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第543話 神の名 3

「此処が結婚式場ね」


「グンタークと同じで大聖堂でやるんだね」


 今日はいよいよマークスさんの結婚式。

場所はヴェルリア王国王都ヴェルサイユにある大聖堂だ。

ボク達は一足先に大聖堂に来て見学していた。


「女神像は三体か。左が女神フレイヤ様。右が女神イシュタル様。中央が女神エロース様だな」


「あ、セフィさん。おはよう御座います」


「うん。おはよう」


「グリムモアでも結婚式は女神像の前でやるんですか?」


「勿論だ。グリムモアでは女神フレイヤ様の像だけだがな」


「そうなんですか」


 人気だなぁ、女神フレイヤ様。

実物を知ってる身としては少々微妙な気持ちになってしまう。


「しかし…女神エロースの像を飾ってるのは珍しいな。それに他の二体に比べて新しいように思うが」


「言われてみれば確かに…」


 他の二体は年季が感じられるが女神エロースの像は真新しい感じだ。わざわざ今日の為に作り直したのだろうか?


「女神エロース様はな、知と自由。そして恋心と性愛の女神なんだ。子宝の神でもあるから結婚式にあってもおかしくはないが…性愛の女神だから敬遠されがちなのだが」


 現代地球の神話に出てくる神エロースも性愛の神だったな。あっちでは男性神だったと思うが、こっちでは女性神なのか。


「セイレンでも女神エロース様の像は飾られていますよ」


「女神ルキナ様の像と一緒にね!」


「両方子宝に関する女神じゃないか」


 セイレンらしい風習です。あの国にとっては子作りが何より重要だから、理解は出来るけども。


「クアドラでは女神ウェスタ様ですね」


「家族愛と家庭を守る守護神として知られる女神様ですよ!」


 女神ウェスタ?知らないな…でも家庭を守る女神様か。

何となくクアドラっぽい。バウデヴェイン様が信じてそうな神様だ。


「レンド魔王国ではどうなんです?イーノさん」


「レンドではその時々ですね。新郎新婦が好きに選ぶ感じです。まあ大体皆愛に関する女神様を選びますね」


 それが一番良いかもしれないな。選択の幅があって。


「サンドーラはどうなの?ベル」


「えっと…ルシール?」


「サンドーラでは女神フレイヤ様と女神アフロディーテ様ですね」


 それはリヴァさんが喜びそうな組み合わせ。

間違い無くボクの結婚式では飾られるだろう。


「ミ、ミトラス王国では女神フレイヤ様だけだそうです」


「……うん」


「モラン王国も同じね」


「エーゼオン王国では女神ルキナ様だけです」


「ああ、シルヴァン君。来たね」


 シルヴァン君が三人の婚約者を連れて来た。

昨日の内に挨拶は済ませているが、四人は仲良くやれているようだ。

偶にファリダさんがポーラさんをからかってポーラさんがむくれてるらしいが。


「マークスさん達の様子は見てきた?」


「は、はい。花嫁の二人は落ち着いてましたけど、マークス兄さんは緊張してるみたいでした」


「マークスは上がり症な所があるからな」


「でも大丈夫ですよ。度胸もある子ですから」


「本番では落ち着くわよ」


「あ、姉さん」


 結婚式の準備を手伝っていたカタリナさん達も来た。

と言っても、結婚式の当日に王族である彼女達が手伝う事なんて大して無い筈だが。


「ふうん…本当に女神エロース様の像を用意したのか」


「え?ヴェルリアの風習ではないんですか?」


「はい。女神エロース様の像は今回特別に、急遽用意したそうです」


「眉唾な話だけど。何でもマークス兄さん、ヘルティさん、ゼフラさんの三人が同じ夢を見たんだってさ」


「同じ夢?」


「うん。何でも女神エロース様が夢に出て結婚式で自分の像を飾るように言ったそうだよ」


「ヴェルリアでは女神エロース様の像を飾る風習無かったので…大急ぎで作成したとか」


「「「……」」」


 何故だろう。嫌な予感が。

いや、恐らく悪い事にはならないけれども。

マークスさん達も女神様に祝福された聖夫婦になる気がする。


 バカ神の研究施設から帰った後。

神様通信で報告した時、今回の結婚式では祝福しなくてもいいと伝えてある。マークスさん達には悪いと思うけど、ボク達が参列した結婚式は全て女神様に祝福されたとなると面倒な事になると思ったからだ。

特に妙に鋭いママ上が怖い。


「ふうん…いいなぁ。僕の時も神様のお告げ、貰えるかな」


「ん。きっと貰える」


「欲しいのはお告げじゃなく女神様の祝福では?」


「そうだけどさ。ノエラさんだって欲しいでしょ?」


「はい。勿論です」


 心配しなくてもボク達の時は貰えます。

既にユウとアイがお願いしてるし。だから尚更今回は悪いと思いつつも祝福はしなくても良いと神様に伝えたのだが。


「ま、ジュンちゃんと結婚する貴女達は祝福されると思うけどね」


「そうね。私もそんな気がするわ」


「アンナお母様、アニエスお母様」


「やっほー。昨日はあまり相手出来なくてゴメンね、ジュンちゃん」


「それは良いんですけど。あまり根拠の無い事は言わないで下さいよ」


「有るわよ?根拠」


「…はい?」


「マークスちゃん達の夢に出た女神エロース様はジュンちゃんの名前を出し、モガッ!?」


 それ以上はいけない。それ以上言わせてはダメだ。何処か、周りに人が居ない場所で聞き出さなくては。


「な、何?何なの?こんな人気の無い場所に連れ込んで…ダ、ダメよ、ジュンちゃん。いくら私の見た目が若くてプリチーでも婚約者の母親と不倫なんて!」


「バカな事言ってないで。女神エロース様がボクの名前を出したって言うんですか?」


「え?あ、うん。『ジュンの友人の君達には僕から祝福を贈るよ』って言ったらしいわよ?」


「……」


 もしかしなくても女神エロースって…バカ神か。

バカ神の名前はエロース…女神エロースだったのか。

そう言えば今の今までバカ神の名前を聞いてなかった。

いや、不思議と聞く気にならなかった。

こうして判明した今となっては不思議で仕方無い。

何故今まで聞こうと思わなかったんだろう?


「ジュンちゃん?どしたの?怖い顔して…やっぱり不倫…」


「しません。その話、あまり広めないようにしてくれませんか」


「え?何で?」


「間違い無くボクにとって良い結果になりませんから。既に話した人にも秘密にするよう言ってください」


「…ええと…時既に遅しかなーなんて…」


「…まさか」


「エリザには昨日の内に話しちゃった」


「お母様ー!何処ですかー!」


「あ。ちょっとジュンちゃん?」


 早く、早くママ上を見つけて口止めしなくては!

何処だ、何処に…あ、居たー!


「だからね、女神エロース様の像があるのは…モガッ」


「失礼!ちょっと母を借ります!」


「え?あ、ジュン様?」


 危なかった…サンドーラ王家の女性陣と話してたみたいだが何とか食い止められた。これ以上流布してはいけない。何とか瀬戸際で抑えなくては。


「あ。帰ってきた」


「な、何?こんな所に連れ込んで…まさか実の母と婚約者の母を纒めて手篭めに!?」


「違います。ていうか考える事それしか無いんですか、あんた達」


「「えー…違うのぉ?」」


「何で残念そうなんですか…そんな事よりです。ママ上、昨日アンナさんから聞いた話、女神エロース様云々は他言しないでください」


「え?どーして?」


「どーしてもです!間違い無く面倒臭い事になりますから!主にボクが!」


 具体的に言うと結婚の申込みだけじゃなく、結婚式の招待状も激増する。

間違い無く。断わるだけでもとんでもない労力を費やす事に…


「んー…手遅れかなー…」


「…何ですって?」


「昨日今日で大体の人に言っちゃった。御義父様と御義母様も話してると思うけど…」


「だから言ったじゃない。既に遅いって」


「…オーマイガッ!」


「…なあに、それ?」


 おのれ…バカ神…善意でやってる風で実はボクをこうやって追い込むのが目的なんじゃないだろうな。


「ええと…そろそろ時間なんだけど…ジュンちゃん、諦め着いた?」


「というか、諦めなさい。男は諦めが肝心よ」


「ボクは諦めの悪い男でいたいです…」


「でも諦めなさい。ほら、行くわよ~」


 何とか出来ないかと考えに考えたが。

ユウとアイにも諦めようと言われてしまい。

結局どうにもならなかった。

そして予想通り、ボクが出席した結婚式は神様の祝福が貰えるんじゃないかという噂が広まるのだった。

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