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第51話 シャルルとユニコーン

今回でオークション前の話は終了。次回から時系列は通常に戻ります。

「今日こそは捕まえるぞ。オー」


「「「オー」」」


返事は元気だがみんなの顔は暗い。

捕獲作戦開始から既に三週間ほど。

色々な作戦を試したが全て空振りに終わる。

せっかくのオリジナル魔法も全て躱された。

捕獲作戦成功の見通しがまるでない。


「で、なにか考えあるの?」


アイが諦めの混じった顔で言う。


「・・・正直、思いつく事は全て試したんだ・・・」


紋章を使っても駄目だった。

倒すだけなら何とでもなるんだけど捕獲となると難易度が一気に上がる。


「今日は少し奥まで行って巣でも見つけられないかと思ってる」


巣に罠を張って捕まえれるかと。


「成程ね。じゃあそれで行きましょ」


奥まで進む事にする。

この森は魔獣が出るとはいえ穏やかな森だ。

川も流れていて初夏なら歩くと気持ちよさそうだ。


「初夏に来ると気持ちよさそうな森だよね、お兄ちゃん」


「あ、今同じ事考えてた」


「ほんと?えへへ」


流石兄妹。

そこで機嫌がよくなるのはわからないけど。


インビジブルバードを見つける事無く森の中央辺りまで来た。

ここまで来たのは初めてだな。


「ジュン様、泉が見えます」


「泉?」


本当だ泉が見える。

こういう森にある泉って何か神秘的に見える。


「誰かいるよ?」


「本当だ。水浴びしてる」


「て、隠れなきゃ!」


慌てて木の陰に入る。

こっちは男も女もいる。

相手がどっちでも見られて嬉しいモノでもないだろう。


「てゆうか見るんじゃありません」


「ええ~でもぉ~」


「隠れたのは覗く為じゃないの?」


「違います」


そんなわけあるかい。

隠れて相手が服を着るまでやり過ごそう。


「アレはエルフね」


「て、コルネリアさん。覗くんじゃありません」


「コルネリア様、はしたないですよ」


しかし森の中で水浴びするエルフか。

実に絵になりそうなシチュエーションだ。

水に濡れた髪を搔き上げる白い肌の美人エルフ。

その光景は時が経つのを忘れさせるような・・・


「あ、男だ」


男かよっ。

ガッカリだよ!

いや、覗くつもりは無かったけどさ!


「てゆうか君達、見るんじゃありません」


「まぁまぁお兄ちゃん」


「流石、エルフね。水浴びも絵になる~」


男が女を覗くと怒るくせに。


「直ぐに止めないと全員にお仕置きだぞ」


「お仕置き?」


「一週間オヤツ抜き」


「「「すみませんでした」」」


そうかオヤツ抜きはイヤか。

この手はしばらくは使えそうだ。


「上がったみたいだぞ、ジュン様」


見るのはセバストに任せていた。

嫌な役目させてごめんね。

別に迂回すればよかったとは思うのだけどなんとなく話かける流れになったのだ。

服を着終わったタイミングで近づく。


「うん?」


「こんにちは」


「やぁ、こんにちは」


緑の長い髪をもつエルフの男性だ。

どことなく気品がある。


「君達は、フレムリーラの人かい?」


「ええ、ボクはジュンです」


皆も順に名乗っていく。

ただ、ボクを含め苗字は名乗らないでおいた。

魔王の一族だと知れば不要な警戒をされるかと思ったからだ。


「よろしくみなさん。私はシャルルという。ところで私が水浴びしてるの、見てたのかい?」


「あ、遠目からちょっとだけ。すみません」


どうやらバレてたようだ。

いや、反応は無かったからカマかけかな?


「構わないさ。こんなとこで水浴びしてるほうが悪いのだから。それに私は美しいから、仕方ないさ」


「はい?」


「私の美しさの前には男でも女でも見惚れてしまうのは無理もない。だから悪いのは私のほうさ。すまなかったね君達」


「あの~もしかして鏡に映った自分に見惚れる事があったりしません?」


「おお、よくわかるね。君は美しい者がもつ性をよくわかってるようだね」


ああ、この人あれだ。

ナルシストだ。

それも超が付く。

ここは話を変えよう。


「あ~、ところでシャルルさんはここに何をしに?わざわざ水浴びじゃないですよね。寒いし」



「ああ、ここの泉は温泉なんだ。それほど温度は高くないが冬でも汗を流す程度にはいいんだ。私がここに来たのは友人に会うためさ」


森の温泉か。

あまり聞かないけどそれならまあ冬に入っても大丈夫か。


「友人ですか?森の中に?」


「ああ、この森で暮らす友人でね。偶に会いに来てるんだ。心配でね。そろそろ来るはずさ」


そうして少し待つと森の奥からその友人が現れた。

なるほど。

魔獣のいる森で暮らせるわけだ。


「ユニコーン、ですか」


「ああ、この森にいる最も年経たユニコーンでね。私とは古くからの大切な友人さ」


初めて見た生ユニコーン。

白い毛。優しそうな瞳。雄々しい角。

現代地球のユニコーンは清らかな乙女にしか懐かないって話があったけどこっちのユニコーンはどうなんろうか。

あ、シャルルさんが男性なんだからそれはないか。


「ところで君達のほうはこの森に何をしに?ユニコーンじゃないのはその様子を見ればわかるが」


「あ、え、ええ。ボク達の目的はインビジブルバードの捕獲です」


「ほう。討伐じゃなく捕獲か。召喚契約でもするのかい?」


「ええ、その通りです。ちょっとした事情があって」


「そうか。大変だろう?あの鳥を捕獲するのは」


「ええ、まだ一羽も捕まえられなくて」


「そうか。なら彼に助力を願うといい」


「え?ユニコーンにですか?」


「ああ。彼に祝福を貰うといい。補助魔法とは別の身体強化のようなものさ。その祝福が効いてる間は身体能力や魔法能力が増すだろう。ただ彼に気に入られなければ祝福は授けてもらえないけどね」


そう言ってシャルルさんはユニコーンに近づき「頼むよ」と言う。

するとユニコーンが近づいて来てボクを見つめてくる。


「えっと、よろしくお願いします」


ジーと目を見つめてくる。

あのイノセントな瞳に見つめられるとなんだかどんな秘密も打ち明けてしまいそうだ。

ボクも目を逸らすことなく見つめてると次にユウを見つめ次にアイへと。

皆を見つめ終わった後、ボクとリリーを包む光が現れる。


「わああ、なんだか暖かいですぅ」


リリーの言うようにこの光は暖かい。

そして体に沁みるようだ。


「どうやらジュンとリリーは彼に気に入られたようだね。気難しい彼に気に入られるとは大したものだ」


「そうなんですか?」


「ああ。我が友は気難しい上に好みがうるさくてね。私以外に祝福を授けたのは実は初めての事だよ」


そうなのか。

それなのにあんなサラっと勧めたのか。

誰も貰えなかったら切ない事になったじゃないか。


「う~ん。ウチの何が気に入らないのか」


「私の何が気に入らないのかしら、こいつ」


アイとコルネリアさんは祝福が貰えなかったのが不満のようだ。


「我が友の女性の好みに関してのみ言えば胸の大きな女性が好みのようだよ」


バッと皆の視線がリリーの胸にいく。


「あ、ちょっやだ、そんな見ないでください!」


「くっ、ユニコーンですら巨乳好きとか」


「巨乳が全てだというのかっ」


確かにこの中ではリリーが一番の巨乳だ。

15歳にして既にGカップ。

将来どこまで伸びるのやら。


「ハァァァァ・・・」


この中で一番、微乳なユーファさんが深いため息をついている。

自分の胸をペタペタと触って目じりに涙を浮かべてる。

無情・・・


「あ、え~と、ありがとうございます、ユニコーン」


「あ、ありがとうです」


ブルルッと返事するように鳴きユニコーンはシャルルさんの隣に並ぶ。

友人との時間を邪魔しちゃ悪い。

そろそろいくか。


「じゃあ、御二人の邪魔をしても悪いですし、そろそろ行きます。ありがとうございました」


「いや、なに。気にすることはない。またいずれ会おう」


「はい、いずれまた」


「あ、ああそうだ。インビジブルバードの捕獲だけど。あまり難しく考えずシンプルなやり方でいくほうがいいかもしれないよ。祝福を授かった今なら特にね」


「そうですかね?わかりました。やってみます」


「うむ。祝福は今日一日の間効果あるだろう。頑張りたまえ。では」


それでシャルルさんとは別れる。

再びインビジブルバードを探して森を歩くと今度は直ぐに見つかった。


「それでどうするの、お兄ちゃん」


「いつも通り、魔法の網投げる?」


「いや、シャルルさんの言うようにもっとシンプルにやってみるよ」


魔法の袋から一応用意しておいた大きめの虫取り網をとりだす。


「まさか」


「はい、飛行魔法で追いかけて網で捕まえます」


まさに直球ストレート。


「いくら飛行魔法が使えても鳥を相手に空中で捕まえられるかしら。しかも消える相手に」


「消えてもそこから居なくなるわけじゃない。網に入れば捕まえられるさ」


補助魔法を使用、魔神の紋章と魔王の紋章を使用していざ挑戦。

するとユニコーンの祝福の効果か、いつもよりかなりスピードが出てる。


「ピッ!?」


「捕まえた!」


インビジブルバードが飛ぶ暇も無く急接近。

意外なほどあっさりと捕まえる事が出来た。


「やった!ついに捕獲だ!」


「やったぁ!」


「お兄ちゃん、すごい速かったよ!」


ユニコーンの祝福って凄いな。

この調子で捕まえよう!


「ジュン様、リリーはちょっと別のやり方を試してみますぅ」


「別のやり方?」


「はい。シャルルさんの言ってたようにシンプルなやり方を試してみようと思って」


「ふうん?じゃあ二手に分かれようか」


ボクのチームにユウ・アイ・セバスト。

リリーのチームにノエラ・コルネリア・ユーファ、そしてハティだ。


「じゃあ二時間後くらいに集合しよう。上空にファイアーボールをお互いに打ち上げよう。

コルネリアさん、打てますよね?」


「ええ、当然よ」


「お願いしますね。緊急時にもファイアーボールを打ち上げる事。ハティがいればファイアーボールが見えなくても匂いで合流できるよな」


「わふ!」


「うん。頼んだぞハティ」


リリー達と別れてから二時間。

六羽のインビジブルバードを捕獲できた。

なんだか運も良くなってる気がする。

今までよりも簡単に発見できた。


「凄いなユニコーン」


「こういう能力があるって事も広まるとユニコーンが狩られちゃうんだろうね」


「広めないようにしたほうがいいだろうね」


それはありそうだな。

あとでリリー達にも広めないように言っておこう。


「じゃファイアーボールを打ち上げるぞお」


「「は~い」


ボクがファイアーボールを打ち上げると向こうも直ぐに打ち上げた。

リリー達はあっちにいるらしい。


リリー達と合流するとリリーは満面の笑顔で近づいてくる。

だが他のメンバーはなんだか微妙な顔だ。

どうしたんだろう?


「どうだった?」


「はい!沢山捕まえたです!」


ほほう。

別の方法とやらは上手くいったのか。


「に、しては。コルネリアさんとユーファさんは微妙な顔だね?」


「それはリリーにはわからないですぅ」


「はは・・・まあ確かに上手くいったしリリーの御手柄なんだけど・・・」


「今一つ、納得がいかないと言いますか・・・一度、見ていただければ・・・」


なんだろう?

上手くいったならいいじゃないか。


「ところで捕獲したインビジブルバードは?」


「沢山捕まえたので、連れてこれなかったです。向こうでロープで木につないでノエラ先輩が見張ってるです」


そんなに捕獲できたのか。

ノエラもいないと思ったら見張りか。


「じゃあ、とりあえずノエラと合流しよう」


「はいです」


ちなみにボクが捕まえたインビジブルバードはその都度召喚契約し解放している。


「あ、いたいた。ノエラ先輩~」


ノエラの傍には確かにインビジブルバードがいる。

全部で八羽。

ボクが捕まえた数より多いじゃないか。


「凄いじゃないリリー。どうやって捕まえたの?」


「えへへ。一度やってみますね」


アイも捕獲方法が気になったのかすぐリリーに質問する。

ボクも気になる。どうやって捕まえたのだろう?


リリーは離れたとこにある少し開けた場所へ行き

リリーは大きな木のボウルのような物を取り出し

ロープをつないだ棒をつっかえ棒にして斜めに立てかける。

そしてそこに木の実?を置く。

それからボク達の所へ戻って来て。


「こっちの茂みに隠れてくださいです」


そして茂みでロープを持って隠れインビジブルバードが来るのを待つ。

この方法はもしかして日本で大昔使われていた雀を捕まえる方法・・・。


「昔、まだ弓が上手く使えない頃、こうやって罠を仕掛けて鳥を捕まえてたです」


魔法の袋はみんなに持たせてある。

リリーも魔法の袋に一応仕舞ってたのだろう。

そして待つ事十分。

インビジブルバードがやって来て木の実を咥える。


「今ですぅ!」


カコンッ

と、棒がはずれてインビジブルバードを捕らえる。


「はい、捕獲ですぅ!」


「「「・・・」」」


「どうしたんです?」


「いや、なんでもないよ。凄いなリリー」


「えへへ~」


なるほど。

確かに微妙に納得がいかない。

これまでの苦労は何だったのか。

あんな単純な罠でいけるとか。

シンプルイズベストという事か。


「とにかく、これで数も充分。捕獲作戦終了だ」


「やったぁ。ようやく終わったぁ!」


「結構長かったね。しばらく森の散歩はしたくない~」


「同感」


リリーが捕まえたインビジブルバードとの契約も完了し。

合計十六羽と契約できた。

これでオークションでの尾行作戦は準備完了だ。

きっちり犯人を捕まえてやろう。

それからシャルルにまた会えたら礼を言わないとね。

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