1. 悪ガキ共
■ 14.1.1
19 July 2088, Zhanatalap, Kegen, Kazakhstan
A.D.2088年07月19日、カザフスタン自治区ケゲン地方ジャナタラプ
ガオ・ジュンユー(高俊宇)は、中央アジア、カザフスタン自治区ケゲン地方の農村、ジャナタラプ村に住む農夫である。
妻一人と子供を二人持つが、長男はとうに成人して家を出て軍で働いている。
長女も成人し結婚して家を出ており、村から車で二~三時間の距離にあるこの地方最大の都市であるアルマトゥイに住んでいる。
ジュンユーは普段は妻と二人、家から少し離れた場所にある小麦畑とトウモロコシ畑、そして家のすぐ脇にある小振りな果樹園の世話をして日々を暮らしていた。
妻はロシア人でエミーリヤという。
この地方で中国人とロシア人の夫婦というのは珍しくない。
この地方で最も多く見かけるのはカザフ人であり、次に多いのがロシア人、他にも中国人、ウイグル人、朝鮮人などをよく見かけるが、遙か昔から洋の東西を行き来する中間点であるこの地方では様々な人種民族の混血が進んでおり、顔立ちで民族を判別出来ないことも多い。
ファラゾアとの戦いが続く中、強大な外敵に対して一致団結した地球人は惑星国家である地球連邦の下に既存の全ての国家・地域を統一した。
建前上統一国家となった地球上の全ての地域は、これもまた建前上従来の国境を越えた移動が自由となり、そこにファラゾアの脅威による人口移動と、地球上からファラゾアが駆逐された事に依る再度の人口移動が発生して、この地方の民族分布の地図は更にややこしいことになった。
だがそれは悪いことでは無い、とジュンユーは思っていた。
太陽系を占領していたファラゾアが駆逐された後、地球連邦というひとつの政府の下に統一されていた筈の世界中で巻き起こった民族紛争や宗教戦争は、広い宇宙を知り、そしてそこに問答無用で襲いかかってくる敵性の異星種族がいることを知った地球人類にとって、余りに馬鹿馬鹿しい争いだとジュンユーは感じた。
民族や宗教や人種などと云った些細な問題で起こる争いなど、こうやって混血が進んでいけばいずれは誰もがその馬鹿馬鹿しさに気付くだろう、と。
ジュンユーもエミーリヤも従軍経験を持つ。
二人とも既に軍を退役して久しいが、軍務時代にはジュンユーは宇宙軍で戦闘機パイロットであった。
そして妻のエミーリヤもまた同様に宇宙軍に所属していた。
彼女の最終的な経歴は創設されたばかりの宇宙艦隊での勤務であった。
相も変わらず年中行事のように太陽系に攻め込んでくるファラゾア艦隊との戦いの間を縫うようにして二人は結婚し、二人の子供をもうけた。
この地方の他の多くの若者達と同様に、二人の子供達は成長すると共に田舎暮らしを嫌い都会に出て行きたがった。
長男のユリアンはハイスクールに通うためにこの地方最大の都市であるアルマトゥイに出て行って学校の寮に入り、そして学校を卒業すると同時に軍に入隊した。
地球連邦軍の勤務地は、その名の通りこの惑星上のどこにでもある。惑星の外にさえも。
言語や生活習慣などの問題から、入隊した若者は多くの場合出身地近くの基地や駐屯地に配属される事になるのだが、どうやらユリアンはもっと都会へ行きたいと願ったようであり、新兵訓練を終えて早々に遙か数千kmの彼方、ヨーロッパへと旅立っていった。
多くの若者が都市部での勤務を希望するため、例え都市部勤務の希望を上に出したとしてもそれが叶えられるとは限らない。
文官として入隊したユリアンは、どうやらその方面での才能を有していたようだった。
希望通り大都会での勤務を命ぜられ、今ではヨーロッパの都市を何年かおきに転勤する生活を送っているようだった。
その様な中でユリアンは伴侶を見つけ、結婚して二人の子供をもうけた。
結婚相手は民間企業に勤めるフランス人の女性で、名をステファニーといった。
ユリアンの長男はヴァレリアンと名付けられ、今年八才になる。
下の子は女であり、セラフィマと名付けられたその子は今年六才になる。
ひととし取って落ち着いたか、或いは都会の忙しない生活に疲れたのか、最近ではユリアンも頻繁に実家に連絡を寄越すようになり、年に一度か二度は両親の元に顔を出すようになっていた。
妻のステファニーが田舎暮らしを好んでいるからかも知れなかった。
クリスマス休暇や夏のバカンスの休みに、一家全員で里帰りしてくることも珍しくなかった。
正に今がそうであった。
数日前から二人の孫を連れて、ステファニーがジュンユーの家に滞在している。
当初の予定ではユリアンも共に里帰りするはずであったのだが、つい数週間前に発生したファラゾア艦隊の太陽系侵攻防衛戦の後片付けで仕事から手が離せなくなってしまい、泣く泣く休暇を返上して妻と子供二人だけを生家に向けて送り出したのだった。
都会育ちのステファニーは、意外にも田舎暮らしにすぐ馴染んだ。
彼女はジュンユーの家の脇にある小さな果樹園で義母と共に葡萄や瓜の世話をするのを好んでおり、時にはジュンユーと共に小麦畑に働きに出るエミーリヤに誘われ、孫二人を連れて畑の世話を手伝うこともあった。
都会育ちの孫二人にとって、田舎はそれ自体が驚きと楽しみと新しいものに満ちあふれているようだった。
地球連邦政府が成立し、その第一公用語が英語と定められてから後どんな田舎の学校でも必ず教えるようになった英語を使ってつたないコミュニケーションを取る村の子供達に混ざって、日が昇り日が暮れるまで毎日のように全力で遊び村の生活を満喫しているようだった。
このような田舎では、子供は十才にもなれば半人前の労働力として家の仕事の手伝いをさせられることになる。
都会では考えられないであろうが、十才の子供がライフルを持ち、馬や二輪車に跨がって羊の群れを追い回す。
或いは村のすぐ近くにそびえる岩山に登山し、川で水を跳ね散らかして遊び、森に入り込んで木の実や野生の果物を採取したその場で村の子供達と共に食べる。
ヴァレリアンもセラフィマも二人とも都会育ちの子供であったはずなのだが、僅かな時間の間に言葉の壁を乗り越え、いつの間にか仲良くなった村の子供達と共に歓声を上げて走り回る姿を眺めて、ジュンユーは子供の柔軟な適応能力に舌を巻いたものだった。
そして義娘と孫達の帰省に合わせて、結婚した後は普段アルマトゥイで生活している娘のナタリアも帰省してきていた。
ナタリアとステファニーは生まれも育ちも大きく異なる環境であったにもかかわらずなぜか気が合うようで、ユリアンが家族を伴って帰省するときには必ず何度か顔を出すか、時には何日も実家に宿泊することもあった。
今回も彼女達の帰省に合わせてナタリアも帰省してきており、すでに三日間ジュンユーの家に滞在して、兄嫁と楽しくお喋りしながら実家の仕事を共に手伝う姿にエミーリヤが眼を細めていた。
ハイスクール卒業と共に競うようにして実家を離れていった子供達の姿に少々さみしい思いをしたりもしたものだったが、ひと歳とった後は増えた家族を伴ってまた実家に顔を出すようになった。
孫達も自分達に良く懐いており、嫁と妻と娘の間の関係も良好だった。
元々人付き合いの苦手だった自分に、孫も嫁も良くしてくれている。
娘のナタリアにはまだ子供はいないが、いずれにしても増えた家族の皆が仲が良いことは良いことだと、ジュンユーは今の生活に満足していた。
そして今日も、ジュンユーは小麦畑とトウモロコシ畑の世話をした後、太陽が傾き日差しが幾分柔らかくなった中を何年も乗り続けている小型の電気式ピックアップに乗って家路を急ぐ。
この時期は春捲きの小麦も成長期に入り、種を蒔いたばかりのトウモロコシには水やりが欠かせない。
ジャナタラプの村は山間の谷川に沿って広がる村であるため、水に困ることは無いが、近くに農地に適した広い土地が無かった。
村人の多くは村から15kmほど離れたなだらかな傾斜地に畑を持っており、皆毎日村から自分の畑へと通っている。
ファラゾアとの戦いの間に地球人類は幾つもの先進的な技術を手に入れた。
核融合発電技術もそのひとつであり、長年の夢であった核融合炉を実用化した地球人類はすぐさまそれを航空機に搭載可能となるほどに小型化した。
小型化された核融合炉は兵器の動力源としてだけで無く、あらゆる場面で極めて有用なパワープラントである。
年に一度か二度のメンテナンスさえきちんと行っておけば、あとは地球上どこでも手に入る水を燃料として膨大な電力を長年にわたって供給し続け、放射線漏洩の心配も殆ど無い。
人口千人にも満たないジャナタラプ村にも小型核融合発電施設が一基設置されており、少々近未来的な装飾を施された四十フィートコンテナのような外見をした発電機は村の外れに置かれて、キャパシティの僅か30%以下の運転で毎日村の必要量を十二分に満たすだけの電力を産み出し続けている。
逆に今となっては、こんな田舎で旧来の化石燃料を手に入れる方がよほど難しく、今や村で消費されるあらゆるエネルギーの90%以上は電気に置き換えられており、村の中心を流れる谷川から時々組み上げられる水を燃料として、村全体が極めて安価な電力の恩恵を享受していた。
今、孫の顔見たさに家路を急ぐジュンユーが乗っているピックアップも電気自動車である。
田舎の気軽な脚である二輪車も全て電気式のものが使われていた。
照明や暖房器具はもちろんのこと調理器や工具、農業用具まで全てが電気式となっている。
もっとも一部の人間は、特に肉料理などを中心にして、電熱器や電磁調理具で調理した料理など不味くて食えたものではないと、近くの森で採ってきた薪を使うか、特別に購入してきた液化燃料ガスを用いて料理を作っているようだった。
ろくに舗装されていない、車に踏み固められただけの道を運転して三十分ほどでジュンユーが家に辿り着いた頃には、太陽は大きく西に傾き、村を囲む山並みの向こうへと消えつつあるところだった。
内陸の山間部であるこの村は、日が落ちれは急激に気温が下がり、この時期でも夜間の最低気温が十度近くにまで下がることも珍しくは無い。
灼けるような熱さだった昼間とは一転して、車窓から吹き込んでくる急速に快適な温度へと変わりつつある風を受けながら、ジュンユーの車は村の中央を抜ける道を通って村に入り、脇道に逸れて自宅へと辿り着いた。
自宅の庭には娘のナタリアが乗ってきたスマートなデザインの四駆車が止まっており、その脇をゆっくりと抜けて、納屋の脇に止めてある自分の四駆車の脇にピックアップを止める。
どうせ明日も使う農具を荷台に載せたままにしてジュンユーは車を降りて、納屋の脇の水道で両手を洗った後に頭から水を被り、滴る水をタオルで拭きながら母屋に足を踏み入れた。
滴る水がシャツを濡らすが、この地方は湿度が低い。すぐに乾くだろう。
「お父さん、帰ってきたのね。晩ご飯もう少し待ってね。」
ジャガイモを山盛りにした籠を抱えたナタリアがジュンユーに続いて母屋の入り口を入ってきて、横を抜けて台所に向かう。
頭から滴る水をあらかた拭き終わったジュンユーは、ナタリアに続いて台所に顔を出す。
「帰ったぞ。」
「ああ、お帰りなさい。もう少し待ってて。そこの煮豆持っていって良いから、お酒でも飲んでて。ダイニングでセラと一緒にTVでも見てて。」
ステファニーも一緒になって台所で夕飯の支度をしている三人が、入り口から声を掛けたジュンユーの方を振り返り、エミーリヤがテーブルの上に乗っている皿を示した。
言われたとおりジュンユーは、戸棚を開けてワインの瓶とグラスを取り出し、テーブルの上の煮豆の皿を持って台所を出て、隣のダイニングルームに入った。
ダイニングルームの真ん中には十人は掛けられる大きめのテーブルが置いてあり、台所とは反対側の角に座ったセラフィマが独り、壁のTVで英語のバラエティ番組を見ていた。
ファラゾアが地球から駆逐され、人々が徐々に以前の生活を取り戻す中で、電波を使用するために放送が禁じられていたTVも比較的早い段階で復活し、放送を再開した。
もっとも、中央アジアの山間部のこの田舎ではまともに電波は届かず、アルマトゥイから引いた通信ケーブルに乗ってTVの映像信号も送られてきているのだが。
「セラ。ヴァリーはどうした?」
テーブルの上に煮豆の皿を置き、すでに開けてあった白ワインのボトルのコルク栓を右手で捻りながら、TV画面を食い入るように見ているセラフィマにジュンユーは声を掛けた。
「あっ、おじいちゃん。お帰りなさい。お仕事おつかれさま。お兄ちゃんはね、雑貨屋のムハンマドと一緒に遊んでる。呼んでくる?」
声を掛けられ振り返ったセラフィマの顔が、ジュンユーの姿を認めるとぱっと笑顔になった。
夕飯の支度をしている母親達に放って置かれ、多分少々さみしい思いをしていたのだろう。
「あの悪ガキか。いや、いい。ヴァリーももう大きいんだ。もう陽も落ちる。腹が減ったら帰ってくるだろう。」
或いは、雑貨屋のカシムのところで晩飯をごちそうになるかもしれないがな、と思った。
小さな村でもあり、昔からの遊牧民の気質を残すこの地方では、同じ共同体の中で暮らす家族間の距離が非常に近い。
同じ村の近所の家など、自分の家の離れに住んでいる身内程度の感覚だった。
隣近所の誰かが、何の遠慮も無く夕食に混ざり込むことなど、至って普通の日常の光景だった。
「うん。あたしはね、今日お隣のファーティマ達と遊んでたの。川にね、綺麗な石が沢山あったんだよ?」
「そうか。宝石は見つかったか?」
こんなに小さくても女の子だ、と思った。やはり綺麗なものには眼が無いらしい。
ジュンユーはこの地方特産の白ワインをグラスに注ぎながら顔を綻ばせる。
住民の多くがムスリムであるのだが、この地方の教義は西アジアのそれほど厳しくは無い。
男達は酒を飲んで上機嫌に騒ぐし、女達も髪を隠さず外を歩く。
ちなみにジュンユー自身は無神論者だった。
妻のエミーリヤは一応ロシア正教だと言っていたが、祈っているところを見かけたことは無い。
「あたしがね、おっきな緑色の綺麗な石を見つけたのよ。翡翠だってエルミラが。でもね、シャイラが欲しがって泣くからあげちゃった。」
「そうか。翡翠を見つけたのか。それは凄いな。翡翠は俺でもなかなか見つけられないぞ。」
甘い白ワインを一口舐めて、ジュンユーは崩れた表情をさらに綻ばせる。
その笑顔を見て孫娘がさらに嬉しそうに笑う。
若い頃には、自分にこんな時間が訪れるなど想像もつかなかった。
ファラゾアの脅威は遠くなり、昼間の農作業で気怠く疲れた身体を休めながら酒を舐め、可愛い盛りの孫娘と話をして、妻や娘が作った手料理の夕食を待つ。
これ以上の幸福があるだろうか、と思った。
戦いに戦いを重ね、知った顔が次から次へと消えていき、戦闘一色に塗り潰され殺伐とした毎日を送っていたあの頃を、まるで嘘か幻であったかのように現実味の無い記憶として思い返す。
そうやってしばらく香辛料が少々きつめの煮豆をぼちぼちとつまみながら白ワインを飲みつつ、セラフィマから今日一日の行動の報告を聞いていると、やがて三人の女達が料理の載った大皿を幾つも持ってダイニングルームへと入ってきて、テーブルの上に配膳を始めた。
「ヴァリーまだ帰ってきてないの? 晩ご飯には帰ってきなさいって言っておいたのに。」
「雑貨屋のカシムの所の坊主と遊んでいるようだ。もしかしたらカシムのところでちゃっかり晩飯を呼ばれているかも知れんな。」
「しょうがないわね、あの子は。ま、それならそれで良いわ。セラ、お兄ちゃんの分も食べちゃいなさい。」
エミーリヤは肉料理の載った大皿をテーブルの中央に置くと、腰に手を当ててやんちゃな孫の所業に溜息を吐いた。
料理が並び、小皿やカトラリを並べ終えてジュンユーが皆のグラスに水を注ぎ始めたところで、玄関に人の気配がした。
「ああ、いい。俺が出る。これを頼む。」
来客に椅子から立ち上がろうと腰を浮かせたエミーリヤを押し止め、ジュンユーは水のボトルを彼女に渡した。
ダイニングテーブルを周り、部屋から出て玄関へと向かう。
玄関の扉の外には、男性のものらしいシルエットが、差し込んでくる街灯の白い明かりの中に浮かんでいた。
「ジュンユー、うちの小僧が来てないか? そろそろ晩飯だ。連れ戻しに来た。」
玄関ポーチの明かりを付け、ドアを開けようとノブに手を掛けたところで、ドアの向こう側から雑貨屋のカシムの声が聞こえた。
「何だって? ヴァリーはお前の所でムハンマドと遊んでいると聞いていたが?」
ドアを開け、カシムの姿を認めたところでジュンユーは訝しげに言葉を返した。
またあのワルガキ共が、日が暮れるのにも気付かず夢中になって遊び歩いているのか。
「いや、うちのボウズも昼頃から姿を見ねえんだ。てっきりこっちで遊んでるんだと思ってたんだが。」
「全く、あの悪ガキ共めが。探すか。バクティヤールのとこか? ちょっと待っててくれ。」
誰かの家でちゃっかり夕飯にありついているなら、問題は無かった。
村から離れているようなら、夜になって狼や熊に襲われる危険性があった。
いずれもまだ十才程度の子供だ。猛獣に襲われればひとたまりも無い。
そうで無くとも夏場とはいえ夜は冷える。暑い昼間の服装のままでは、子供の小さな身体などすぐに冷え切ってこごえてしまうだろう。
「雑貨屋のムハンマドもいないらしい。ヴァリーを探してくる。先に食っておいてくれ。」
ダイニングルームに顔だけ出してそう言ってから、ジュンユーは玄関に戻り、脇のハンガーに吊るしてあったジャケットを引っかける。
ジャケットに袖を通しながら玄関から外に出ると、先ほどまでよりも若干心配顔のカシムが待っていた。
多分、カシムもジュンユーと同じ事を考えているのだろう。
「床屋のバクティヤールの所に行ってみよう。最近あそこの小僧と時々遊んでいるようだ。」
「済まないね。うちの孫がまた迷惑かけて。」
玄関まで出てきたエミーリヤの声が、家の中からジュンユーを追いかけてきた。
エミーリヤも玄関を出て、表に姿を見せる。
「いやいや。どうせまたうちのボウズが、都会からやって来た友達に格好つけようとしてイキがって引っ張り回してんだ。こっちこそ迷惑かけて悪いな。」
「ガキ共、今夜は罰としてメシ抜きだな。行くか。」
そう言ってジュンユーは雑貨屋の主人カシムを伴い、村の中央に向けて道を歩き始めた。
いつも拙作お読み戴きありがとうございます。
新章です。
とは言え、もう終わりが近付いていることは、雰囲気から感じておられると思いますが。
章タイトルですが、前話のメッセージと、かの超有名な悪ガキ共の冒険映画にもあやかりました。
ただ、日本語訳をどうするかで少々悩み、結局日本語訳無しにしました。
日本語訳で「いつでも一緒」とか、「どこでもいっしょ」とかにすると、登場人物が白ネコ化して「和むにゃ」とか言い始めそうな気がして。w