されている。
地上施設の正確な用途、耐破壊強度等は不明である。
空港のような大型の平面施設は確認されておらず、全て立体的な建造物である。
(d) サイバー兵器
主に前述のヒュドラを中心としたものと見られているが、ネットワークに対する攻撃が行われた。
攻撃対象は無線ネットワークのみに限らず、電磁シールドが十分に強固ではない電気ケーブルを用いた有線ネットワークも攻撃を受けることが判明している。
パスワード等で護られていない一般のネットワークだけでなく、強固なパスワードで何重にも護られている軍事ネットワークでさえも、攻撃を受ければ比較的短時間の内に乗っ取られてしまうほどにその攻撃は熾烈である。
攻撃を受けたネットワークは全てファラゾアに乗っ取られシステムが破壊されているため、どのような攻撃が行われたか記録は殆ど残っていない。僅かに残る記録から、ワームとバックドアを組み合わせたようなプログラムの存在が確認されている。
第三章 2.(2) 降下地点
① 初期降下地点
2035年07月15日にファラゾアが行った全地球に対する軌道降下侵攻は、以下に記す10地点に於いて数時間程度の差しかないほぼ同時軌道降下侵攻であった。
降下ポイントはいずれも、数千km以内に人口数百万の大都市が存在するような、人口密度の低い地域が選ばれている。
また初期降下ポイントの殆どは北半球に偏在しているが、その理由は不明である。
降下ポイントに設営された地上施設の一部は地上で組み立てられたものとみられているが、軌道上の母船から降下した巨大構造物が着陸してそのまま地上施設となったものも多い。
(a) カザフスタン共和国、アクタウ
約15,000機の降下侵攻が行われた。
人口密度の低い地域であり、且つ迎撃のための強力な空軍部隊が存在しない地域であったため、大きな抵抗もなくファラゾアの軌道降下は成功し、速やかな地上施設の設営が行われた。
本降下点では、カザフスタン軍、トルクメニスタン軍、アゼルバイジャン軍に加え、ロシア軍までが出撃し迎撃に当たったが、四軍合計でも迎撃機数は583機に過ぎず、内520機が撃墜された。
アクタウ郊外のステップ台地にファラゾア拠点が築かれ、カスピ海を含む周囲500kmは侵攻初日でファラゾア制空圏下となった。
(b) ロシア連邦、ネネツ自治管区ナリヤンマル
約15,000機の降下侵攻が行われた。
北極海に面するロシア軍重要防衛地域であったため、ロシア軍による猛烈な迎撃が行われた。初日だけで延べ3,850機が出撃したとされ、降下ファラゾア戦闘機械15,000機中6,000機近くを撃墜したと言われている。
ファラゾア側は侵攻開始二日目以降も継続的に軌道降下による戦力投入を続け、そしてロシアはこれを全力で迎撃し続けた。
ロシア軍の攻撃は熾烈を極め、いわゆる「始まりの十日」が終わる頃には燃料、弾薬が欠乏し始めるほどであった。
ファラゾアはナリヤンマル郊外の湿地帯に橋頭堡的な地上設備を設置することに成功した。現在ロシア軍はこれらの地上施設を破壊すべく継続的に作戦行動を行っている。
(c) リビア国、アジュダビーヤー
12,000機の降下侵攻が行われた。
近代的装備を多く配備する国家の少ない地域であり、また当該地域の国家間のパワーバランスの微妙さから地域国家間の連携が上手く行かず、効果的な迎撃作戦を実施する事が出来なかった為、速やかなファラゾアの降下定着を許してしまい、アジュダビーヤー郊外の砂漠地帯に多くのファラゾア地上施設が設置された。
しかしファラゾアに一方的に侵攻されたのは侵攻開始後数日のみで、その後現在に至るまで猛烈な反撃が実施され続けている。
これは、元々パワーバランスが微妙な地域であり、常に互いに武器を向け合っていることで即応体制が整っていたこと、ファラゾアという理不尽に強い外敵が現れたことで、周辺各国が利害を一時棚置きにしてファラゾア迎撃に協力し合うことを決定したこと、「聖戦」というものに対して命をも投げ出すほどに全力であたるこの地域の特殊性にも依るところが大きい。
(d) アフガニスタン・イスラム共和国、ルードバール
15,000機の降下侵攻が行われた。
この地域も宗教的に微妙な力関係の入り組んだ紛争地域ではあったが、従来この地域での戦闘は地上戦闘が主体であった為、有効な航空戦力に乏しかった。
その為、降下、定着するファラゾア戦力に対して有効な反撃を行う事が出来ず、ファラゾアの容易な定着を許した。
(e) 中華人民共和国、哈密
15,000機の降下侵攻が行われた。
中国内陸部であり周辺の他国が手を出すことを当初中国共産党政府が許さなかったこと、近代的航空戦力に乏しかったことから、速やかなファラゾアの定着を許した。
降下当初数日は中国は独力にてファラゾア排除を試みたが、これに失敗。
その後、ロシア、モンゴル、カザフスタン等周辺諸国に協力を求めるも、協力を得ることが出来ず、初期段階での効果的な戦力投入が出来なかった為にファラゾアの容易な定着を許してしまった。
中国が周辺諸国からの協力を得られなかったのは、中国と周辺諸国との国際関係という理由もあったが、ロシアは既に自国内に二つの降下地点を抱えておりその対応で余力がなく、カザフスタンも自国内の降下地点への対応に精一杯で他国に割く軍事的余力がなかった、という現実的な問題もあった。
(f) ロシア連邦、アムール州ノルスキー・サポドヴェニク
15,000機の降下侵攻が行われた。
我が国に最も近い降下地点である。
本地点にファラゾアが軌道降下を行った当日は、我が国の海軍第四機動艦隊とロシア太平洋艦隊合同でのミサイル迎撃訓練が日本海で行われていた。
また、その訓練に神経を尖らせた中国軍と統一朝鮮軍がそれぞれ高度警戒配備を行っていた。
この為、ファラゾア軍は軌道降下を開始するよりも前に、その母船がロシア航空宇宙軍の光学観察によって捉えられていた。
ロシア軍はファラゾアの降下開始とほぼ同時に地上、海上からの大量の迎撃ミサイル、航空戦力をもってファラゾアの降下部隊を迎撃した。
我が国の海軍、および空軍も、ロシアからの協力要請に即応し、日本海に展開していた第四機動艦隊、東北、北海道方面の海軍および空軍が、対弾道弾迎撃システムおよび航空戦力にて対応した。
中国軍も内陸の黒竜江省、内モンゴル自治区方面に展開する空軍にてロシアからの救援要請に対応した。
中国軍からの航空支援は、ロシアからの軍事的支援要請という明確な建前の元でロシア領内に侵攻する事を狙ったものであったと推察されているが、実際にロシア領内に侵攻した航空戦力はファラゾアの航空戦力に直面することとなったため、当初中国軍が画策していたロシア領への侵出は成功していない。
ロシア軍、中国軍、日本軍を合わせた降下侵攻初日の出撃航空機数は延べ5862機を数え、ファラゾア8000機以上が降下直後に撃墜されたものとみられている。
また、ロシア航空宇宙軍、及び我が国の空軍と海軍に限れば、航空機の帰還率も非常に高く、出撃ごとに70%以上の帰還率を記録している。
中国人民解放軍空軍の航空機は、航空電子装備の対核電磁シールドに欠陥があるものが多く、ファラゾアの電子的攻撃により行動不能、撃墜されるものが多く見られた。
統一朝鮮軍もロシアからの支援要請に対応したが、降下地点まで到達してファラゾアとの戦闘に参加した機体は皆無であった。
ロシア航空宇宙軍、中国人民解放軍空軍、および我が国の空軍からなる共同迎撃は現在も継続されており、当該降下地点からのファラゾア機の漏出を完全に抑え込んでいる状態である。
また上述の初日から効果的に行う事が出来た迎撃により、この降下地点ではファラゾアは効果的に地上設備を設置することに失敗した。
幾つかの地上設備を観察することは出来るが、他の降下地点に較べて圧倒的に少ない数である。
(g) マレーシア、カリマンタン島、カピト
10,000機の降下侵攻が行われた。
地域的に近代的航空戦力が分散して配備されていたため、ファラゾアの軌道降下自体は早期からレーダーによって観察されていたにもかかわらず、統合された迎撃を組織することに時間がかかったためにファラゾアの安易な降下定着を許した。
現在ではオーストラリア、マレーシア、暫定シンガポール政府、フィリピン、台湾などによる統合的な抵抗が行われており、一定の成果を見せている。
(h) カナダ、マニトバ州シャマタワ
15,000機の降下侵攻が行われた。
ファラゾアの侵攻自体は早期からNORAD等のレーダーによって捉えられていた。
しかしながら、このハドソン湾近傍への降下侵攻と、カリブ海への降下侵攻を同時に探知した警戒システムに対して、余りに大量の地球外からの飛行物体の降下を見た担当者がシステムエラーと判断し、エラーの原因追及に時間を取られる余りに米軍およびカナダ軍全体への警報発信が遅れた事が確認されている。
また、警戒システムのソフト面ハード面ともに、維持効率を追求してアウトソーシングの進んだ米軍警戒網は、電子的手段によるファラゾアの侵攻を民間ネットワークを介して直接受ける事となり、侵攻後速やかにシステムダウンした。
この為、米軍およびカナダ軍は、警戒システムを介した警報を受け取る事が出来ず、生き残った僅かな旧式の通信網を用いて相互に連絡を取り合う事で事態に対応した。
その為、降下したファラゾアに対して戦力を送り出すことが出来たのは、早い基地で数時間後、遅いところでは二日後となり、ファラゾアに完全に出し抜かれた形となった。
これらの理由により、本来であれば世界有数の空軍力、対空迎撃力を持つ筈の米軍は、その力を十分に発揮することが出来ず、言わば目と耳を塞がれた状態となってしまい、降下初期に効果的な戦力投入が出来なかった。
この為ファラゾアは、本降下ポイントに大規模な地上施設群を設置する事に成功した。
現在では、五大湖周辺地域から、オンタリオ州、マニトバ州、サスカチュワン州に渡る一大防衛ラインが引かれ、人口密集地が存在する南方へのファラゾアの侵出を押さえ込めている状態である。
(i) サン・クリストバル ドミニカ共和国
15,000機の降下侵攻が行われた。
合衆国南部~カリブ海~中南米に睨みを利かせることが出来る絶妙なポイントへのファラゾア拠点設置となった。
シャマタワ降下ポイントと、このサン・クリストバル降下ポイントに挟まれた合衆国は、これらの二つのポイントを結ぶ直線上に人口密集地域を抱える事となり、南北に戦力を二分させた二面作戦を強いられることとなった。
また、五大湖~東海岸~テキサスという工業地帯の多くがこの直線上に含まれ、戦闘空域かに置かれたため、建国以来他国の脅威を直接的に受けたことの無い合衆国政府、および国民の多くがこの状況から強い心理的抑圧を感じることとなり、心神喪失等の理由で一説には国力が20%低下したとも言われる。
いずれにしても、合衆国政府はこれらの降下ポイントに対応する事に自国の軍事力の大半を割く事を決定した。その為、世界最大の軍事力は他の降下ポイントに対して殆ど投入される事が無いという状況を作りだした。
(j) ボリビア、チャコ カア・イヤ
15,000機の降下侵攻が行われた。
人口の非常に少ない地域ではあったが、ボリビアを始め、アルゼンチン、ブラジル、ペルーと云った周辺国家が比較的速やかに協力態勢を構築し、降下翌日には降下拠点に対する熾烈な反復攻撃が行われた。
ステルス性能が殆ど意味をなさず、最新鋭のミサイルによる攻撃も効果的では無い対ファラゾア線に於いて、2~3世代前の戦闘機を多く有する中南米国家の空軍は善戦しており、現在までの所ファラゾア制空権の拡大をよく押さえ込めている状態である。
いつも拙作お読み戴きありがとうございます。
説明会になりました。
常に米国からの核攻撃に怯え、非効率ながらも冗長性を確保出来ていたロシア軍が思いの外善戦しています。
コスト低減と効率化を推し進めた米国は、その脆弱性をモロに突かれてボロボロの対応です。もちろん地力があるので、戦い始めると強いのですが。
日本とEU諸国は至近に降下ポイントが無いため、案外影響を受けていません。
全地球的なネットワーク(インターネット)は存在しませんが、小さなネットワークはまだ生きています。一部の軍事ネットワークや、緊急回線は、国家間のものでもまだ生きているものがあります。
要するに、民間ネットワーク(インターネット)と同じハードウェアを用いていたネットワークは全て喰らい尽くされ破壊されて落ちました。システム、ハード供に独立しているものは生きているものがあります。