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第539話 神の島 11

 セフィさんが発見した遺跡。

その調査もいよいよ大詰めだ。次の部屋で全て明らかになる筈……多分。


「ジュン様、この部屋は調べないのですか?」


「見た所何も無さそうではあるが…」


「うん。この部屋は多分、大型の魔獣を搬入する為の部屋だよ。探査魔法を使ってわかった」


 左側にある積層型の扉。アレは大型の搬入用昇降機…エレベーターだ。アレは恐らくは外…島の何処かに直結してるのだろう。


「はぁ…しかし、この部屋に大型の魔獣を運び込んでも部屋から出せそうにありませんが…」


「そんな事ないよ。ちゃんと大型の魔獣が通れる扉があるよ」


「え?何処にだ?」


「人が通れるサイズの扉しか見えませんが…」


 ノエラ達は積層型の隔壁なんて見た事無いだろうしな。解らないのも無理は無いか。


「という訳で…開けれそう?ユウ」


「ダメ。隔壁を開けるにはカードキー…専用の鍵がいるみたい」


「鍵はアンドロイドが持ってたんだろうけど…」


「レッド・ベヒモスの胃袋の中、か…」


 残念ながらノエラ達に隔壁が開く様を見せる事は出来ないようだ。

仕方無いので、その横にある通用口から奥の部屋へ。

…と、その前に。


「いい加減起きて下さい、白猿兄」


『ハッ!……此処は誰?俺は何処?』


「寝起きにしてはキレキレのボケじゃない」


「魔獣にビビって気絶とか。貴方本当に神獣?」


『な、何だよ…その冷たい目は…気絶?……あっ』


 レッド・ベヒモスの死体とボク達の冷たい視線を受けて、ようやく事態を把握したらしい。

ダラダラと汗を流し、オドオドする白猿兄。

残念ながら君のフォローをしてくれる味方はいないよ?


『あ、あのさ…この事は…』


「…御家族には秘密にしますから。引き続き大人しくしててくださいね」


『…はい』


 すっかり小さくなった白猿兄を連れて奥の部屋へ。

そこは今までで最も広く、天井の高い部屋で東京ドーム二個分くらいはありそうな巨大な部屋だ。

そして…予想通りに大型の魔獣が多数存在していた。


「マウンテンバッファローにワイバーン…レッサードラゴン…」


「ロックバード…オーガにギガンティックスネーク…」


「ニーズヘッグまでいるじゃないか…何処で捕まえたんだ?」


 ボク達が今までに倒した事のある魔獣はほぼ全て揃っている。中には見た事のない魔獣も。


「アースワームにアーマード・モス…アレは見た事無いね」


「アレはロックスコーピオンだな。猛毒のサソリだ。勿論食えない」


「食べれたとしても食べないよ…」


 他にも見た事の無い魔獣は多数。

そして壁面は水槽になっていて、まるで水族館なのだが…水槽の中の魔獣は自由らしい。普通に泳いでいた。


「シーサーペントに大ヒョウモンダコ…」


「マーマンにサハギンは大量…エサ扱いかな?」


「かな?後は…メガロドンも居るね」


『あ。あの魚。俺を囓った奴だ。よし、仕返しを…』


「止めてください」


 白猿兄を怪我させたのはメガロドンだったのか。

白猿といえども水中じゃメガロドンにも苦戦するのか…


 水槽の中の魔獣は自由に動けるだけあってボク達を見た途端、水槽のガラスをバンバンと攻撃し始めた。

一瞬、割れると思って身構えたが大丈夫そうだ。

ヒビすら入らない。


「どんなガラスで出来てるんだか」


「全くな。それにしても、この施設は一体何の研究をしてたんだ?」


「これだけの魔獣…集めるだけでも相当な苦労だったでしょうに。何故廃棄したのでしょう?」


「さあね。何故捨てたのかは解らないな。でも何を研究してたかは分かって来たかな」


「ほう?お聞かせ願えますかな、ジュン殿」


「多分ですけどね。魔獣を進化させる方法を研究をしてたんじゃないかな、と」


「あっ…さっきのベヒモスみたいに?」


「そゆこと」


 そしてそれが正解で。

此処が本当にあのバカ神が作った研究施設なら。

ボク達が遭遇した新種の魔獣は此処で産まれた存在なんじゃ?

全てがそうとは思わないし目的がわからないが。

ボク達を殺したいなら、もっと別の手段をとるだろうし。


「研究資料とか研究レポートとか残ってないかなあ」


「その辺りは期待出来そうにないね。そうなんでしょ、ユウ」


「うん…此処の操作パネルにもこの部屋の設備を操作する機能しか残ってない。最初からそれしか入ってないのかもしれないけど」


 となると…これ以上は調べようが無いか?

後は…この魔獣達をどうするか。大型の魔獣だけに絞っても相当な数だが。


「お兄ちゃん、これ見て」


「何?」


「この部屋に存在する魔獣のリスト。それと何処に居るかの配置図。で、この植物型魔獣のカテゴリーにさ…ほら」


「…世界樹?」


 植物型魔獣のリストの中に世界樹が入っている。

世界樹を魔獣扱いにしてリストに入れるのはどうかと思うが、問題はそこでは無く。


「世界樹が此処にあると?」


「幾ら大きい部屋とはいえ、世界樹が入る大きさでは…」


「その前に。世界樹って何本も存在する樹じゃないでしょ、姉さん」


「枝を取ってきて、枝から植樹に成功したのでしょうか」


 生命力はありそうだもんね、世界樹の枝でも。

枝をただ土に植えただけでも根が出そうな気はするけど…


「見てみようか。世界樹がある所へ行ってみよう」


「うん。こっちだよ」


 巨大な容器に入った魔獣達を眺めつつ。

モニターで確認した世界樹がある場所へ。


「アレって…もしかしてアーミーアント・クイーン?」


「ああ。アレがアーミーアント・クイーンだ。」


 セバストが言ってた通り、通常のアーミーアント・クイーンは黒い。

ボク達が遭遇した奴は白。やはりアレは新種だったのだろう。


「……」


「ジュン様?どうかされましたか?」


「いや…」


 以前、神様との会話で。

ボク達がやたらと珍しい魔獣や新種の魔獣に遭遇するのはバカ神がちょっかいをかけてる可能性もあると言っていた。

ゴブリン・メガロドン・アーミーアント…全て素材となる魔獣は揃っているようだし…可能性は高そうだ。

やはり、ボク達が遭遇した新種の魔獣や珍しい魔獣は此処で生まれた可能性が高そうだ。


「もうすぐだよ」


「やはりグリムモアの世界樹と同じ大きさでは無いのですね」


「同じ大きさならとっくに見えてる筈ですもんねー」


「そもそも天井の高さが足りてないわよ…Sの38…アレよ」


 世界樹があると記されていた配置図。

其処にあったのは、やはり容器で中に入っていたのは…女の子だった。

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