第40話 森の異常
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今日も冒険者ギルドに依頼を受けに来ている。
しかし、いつもよりなんだかザワザワしている。
「何かあったんですか?ウーシュさん」
「あ、ジュン様。えっとですね北の森に行って帰ってきた冒険者さんの御話しなんですが」
何でも北の森の様子がおかしいらしい。
魔獣も動物も姿を見ることがほとんど無かったとか。
そしてあの森では聞いたことのない魔獣の声も聞いたとか。
「どこかから強い魔獣が北の森に入ったかもしれないって事?」
「かもしれないって話です。まだ何とも言えないですね。とりあえず調査依頼を出して様子を見ることに」
「ふ~ん。その依頼はボクでも受けれる?」
「え?いえ調査依頼はDランクとなってますのでジュン様は受けれません。パーティで受けるなら別ですけど」
「ならオレが受けるぜ。それでいいだろジュン様」
「危険ではないですか?兄さん」
「いざとなりゃ逃げればいい。逃げるだけならジュン様の転移でなんとでもなるしな。それに・・・気になってるんだろ?ジュン様」
「うん。なんとなく、ね」
「ジュン様・・・畏まりました」
「それじゃ依頼を受けるぜ」
セバストが依頼を受けて北の森に向かう。
今日はいつものメンバーに何故かハティとハティの母も付いて来ている。
「えっと・・・ハティのお母さんは今日はどうしたんですか?」
「北の森に向かうのだろう?」
「はい。ギルドで北の森になにか異変が起きてないか調査依頼を受けまして。何か気になったもので」
「我も貴様と同じだ。何かを感じてるいるのだろう?我も北の森に何かを感じるのだ」
フェンリルも何かを感じているのか。
ボクも何かイヤなモノを感じる。
距離が近づくにつれてその感覚は強くなる。
ひょっとしたら行かないほうが正解かもしれない。
でも・・・
「お兄ちゃん、もしかしてアレに関係してると思ってる?」
「う~ん。今はなんとも。でも何かが起きてると思う」
ユウの言うアレとは世界の要に関する事かということだ。
一応この辺りに特別なモノは以前調べた限りでは無かったはずだ。
「さて、森に着いたけど、ここからどうするの?」
「まずはボクが探査魔法で森を調べるよ」
「この森、結構大きいけど全域を調べられるの?」
「紋章を使えばね。じゃあいくぞお」
探査の結果は・・・
森の中の魔獣や動物の数は異常に少ない。
代わりに森のはずれ、山の麓に巨大な何かがいる。
「何かいるな。結構デカいのが」
「何かってナニ?」
「わかんないけど、それが森の異常の原因なのは間違いないと思う。森に動物も魔獣もほとんどいない」
「じゃあとりあえずその『何か』を見に行こっか」
「じゃあボクが先頭で案内するよ。行こう」
ボクを先頭にして森の中を進んでいく。
隊列はボクの後ろにセバストとアイ真ん中にユウとリリー。
一番後ろにノエラとハティ、ハティのお母さんには自由に動いてもらう事にした。
「いつもはいない浅いとこに何匹か魔獣や動物がいたけど奥に進むにつれどんどんいなくなるな」
「鳥や虫の声も聞こえないですぅ」
「そうですね、妙に静かです」
風で木々がざわめく音くらいしか聞こえない。
本当に静かだ。
「ジュン、あれ見て」
森に入って数時間。
アイが何かを見つけて指を差す。
アイが言う指差した方向は山の中腹だ。
「木がなぎ倒されてる?」
「ええ。無秩序に暴れまわったかのようになぎ倒しながら進んでる。私達の進行方向と重なってるように思えるし。たぶんその『何か』がやったんでろうね」
これはいよいよもってヤバいのがいそうだな。
いざとなったら逃げよう。
「みんなそろそろ近い。気を引き締めて」
「「「はい」」」
注意深く森の中を進んでいく。
もうすぐで目的地が見えるといとこでハティのお母さんが隣に来た。
「血の匂いがするな」
「血、ですか。この先にいる何かは負傷していると?」
「或いは獲物の血か。その両方か。まあもう少しで正体がわかるのだ。いくぞ」
そして更に森を進み。
山の麓にある少し開けた場所に出る。
その手前、大きな木の陰からそこにいる『何か』を見る。
「やばいなあ・・・」
「ああ、最悪だ」
「リリーは初めて見たです・・・」
そこにいたのは黒い鱗をもった巨大なドラゴンだった。
頭から尻尾の先までの長さは丸まって寝ているため正確にはわからないが十メートルはあるだろうか。
「手負いだな。それも相当な深手だ」
「そのようですね・・・」
背中の翼が片方途中から千切れている。
他にも無数の切り傷や魔法で受けたような傷。
片目もないようだ。
「どこかで冒険者か何かに追い詰められてここまで逃げて来た、のかな?」
「ん~・・・それはちょっと違和感があるな。冒険者にやられて逃げられたならその情報はギルドを通じて各国に伝わっているはずだ。なんせドラゴンは一番弱いレッサードラゴンでも討伐難度B。難度Cのワイバーンも一応ドラゴン扱いだが目の前のアレはレッサードラゴンでもワイバーンでもない。明らかに難度A以上の大物だ。情報が伝わらないはずがない」
「情報の伝達が遅れて、今頃届いてるとか」
「それはあるかもしれないが・・・」
「あのドラゴン、恐らく神獣だぞ」
セバストとの会話にハティのお母さんが入って来る。
てゆうか神獣?神獣のドラゴンて。
「神獣のドラゴンってつまりはドラゴンの中でも最強って事じゃ・・・確かですか?」
「そうだな。我の知り合いにドラゴンがおるがそやつが神獣でな。そやつから感じる力の質ががほぼ同じように思える。最も目の前のは手負いだ。今なら倒せなくはないだろうが・・・しかしな」
「しかし、なんです?」
「神獣と呼ばれる存在は無闇に敵を作ったりせん。しかも神獣のドラゴンは穏やかな奴が多い。怒れば危険だがな。故にお前達魔族でも人族でも神獣のドラゴンに理由なく手を出すことは禁じられてるはずだ。ならばあのドラゴンは誰にやられたのだろうな」
「なるほど・・・」
「どうする?ジュン」
「どうするって・・・取れる選択肢は三つかな」
一 とりあえず戻ってギルドに報告。
二 問答無用で倒す
三 傷を治して話をする
といったとこだろうか。
「その選択肢だと三を選びたいとこだけど話ができずに向こうが襲いかかってきたらと思うと怖いわね」
「一を選ぶのも悪くはないかもだけど、またここに戻るまでの間に被害がでるかもしれないな」
「話をするなら我がしよう。我なら突然襲われても対応できるからな」
さて、どうするか。
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