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A CRISIS (接触戦争)  作者: 松由実行
第十二章 Scorpius Cor(蠍の心臓)
360/405

19. 兵どもが夢のあと


 

 

■ 12.19.1

 

 

「敵分艦隊BSFαまで距離30万km。急速接近中。BSFβまで距離45万。」

 

「左舷艦首被弾。ミサイル発射管#2大破使用不能。」

 

 絶え間ない被弾の衝撃に揺れる中、オペレータの声が艦橋(ブリッジ)に詰めるクルー前任の耳に届く。

 もちろん、第一機動艦隊旗艦戦闘空母テラナー・ドリーム艦長であるヴィンセント・ハガード大佐にもそれは聞こえている。

 

 元々相当に苦戦を強いられるであろう事は予想されていた戦いであった。

 ファラゾアが5000m級巨大戦艦という隠し球をもっており、そして3000m級戦艦三隻ずつからなる分艦隊を二つ突出させたことで、戦いはさらに不利になった。

 苦戦を強いられることが予想、などという言葉は表現が控えめに過ぎるな、とヴィンセントはシールドバイザーの下で口元を歪めた。

 

 そもそも火力で劣っていた。

 艦の数でも劣っていた。

 宇宙空間での艦隊戦を行う経験も不足していた。

 そこにさらに隠し球を投入された。

 勝てるわけが無かった。

 

 なぜそのような現実が存在することを知りながらこの時期に戦いを仕掛けねばならなかったのかその理由を良く理解しつつも、しかしヴィンセントは派兵を決めた奴をぶん殴ってやりたいと思った。

 今でこそ地球上からファラゾアを一掃し母なる星をその手に取り戻しはしたものの、ほんの十五年ほど前、我が物顔で地球の空を飛び回るファラゾアと化石燃料を使用したジェット戦闘機で戦っていた頃、空軍の連中は似た様な経験をたくさんしてきたのだろう。

 その頃海軍は息を潜め港に身を隠し、何もすることが出来ず遊んでいるしか無かった。

 

 これも持ち回りのようなものだと思って諦めるしか無いなと、ヴィンセントはヘルメットの中で小さく溜息を吐いた。

 口元にマイクがあるので、僅かな音声でも確実に拾われてしまうのだ。

 溜息を吐くことさえ許されんとは、なんと窮屈な職場環境か。

 溜息の代わりに、光を反射して表情が見えにくいヘルメットシールドの下で、ヴィンセントは唇を皮肉に歪めた。

 

「駆逐艦カミカゼ、中破! 推力低下。艦隊機動を維持できません。」

 

「カミカゼは戦列を離脱し退避せよ。無駄に犠牲を増やすことは無い。生き延びることが出来るなら、生かしてやりたい。」

 

 この戦いで第一機動艦隊はほぼ壊滅するだろう。

 人類の夢という名を付けられたこの艦も、再び地球を眼にすることは叶わないだろう。

 しかし戦いはこの一戦で終わりでは無い。

 次の戦いに一隻でも艦が多いに越したことは無い。

 

「駆逐艦ゲイルスコグル、中破! 同じく推力低下。付いてくることが出来ません。」

 

「ゲイルスコグルも退避だ。」

 

 今第一機動艦隊の航路は宇宙空間に大きく弧を描き、敵艦隊の近傍を掠めて飛び去りつつ至近距離から砲撃を加えるコースに乗っている。

 推力が低下したという事は、その弧を描く事が出来なくなるか、或いは単艦で後方に取り残されて、いずれにしても敵からの集中砲火を浴びることになるだろう。

 ならばそうなる前にさっさと逃がしてやる方が良い。

 

 前面に展開している駆逐艦が次々と討ち取られ、これで残る駆逐艦は三隻となった。

 主力であるテラナー・ドリームの前面に展開して敵の眼と砲撃を集め、本艦に敵の攻撃が集中することを避けるための盾の役割を果たしてくれた。

 敵よりも短い有効射程距離にまで近づき、直接敵と殴り合いが出来るところまで引っ張ってきてくれた。

 それだけでも彼女達は十分に役目を果たしてくれたと考えるべきだろう。

 問題は、先の駆逐艦二隻を退避させると、火星攻撃隊は残り四隻となってしまうことだ。

 単純に考えて、当初の倍の量の砲火が集中する。

 攻撃を開始したときよりも敵との距離が遙かに詰まっていることを考えると、着弾する砲火の量は数倍になるかも知れなかった。

 今人類に建造できる限りの巨体をもったテラナー・ドリームとはいえども、ファラゾア艦隊からそれだけの砲火を浴びれば、どれほど保つのか心許ないことこの上ない。

 或いは、敵艦隊本体まで三十万kmの最近接点まで保たんかも知れんな、とヴィンセントは僅かに顔を顰めた。

 

 敵艦隊との位置関係と現在の進捗状況を概略で示すいわゆる戦術マップを自席のモニタ上に睨み付けつつ、その様な事を考えていると再びオペレータの声がヘルメットの中に響いた。

 

「駆逐艦カミカゼ、退避命令に従いません! 敵分艦隊BSFαに向かって転針!」

 

 なんだって?

 BSFαに向かって単艦突撃するつもりか?

 突破できるわけが無い。

 敵艦との距離が近くなり命中精度が上がると、集中砲火で穴だらけにされて短時間で沈められるのは火を見るよりも明らかだった。

 手遅れにならないうちにすぐさま引き戻さねばならなかった。

 連邦宇宙軍に、無駄死にして良い余剰艦など一隻も無いのだ。

 

「重ねて退避指示を出せ。」

 

「アイアイ、キャプテン・・・駆逐艦カミカゼより返信。『我、ヤスクニ方面に向け退避中。我ら地球人類に勝利と栄光あれ』、です。」

 

 なんてこった。

 思わずヘルメットの上からでもこめかみに手を当てそうになったところに、さらにオペレータの声が響いた。

 

「駆逐艦ゲイルスコグル、退避命令に従いません! こちらはBSFβに向けて転針!」

 

「駆逐艦ゲイルスコグルより返信。『ヴァルハラで会おう』です。」

 

 ヴィンセントは、戦術マップを映す手元のモニタをズームさせ、二艦の針路を確認した。

 いずれの駆逐艦も敵部隊に向けて大きく舵を切っており、すでに引き返せない航路に乗っていた。

 今更進路を変えれば、敵分艦隊からの砲撃の良い的になるだけだった。

 二隻の駆逐艦は、それぞれ針路正面に据えた敵分艦隊との距離を急速に縮めていく。

 

 なんなんだこいつ等は。

 そもそも、第一機動艦隊が編成された時点で気にはなっていたのだ。

 片や先の大戦で天下の米軍を心底ビビらせた、日本の航空攻撃隊の名称そのもの。

 もう一方は、北欧神話で英霊を戦士達の楽園に連れて行く戦乙女(ヴァルキュリア)の名。

 彼女達を建造した日本軍とドイツ軍の不退転の決意を示すものと好意的に受け取っていたものだったが。

 まさにその二艦が全く同じ行動を取ろうとは。

 

 もちろん、ヴィンセントは彼らが何を意図しているかを理解している。

 テラナー・ドリーム前面に展開している駆逐戦隊の「盾」が薄くなり丸裸にされつつある今、敵分艦隊からの熾烈な砲撃を自分達に集め、虎の子の大口径レーザー砲ヴィジャヤを装備するテラナー・ドリームへの被弾を一発でも少なくして一秒でも長く生存させ、そして一発でも多くのレーザーを敵艦に浴びせ掛けること。

 どうやら彼らも、テラナー・ドリームがこの戦いを生き残れることは無いと、ヴィンセントと同じ結論に辿り着いたようだった。

 

「・・・おおバカヤロウどもが。」

 

 食いしばる歯の間から絞り出したような言葉が漏れる。

 

「駆逐艦カミカゼ、推力低下。敵ミサイル多数着弾します!」

 

「駆逐艦ゲイルスコグル、火災発生。ランダム機動を停止しました!」

 

「駆逐艦カミカゼ、爆沈!」

 

「駆逐艦ゲイルスコグルに砲撃集中。ゲイルスコグル大破。まだ砲撃止みません。ゲイルスコグル・・・爆沈。」

 

 駆逐艦カミカゼは、推進器に直撃弾を受けて推力低下したところに、多数の敵ミサイルの直撃を受けて虚空に爆散した。

 駆逐艦ゲイルスコグルは、敵戦艦の大口径レーザーによって艦首方向から削られるように破壊されていき、最終的には艦内で大規模な火災が発生し、機動力を大きく奪われたところでさらに多数のレーザー砲が集中し、まるでバラバラに分解されるように爆発飛散した。

 

 ヴィンセントは、船殻に隔たれた遙か彼方の見える筈の無い駆逐艦二隻に向かって、ヘルメットの上からであったが、指を揃え完璧な海軍式の敬礼を送った。

 その姿を脇からヘンリッキがちらりと横目で見たが、倣って敬礼することは無かった。

 

「敵艦隊最近接点まであと30秒。」

 

 命中弾による爆発で絶え間なく震える艦体の振動がシートを通して伝ってくる中で、オペレータの声がヘルメットの中に響く。

 ちなみにであるが、艦の質量が比較的大きいテラナー・ドリームでは、同じレーザーの着弾による爆発であっても、小さな駆逐艦に較べて幾らか穏やかな震動となる。

 

「副砲塔#12被弾。使用不能。使用可能な副砲塔が60%を割りました。」

 

「主砲塔の状況は?」

 

「ヴィジャヤA、B共に健在。損傷無し。最大出力で砲撃継続中。目標BBB01。」

 

「BBB01の損害状況はわかるか?」

 

「光学センサ画像解析によるBBB01艦体からの赤外線急増認められません。命中弾無し。」

 

 クソッタレが。

 BBB01の姿は光学的にバッチリ見えているのに、なんでレーザー砲は当たらないんだ。同じ光だろうが。

 ミサイルが全部弾かれるのは分かる。今までもそうだった。

 レーザー光だけ濾し取る様な光学選択性のあるシールドでも張っているとでも言うのか。

 ヴィンセントはギリリと歯を鳴らし、戦術マップ上に表示されているBBB01のマーカを睨み付ける。 いや、案外そうかも知れん。

 何せ地球人類よりも数十万年も先を行く敵なのだ。

 味方のレーザーは通すけれど敵のレーザーは通さない、なんてふざけた性能のシールドを持っていたって不思議じゃ無い。

 

「命中弾、増加しています。敵艦隊本体との距離40万km。分艦隊BSFαとの距離15万km。」

 

「左舷艦首ブロックA08からA12、気圧低下。当該ブロックを気密閉鎖します。」

 

「艦首左に30度振れ。針路変わらず。」

 

「アイアイ。艦首左に30度。」

 

 副長が艦の姿勢を修正し、艦体の右舷を敵に見せる。

 テラナー・ドリームは艦首を真っ直ぐ敵艦隊の方向に向け、まるで横向きにドリフトするかのような姿勢で敵艦隊に接近していく。

 宇宙空間での重力推進であるため、艦の向きと進行方向は必ずしも一致する必要は無い。

 左舷よりも被害の少ない右舷のレーザー砲と、艦底に二基設置された主砲であるヴィジャヤが敵艦隊を捉え続け、レーザー発振器を焼き付かせんとばかりに全力で砲撃を加え続ける。

 

 ヴィンセントは絶え間なく着弾の振動が伝わる艦橋で、睨み付けるようにして刻々と状況を伝える戦術マップを睨み付ける。

 突出している敵分艦隊αとβの鼻先を掠めるようにして、第一機動艦隊は相対速度差1万km弱ですり抜ける事が出来る筈だった。

 しかしテラナー・ドリームはすでに数えられないほどの命中弾を受け、被害状況表示は艦全体が赤と黄色に染まり無色の場所を探す方が難しい。

 

「ヴィジャヤA被弾! 砲身A1、A2共に大破。A砲塔使用不能!」

 

「ヴィジャヤA切り離せ。」

 

 被弾し、半ば融け破壊された主砲塔のひとつが、無用な質量として切り離される。

 独立連動型の砲塔であるヴィジャヤは内部にリアクタを持っており、その可能性は低いとは言えども、リアクタ暴走による爆発など起こされてはたまったものではない。

 

「命中弾さらに増加。艦隊左舷は船殻の30%を喪失しました。艦体内部構造に被弾多数!」

 

「艦首針路に向けろ。艦体を回転(ロール)させ上下反転。敵側に右舷。」

 

 比較的被害の少ない右舷を敵に向けたが、その代わり今度は右舷に着弾が集中する。

 ランダム機動を行っているため、口径2000mmの敵レーザー砲が一瞬掠めるだけだが、それでも敵弾は艦の外殻を爆発飛散させ、少しずつ削り取っていく。

 だがそれは、敵艦隊にしても同じだ。

 発振器が灼き切れんとばかりに激しく砲撃を繰り返す味方のレーザー砲も、同じ様に敵艦の表面を削っている。

 ただ砲の口径が格段に小さく劣り、そして砲門の数が圧倒的に少ない。

 

「命中弾数さらに増加。右舷船殻の30%を喪失。使用可能な副砲塔が50%を割りました。敵ミサイルに対する近接防御、支えきれません!」

 

「3連GLT(光学ガトリング砲)#3大破。GLTは残二基。ミサイル迎撃更に悪化します。」

 

 テラナー・ドリームはまだ推力の低下が発生していないためランダム機動を継続できている。

 その為、対ミサイル近接防衛用の副砲やGLTの数が低下したからと云って、すぐにミサイルに群がり喰われてしまう訳では無い。

 しかしミサイルの着弾はもともと確率に左右される問題である。

 近接防衛力が低下したという事は、着弾の確率が大きく増加したという事でもある。

 要するに、ミサイル着弾は時間の問題でしか無かった。

 実弾体であり、運動エネルギーと爆発のエネルギーの合わせ技で大きな物理的破壊力を持つミサイルの着弾は、レーザー砲の着弾よりも遙かに大きな被害をもたらす。

 

 いずれにしても、艦の最期の時は近い。

 明らかに着弾の震動が発生する頻度が先ほどまでよりも増加したことをシート越しに感じ取りながら、ヴィンセントは末期とも言える指示を出す。

 

「全砲門、過熱リミッタ解除。全ての攻撃を巨大戦艦BBB01に集中。使用可能な発射管からミサイル連続発射。目標BBB01。全弾打ち尽くせ。」

 

 生きて火星を離れることは叶わないだろう。

 であるならばせめて、あの魔法のようなシールドに護られたBBB01にさらに攻撃を加え、シールドがどの様に働いているかを解析するヒントとなるデータを、遠くで戦いを観察してるはずの特務艦に持ち帰らせようと考えた。

 

 横っ面を張り倒されたような衝撃が艦を突き抜ける。

 視界がぶれ、身体を大きく揺さぶられてシートベルトが身体に食い込み、一瞬意識が飛びかける。

 

「艦首右舷被弾! 艦首大破! 隔壁閉鎖、気密確保!」

 

 衝撃でどこかの電子部品が壊れたか、薄煙が立ち上る視野の中オペレータの声が響き渡る。

 今のは明らかにミサイルの着弾だった。

 更に増えるだろう。

 潮時かと思った。

 警報の電子音が耳元でうるさく鳴り響く中、ヴィンセントは務めてはっきりと発音して最後になるであろう指示を出す。

 

制御を(チェンジザ)自動モー(コントロール、)ドに変更(トゥオートモード)総員退(オールハンズ、)艦せよ(アバンダンシップ)。」

 

 全長900m近いテラナー・ドリームには、避難用の救命艇が四艘搭載されている。

 武装も無く、推進力も弱いただの脱出ポッドの様なものだが、数分以内に確実に撃沈されるであろうこの艦と、まるで赤ん坊のように抵抗する力も無く推進力の弱い救命艇で戦場に放り出されるのと、どちらがましだろうと一瞬考えた。

 赤十字のマークを付けた救命艇に対して、紳士的にもファラゾアが攻撃を控えると期待するのは希望的観測が過ぎるだろう。

 

 艦橋の全員がヴィンセントを見た。

 ヴィンセントは自席の後方にある出入り口を親指で指し示し、指先をバイザーシールドに当ててかなり崩れた敬礼をした。

 彼の方を見ていた艦橋のクルーは一瞬躊躇ったのち、全員が自分の持ち場に向き直り、シートベルトを外そうとするものは居なかった。

 

 全く、こいつらも大馬鹿野郎揃いだ。

 折角逃げ出すチャンスをやったというのに。

 と考えつつも、内心彼等の反応が嬉しく、ヴィンセントはヘルメットの中で口角を上げる。

 

 再び激しい衝撃が艦橋を襲った。

 斜め下から突き上げるような衝撃にヘルメットを被った頭を振り回され、視野が一瞬白く染まったが意識を失うようなことは無かった。

 

「艦尾右舷被弾! 大破! リアクタB停止、リアクタA出力低下60%。AGG#4、#5停止。推力10%低下!」

 

「パワー供給量35%低下。戦闘に支障なし!」

 

 リアクタが停止して電力供給量が大きく低下したが、大電力を消費するレーザー砲は既に半数以上破壊されている。

 状況が悪化する訳ではないようだった。

 

「B砲塔被弾! ヴィジャヤB大破、機能停止!」

 

「ヴィジャヤB切り離し。」

 

 再び強い衝撃が突き抜ける。

 鼻の奥にツンとした痛みが残る。

 その不快さから回復しないうちに再び衝撃。

 今度は一瞬意識が飛んだ。

 

「被害報告!」

 

「艦尾右舷被弾! 中央右舷被弾! 艦尾にかけて右舷大破!」

 

「艦体回転。左舷を敵に向けろ。」

 

「リアクタA停止! リアクタC出力低下!」

 

「AGG#3、#6停止! 推力30%低下! ランダム機動維持できません!」

 

「進路方向加速度を600Gに低下。残りをランダム機動に回せ。」

 

「敵艦隊本体最近接点に到達。」

 

 敵艦隊の眼の前までやってきたが、艦には既に敵を攻撃する能力が殆ど残っていなかった。

 

「砲塔稼働率30%に低下!」

 

「敵ミサイル群接近。数1500発。着弾まで5秒。全GLT大破。防ぎきれません!」

 

「救命艇#3の射出を確認。」

 

 なんだ、ちゃんという事を聞いて脱出したヤツも居るじゃ無いか。

 そう思って、シールドバイザーの下で笑うと同時にひときわ激しい衝撃が襲いかかり、ヴィンセントの意識は暗転した。

 

 

 A.D.2054年04月06日、グリニッジ標準時20時18分23秒。

 地球人類が初めて建造した大型戦闘艦、戦闘空母「テラナー・ドリーム」は、火星から太陽系内部方向へ約40万kmの火星周辺宙域にて、駐火星ファラゾア艦隊からの猛攻を受け爆沈した。

 その残骸は2200km/sもの速度を保ったまま、深宇宙方向へと漂流し消えていった。

 

 なお、当該テラナー・ドリームが旗艦であった第一機動艦隊、通称第一次火星宙域会戦に向かった火星攻撃隊に参加した九隻の艦艇の内、生存して地球に辿り着いたのは僅か三隻であった。

 

 

 第一次火星宙域会戦戦力と帰還艦艇

 

  地球連邦宇宙軍 第一機動艦隊

第001駆逐戦隊 001st Destroyer Squadron (001st DDSQ)

 駆逐艦DDSP-001 ドラグーン   中破 帰還

 駆逐艦DDSP-002 ラーン   撃沈

 駆逐艦DDSP-005 アマツカゼ   中破 帰還

 駆逐艦DDSP-007 タチカゼ   撃沈


第002打撃戦隊 002nd Strike Squadron (002nd STSQ)

 戦闘空母BCSP-002 テラナー・ドリーム   撃沈


第003駆逐戦隊 003rd DDSQ

 駆逐艦DDSP-003 カミカゼ   撃沈

 駆逐艦DDSP-004 フィッツジェラルド   大破 帰還

 駆逐艦DDSP-006 ゲイルスコグル   撃沈

 駆逐艦DDSP-008 ミストラル   撃沈

 

  小型戦闘艇類

   コルベット参加六隻帰還五隻

   戦闘機参加二千四百七十八機、帰還九百三十機

   攻撃機参加二百十四機、帰還四十六機

   空間管制機参加十二機、帰還十機

   

 

 

 

 

 

 

 いつも拙作お読み戴きありがとうございます。


 ここのところ1回/週での更新になっており申し訳ないです。

 公私ともに面倒なことになっていて。

 更新を中止する事だけはありませんので、そこはご安心下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新停止してもいつまでもお待ちしております
[一言] 戦闘機群がどうなったか気になる人はほんへ(夜空に瞬く星に向かって)読め
[一言] 話は読ませてもらった 人類は滅亡する!
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