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A CRISIS (接触戦争)  作者: 松由実行
第八章 Base Deffence (基地防衛)
184/405

13. Second Lieutenant Jiali He (何佳丽少尉)


■ 8.13.1

 

 

「今日は試運転を行う。」

 

 すでにもう当然の出撃シーケンスとなった、格納庫前のエプロンからGPUを使って直接離陸し、緊急の状態でも無いためGPUとモータージェットのみを使用して高度5000m、対気速度600km/hに到達した後、ハミ基地に割り当てられている幾つかあるRARの巡回コースのうちの一つに乗り、水平飛行でタクラマカン砂漠を南西の方角に向けて飛び始めてから数分経って、突然達也が脈絡の無いことを言った。

 

 国連空軍哈密(ハミ)空軍基地所属第3852飛行隊(チョンイン)の12番機パイロットであるテレーザ・アイクシュテット少尉と、13番機のジャッキーことジャリー・ファ(何佳丽)少尉、即ち達也が編隊長を務める3852A2小隊の2番機、3番機である二人は、半ば慣れてしまった上官からのいきなりの要求に、天を仰ぎ溜息を吐いた。

 

 二人は元々同じハミ基地ではあっても、テレーザが3858TFS、ジャッキーが3860TFSに所属していた。

 

 テレーザは元々ジョージアとの国境にほど近い、ロシア南部のグロズヌイでカスピ海の対岸アクタウにファラゾアが陣取り形成した降下点に対する作戦に参加していた。

 

 母国オーストリアで二十歳の時に国連軍の新兵教育プログラムに参加し、その中で戦闘機パイロットの適正有りと診断され、スマートな機体に一人搭乗し空を自由に駆け回る戦闘機パイロットという職業が酷く格好良いものに思えて、そのオファーを二つ返事で承諾した。

 その実蓋を開けてみれば、洗練された機能美の戦闘機を駆って自由に空を舞う理想像などどこへやら、その実態はとんでもなく低い新兵生存率に、毎日のように敵と戦い神経を削られる日々、非番の日など月に数日しかなく、例え休みの日であっても敵との交戦状況によっては有無を言わさずかき集められ、無理矢理愛機に乗せられて戦場に向けて叩き出されるという想像を絶するようなブラック職場であったのだが、空を飛ぶこと自体は変わらず大好きであったのでどうにか心を壊さずまともで居続けることが出来、そして腕の未熟な新兵時代を運良く生き残りそして経験を積んで、気が付けば少尉に昇進して、周りから有望な若手パイロットと呼ばれて一目置かれる様になっていた。

 

 約一年前、その前年に崩壊した中華人民共和国が独力で維持し続けていた、今では国連軍が戦闘の主体で補給や各航空基地の維持管理を中華連邦軍が主に担当することで辛うじて維持され続けている、ハミ降下点と地球人類の生存域との間に設けられた戦線を増強するために中国奥地へと送り込まれた多数の補充兵士の内の一人として、テレーザはこのハミ基地に着任した。

 随分遙か遠くまで来てしまったものだと着任当初は感慨深く、或いは軽いホームシックの様なものを感じたりもしたものだったが、結局のところ地球上のどこに配属されようとやらなければならないことは常に変わらず、現地入隊兵士が中心となり、残りの大部分は周辺国から集められた兵士達で構成される国連空軍の部隊構成の中で、中部ヨーロッパ出身である自分はどこに行こうと異邦人、あるいは外人パイロットの様なものとして扱われるのだと心の中で折り合いを付けた後は、地理的な問題について特に悲観的な思いに囚われること無く任務をこなし続けてきた。

 むしろこのハミ降下点周辺の基地では、中華人民共和国崩壊後に急激な兵力増強を行ったため域外の出身である兵士の割合が比較的高く、案外にグロズヌイに居た頃よりも疎外感を感じずに済む環境であることに気付いたものだった。

 

 ジャッキーは元々中華人民共和国空軍(人民空軍)のパイロットとして、陝西省西安市郊外のの閻良区にある中国西安飛機工業集団の戦闘機製造ラインからロールアウトした機体を、試運転を兼ねて主に酒泉、張掖といった甘粛省にある最前線手前の航空基地に回送する任務に携わっていた。

 最前線にそこそこ近い地域ではあったものの、彼女自体は戦闘に参加することを求められておらず、次から次へとまるで掃除機に吸い込まれるかの様に損耗していく戦闘機を補充する仕事は忙しくはあったものの、「全人民が一致団結して危険を顧みず積極的に戦い外夷ファラゾアを討ち果たせ」という共産党政府お決まりのスローガンを脇目に、自分の任務はそれほど危険があるわけでは無いと内心安心し、そして上手く「美味しい」仕事を射止めることが出来た自分の幸運を喜んでいた。

 

 プロイセン出身の偉大な思想家の名前を拝借しただけの、結局は独裁帝国主義国家と成り果てた中華人民共和国と、その独裁者の供給源であった共産党が人々から完全に愛想を尽かされた後に両方とも同時に崩壊し、色々問題を山の様に抱えつつもしかし少なくとも「前の奴等よりはマシ」と人々に一応受け入れられた中華連邦政府が、その巨大な軍事力を受け継いで国連軍と共闘する路線を打ち出したところで彼女の人生は大きな転換点を迎えた。

 慢性的な戦闘機パイロット不足に喘ぐ国連軍は、その傀儡である中華連邦政府に対して、国連軍準拠のパイロット適性検査を国軍兵士に対して実施することで「埋もれ眠っている」才能を発掘するよう「推奨」した。

 同時に、巨大な人口を抱え、また安保理事会常任理事国という地位を継承した中華連邦に対してその国力相応の国連への「協力」を求め、新生中華連邦はこの国連からの要請を、この非常時に於いてこの星の上に生きる人々のもはや義務であるとして「快く」受け入れた。

 

 中華人民共和国崩壊の後、軍組織だけが虚ろにそのまま残り、どこからも具体的な指示命令が下されること無くしばらく暇を持て余していたジャッキーに対して、新たに軍の主人となった連邦政府から初めて下った指示は、実戦経験が有る無いに関わらず全てのパイロットに対しても実施が推奨されたこのパイロット適性検査の受検であった。

 共産党幹部であった基地司令官が共産党崩壊と同時に行方をくらまし、軍規も倫理もガタガタになりかけていた組織の中で、あくまで「推奨」との事であったためジャッキーはこれ幸いとその受験を拒否した。

 例え拒否の意思表示をしようともどうせ最終的には強制的に受験させられるのだろうと半ば諦めて行った意思表示であったが、予想に反してその要求は上官に受理された。

 受理されたことで、この生命の危険の無いユルい任務を引き続き継続できるものと小躍りするジャッキーに対してその代わりに下された命令は、新生中華連邦の国連に対する協力活動の一環として行われた、中華連邦空軍パイロットの大量出向者のうちの一人として名を連ねることであった。

 

 国連軍への出向と同時に即日下命された転属命令の行き先は、何があっても絶対に行きたくないと考えていた最前線、西域基地の一つであるハミ基地で新たに編成される戦闘機部隊への配属であった。

 

 同じ陝西省で任務に就いていた多くのパイロット達と共に蘭州にある国連軍基地に行き、国連空軍の明るい紺色の制服を着たフランス人の中佐からその命令を受けたとき、目の前が真っ暗になったような思いで、絶望した。

 国連が中華連邦軍に推奨していた適性検査は、例えそれが建前であったとしても、全パイロットが対象なのではなかったか。

 出向者は適性検査受験のチャンスも無く、有無を言わさず前線送りになるなんて。

 あの時素直に西安の中華連邦空軍基地で受験していれば、不適格という事で前線送りにならずに済んだかも知れなかった。

 

 人民空軍の最前線基地での戦闘機パイロットの一年後生存率は50%を切っていると伝え聞いていた。新人パイロットのそれは20%かそれ以下であるとも。

 パイロットとしての経験はあっても、戦闘経験の全く無い自分はいわば新人パイロットと同じであるという自覚があった。

 つまりそれは、80%という高確率で、一年後自分は生きては居ないと云うことだった。

 

 まるで壊れた人形のように茫然自失とした状態で皆と一緒に兵員輸送トラックに放り込まれ、エプロンの端でトラックの荷台から引きずり出されて意志のない操り人形のように装備品を身に着け、こればかりは何百回と繰り返して身体に染みついて覚えている離陸シーケンスを完了し、ハミ基地に移動するために高度3000mで編隊を組んだところで自分を囲む他の戦闘機を目にした時、真っ黒いとでも形容出来る恐怖に襲われて恐慌状態に陥った。

 

 恐怖に駆られて意味不明な声を上げ、瘧の発作の様に大きく震える手で操縦桿を握り締め、涙や鼻水といったあらゆる体液を垂れ流し、視界のぼやけた目の焦点は定まらず呆然とHUD越しに見える黄土色の荒野をただ見ているだけだった。

 否。

 その黄土色の礫砂漠の向こうに、自分の人生が終わる場所、砂塵吹き荒ぶ大地にぽつんと存在する墓標のような航空基地が存在する。

 ジャッキーの目には遙か1000km以上も彼方にあるその基地が、蜃気楼の如く礫砂漠の上に不吉に浮かんでいるのが確かに見えていた。

 

 機体の上下がひっくり返るほどの衝撃でヘルメットをキャノピーに打ち付けられ、その衝撃と痛みでジャッキーは我に返った。

 僅か3000mしかない高度で、緩い錐揉みで落下する機体を本能的に立て直し、順面水平飛行に戻せたのはひとえに、時間だけは新兵などより遙かに長い飛行経験によるものだった。

 何が起こったか分からず、バイザーを上げて涙で曇った眼を拭うジャッキーのすぐ脇に、暗灰色の国連軍機色に塗り直されたJ38がひらりと舞い降りてきて翼を並べた。

 

「落ち着いたか?」

 

 紹介されたものの、名前を覚えていない臨時編隊長の声が聞こえた。

 何か言おうにも、まだ引き攣る喉から声が出ない。

 

 酷い恐慌状態に陥ったジャッキーが誤操作で墜落しないため、また同じ様に死の恐怖と戦い続けている他の兵士達に伝染しないように、編隊長は自分の機体の主翼でジャッキーの機体の翼端を強く叩いて安定性を失わせて錐揉み落下させるという酷く手荒い荒療治を行ったのだった。

 確かにお陰で正気には戻った。

 嘔吐物で溢れるマスクを外しながら、相変わらず涙でぼやける視界の中、横に並ぶ編隊長機のコクピットを睨みながらジャッキーは思った。

 別の原因で皆より一足お先にあの世に旅立ちかけたけれども。

 コイツ絶対本気だった。あたしが元に戻らないなら、足を引っ張られるより先にこの場で墜として捨てていく気だったに違いない。

 

 ジャッキーはまだ知らされていなかったが、臨時編隊長を務めている男ジェイムズ・タン(唐嘉睿)は、ハミ基地に到着後ジャッキーが配属される予定の3860TFS(チェンダー)のリーダーであった。

 リーダーの方は彼女が自分の部下になる事を知っており、正式に配属される前から自分の部下となる者達を気にかけて居る中での彼女の狂態であった為に、即座に思い切りの良い対応が取れたのだった。

 

 ハミ基地に着任した後、件の男が自分の上官である事を知ったジャッキーは、第一印象から来るわだかまりをしばらく捨て去ることが出来ず、当分の間微妙に反抗的な態度を見せていたのだったが、実はジェイムズがそれなりに前線での戦闘経験も有る事を知り、的確な指示とフォローでなんとか部下を死なさずに育てていこうとする真摯な態度を見るに付け、徐々にその態度を軟化させていった。

 死者の国一歩手前の最前線の様なハミ基地での戦いで周りの同僚達が次々と命を散らしていく中、生来の悪運の強さもあったのであろうが、案外に戦闘機パイロットとして高い適性を示したジャッキーは、何度か機体を大破させたり緊急脱出したりを繰り返しながらも死ぬ事無く生き延び、気付いた時には3860TFSの中でたった二人しか残っていない、発足当時からのオリジナルメンバーの一人となっており、文字通り死と隣り合わせの最前線での長い経験は、彼女の格闘戦技術を磨き上げ研ぎ澄ましていた。

 

 准尉の未経験兵として配属されたジャッキーであったが、激戦地への着任から一年経つ頃には少尉へと昇進し、誰もが認める3860TFSの中でトップの成績を持つ部隊エースとして、ハミ基地ではその名を知らぬものなど無い程の若手有望パイロットへと成長を遂げていた。


 配属初日の彼女の醜態を知り、その後も何かと面倒を見る事でジャッキーの生存と成長に大きな役割を果たした初代3860TFS(チェンダー)リーダーのジェイムズは、着任から半年ほど過ぎたある日、毎日のRAR出撃の中で運悪く二百機ほどの敵部隊に遭遇し、奮戦虚しくタクラマカン砂漠の陽炎の彼方に消えていた。

 事の次第をつぶさに観察していたAWACSの報告によれば、ジェイムズ機は部下二機を何とか脱出させようと殿を務めて敵を食い止めようとしたが、その努力虚しく、遙かに数で勝る敵機群からの集中攻撃を受けて守ろうとした部下共々空中で爆散して消滅した、との事だった。

 

 その知らせがもたらされた夜、肩下で切りそろえた黒髪を砂漠の熱風にたなびかせ、照度を落とした誘導灯の青い光りに照らされたエプロンの端に立って、涙を流さずとも黙ったまましばらくの間滑走路の果てのさらに南の暗闇を眺め続けるジャッキーの姿に多くの者達が気付いたが、誰一人彼女に声をかける者は居なかった。

 毎日のように仲間達が何人も死んで消えていく事が当たり前のこの基地で、皆それぞれが死者に別れを告げ自分の心の中を整理する方法を持っている事を、誰もが知っていた。それを邪魔する者は、この基地には居なかった。

 

 そして約半年ほど前、現在地球上で最もホットな最前線の一つであるこの基地に、世界各地の最前線を転戦してきたトップエースが二人配属されると云う情報がもたらされ、その僅か数日後にはその二人が基地に到着した。

 トップエースだろうが何だろうが自分には直接関係の無いこと、まあ腕の良いパイロットがやってくることで戦況が少しでもマシになれば、基地の大半が出撃するような大規模戦闘が頻繁に発生し、小規模の戦闘であればほぼ毎日発生するまるで地獄の一丁目のようなこの酷い有様の戦線も多少は戦況が好転し、その分自分が生き残れる可能性が少しでも上昇すればラッキーだ、程度にしか考えていなかった。

 テレーザとジャッキーの二人とも、が。

 

 突然基地航空隊本部に呼び出され、航空隊本部長直々に配置換えを告げられ、直接の上官となる男を紹介され、そして僚機のパイロットを紹介された。

 上官となる男は、日本人だった。名前をタツヤ・ミズサワ中尉と名乗った。

 余り感情の乗らない視線と、長く最前線に身を置いて数々の修羅場をくぐり抜けてきた者特有の凄みのような雰囲気を身に纏った男だった。

 相棒となる僚機のパイロットについては、同じ基地でも別の部隊であったとは云え、テレーザとジャッキー両者とも部隊エースであった為に互いの名前は良く知っており、また実際に何度も言葉を交わしたことがある程度には顔見知りだった。

 

 航空隊本部長からこの突然の配置換えの趣旨について説明があり、両者とも新たな上官から生き延びる術と、敵を叩き墜とす技術を存分に盗むようにと、にこやかに肩を叩かれた。

 この砂漠の中の最悪の最前線で一年以上も生き延びてきた。敵の墜し方も、人よりは沢山知っている積もりだった。

 他に幾つかの最前線を転戦してきたとは言え、この最低最悪の戦場で生き延びるのと、どれ程の差があるだろうと思った。

 今更この男から学ぶ事など有ろうか、と。

 

 大きな思い違いだった。

 日本人らしく余り愛想の無い態度の上官であったが、意外にもファーストネームで呼ぶことを彼女たちに許す程には砕けた性格のようだった。

 勿論トップエースと言えば自分達よりも高い技量を持っているのだろうとは思っていたが、甘かった。

 その新しい上官との初出撃では、何を思ったかエプロンでGPUを使用して僅かに浮き上がった機体を、GPUとリヒートを併用して突然水平方向に猛ダッシュさせ、僅か五秒後には高度50m、M3.0の超音速衝撃波で砂漠を切り裂きながら水平飛行するというイカレた芸当をその上官が見せ、呆れ果てたことにその気が触れたとしか思えない機動に追従出来なかった二人に対して落第の判断を下すという暴挙を行った。

 

 敵と接触すれば、敵を墜とすためならば平気で部下や他部隊を囮に使い、機体の強度記録や加速の限界記録に挑戦でもしているのかという程の極限機動を行い、そしてとにかく生き残ることと、敵を墜とすことを、まるでそれ以外この世に有るものは全て無駄な物とでも言わんばかりに、その男はとことんそれのみを追及した。

 その男の駆る機体の挙動は、とても航空機の動きとは思えなかった。

 機体の背面に向けて超音速で水平飛行し、機体尾部を下に向けてパワーダイブを行い、左主翼を前にして前方に加速し、そのままの姿勢で音速を突破しながら、左右の主翼を繋いだ機体の横軸を中心にロールしつつ高空にループを描く。

 その男にとって機首の向きが機体の移動方向と一致していないのは当然、まるで気にする必要の無いことで、レーザーの砲口が開いている機首は常に敵の方こそを向いているべきだ、と、出来の悪い生徒を見るような呆れ果てた視線を投げかけつつ、余り抑揚の無い口調で、航空機としては非常識すぎて最早余人に模倣することは不可能な曲芸を見せつけ、それに追従する事を求められた事に対して猛然と抗議する二人に対して、さらりと言ってのける様な男だった。

 

 イカレている。狂っている。完全におかしい。意味不明。理解不能。人類以外。

 その様な意味の言葉を幾つ並べようとも、その全てがしっくりと当てはまる自分達の上官が、突然無茶苦茶なことを言い始めたり、人間、或いは地球上の生物、或いはこの宇宙の物理法則に縛られた全ての物質、それらの存在にとってどう考えても達成不能であるような要求を突然求めてくるのは、もう慣れた。

 二人とも自分達の上官を、昔のハリウッド映画に出てくるような、未来からやってきたよく分からない別の材質で出来たヒト型のナニか、程度に思うようになっていた。

 

「で? なんの試運転をするの? 機体の試運転ならこの間散々やったでしょ?」

 

 呆れ果てたような口調にどこか警戒の色を滲ませて、テレーザが唐突な達也の提案に答えた。

 

「俺の機体だけでは無い、お前達の機体にも付いているはずだ。『LDMS (Last Ditching Maneuver System』だ。」

 

 ああ、出来る事ならそのまま忘れてしまって欲しかったあの正体不明、意味不明な機能を、コイツはやっぱり思い出してしまったか、と、ジャッキーとテレーザの二人は、軽い絶望と共にほぼ同時に天を仰いだ。


 いつも拙作お読み戴きありがとうございます。


 達也君の部下二人の話を書こうと思ったら、ジャッキー回になってしまいました。

 

 お気づきかも知れませんが、人民空軍パイロットの生存率は、国連空軍パイロットのそれよりも少々低めに設定してあります。

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[気になる点] そういえばなんでファラゾシアはAI兵器を投入してこないんだ?
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