第352話 女の戦い 2
~~カタリナ~~
チーム戦か…私達はアイやユウ。
ジュンの従者達に比べたら運動能力が低いから助かるが…数と頭脳で勝つしか無いな。
「…カタリナ、レティシア」
「わかってる、パメラ姉さん」
「此処は力を合わせて協力しましょ。あんた達も!」
「はい」
「お任せください」
元アンナお母様お抱えのメイド兼暗殺者の三人。
緑髪のショートカットの娘がアリス。
黄色のセミロングの髪の娘がベアトリス。
赤髪のストレートロングの娘がクラリス。
確かに彼女達なら或いは…
「…数で勝負となると、まだ不安ね。もう少し味方を増やさないと」
「え?パメラ姉さん?」
「これ以上増やすと、その…夜が…ねぇ?」
「レティシア、一番肝心なのは勝つ事よ。先ずは勝利を手にする。その為に今出来る事は味方を増やす事よ!」
「あ、う、うん…」
パメラ姉さんが一番燃えるとは…
「だから、ね?イーノさん」
「え?パメラ?」
「イーノさんは勿論、私達のチームに入ってくれるわよね?」
「え?え?」
「ね?イーノさん?」
「は、はい…」
「「………」」
パメラ姉さんが怖い…いや、勿論勝つのは重要だし、負けたくは無いが…
「パメラお姉ちゃんもやるの?『騎士と盗賊』」
「そうよ、ベル。勝てばジュンさんから御褒美が貰えるわよ。欲しい物があればなんだってくれるわ」
「え?」
「ちょっと?パメラ姉さん?」
「そうなんだ…じゃあ、私もやる」
「ええ。私達と一緒に頑張りましょう。で、ベルがやるなら当然ルシールも参加よね?」
「――はい?わ、私もですか?」
「そうよ。元騎士としての力、期待してるわ」
「い、いえ、しかしですね…私は――あ?」
「(勝利すれば合理的に私達と一夜を過ごせるわよ?)」
「!!!」
「(イーノさんは一度眠ると中々目を覚まさないし…チャンスだと思わない?)」
「やりましょう!パメラ様!」
「ええ。頑張りましょう。ウフフフフフフ」
「「………」」
パメラ姉さんにこんな一面があったなんて…我が姉ながら怖い。
「というわけで、アイシス、セリア。二人も私達のチームに入ってね」
「え?えええ?」
「私はアイシスと…」
「これは王家からの命令です!」
「えええええ!」
「王家の命令…ヴェルリア王国貴族家の当主になった私達には拒めない…」
「そういう事です!頑張りましょ!」
「はい…」
「なんか、すまん…」
パメラ姉さん…ルール違反にならない程度にやれる事は全てやるつもりか。
「じゃあ作戦を考えましょう!期待してるわよ、メーティス!」
『えええ?わいも参加するんか?武器の使用は禁止なんやろ?』
「武器として使っちゃいけないってだけよ!作戦を考えるくらいなら問題無いわ!ですよね、アンナお母様?」
「え?あ、うん。そうかも…ね?」
「ほら、アンナお母様の言質は取ったわ。いいわね、メーティス?」
『…はい』
…ほんの少し背中を押すだけで、越えちゃいけない一線を越えそうだな、パメラ姉さん。
大丈夫だと信じたいが…
「後は…アンナお母様!お母様も一緒に作戦を考えてください!」
「え?わ、私も?私は参加しないわよ?これでも人妻だし」
「娘の為に作戦を考えるだけでいいんです。いいですね?」
「…はい」
あのアンナお母様を迫力で強引に黙らせて引き込むなんて…
「皆、勝つわよ!おー!」
「「「お、おー…」」」
ダメだ。冷静な思考を失ってる気がする。
もし負けたらどうなるやら…その時の対策も考えとかないとダメかもしれんな。
やれやれ…
~~ユーファ~~
「まさか、こんな事になるなんてね…予想外だったわ」
「本当ね。どうするの?お姉様」
「勿論、勝ちに行くわ。ラーラも手伝ってね。貴女達もよ」
「畏まりました」
「「「はい!」」」
シャンゼ様にコルネリア様。ラーラさんに護衛の騎士五人。
それから私。合計九人ですか。
人数はそれなりですが、私とコルネリア様は武闘派じゃありませんし、少し自信が持てません。
シャンゼ様は意外と動ける方なのですが…ラーラさんは実はフレムリーラで最強と言われてますし。
ラーラさんが何とかしてくれそうな気もしますが…
「九人か…人数はそこそこだけど他のチームを出し抜くには、何かもう一つ手が欲しいわね」
「そうね。味方を増やす?」
「……そうね、強力な味方を付けましょう」
「強力な味方?誰です?」
「それはね…アリーゼ様!私達のチームに入ってくれませんか?」
「「え?」」
アリーゼ・ダルムダット様を?
アリーゼ様を参加させてはダメ…というか問題になるのでは?
「何?私に参加しろというのか?」
「はい。どうか私達を助けると思って」
「シャンゼの頼みとあれば聞いてやりたいが…私はこれでもガウルの妻。そしてアイの母だ。アイの婚約者と一晩を過ごす訳にはいかんだろう」
「私達に協力してくださるだけでいいんです。ジュン君と本当に一晩一緒に過ごさなくてもいいんです」
「おいおい。それじゃ私になんのメリットも――」
「アリーゼ様、ちょっと御耳を」
「ん?……」
何でしょう?
アリーゼ様の顔色が悪く…酷く汗をかいておられますが…
「シャ…シャンゼの頼みとあらば仕方ないな!私も力を貸そうではないか!」
「有難う御座います、アリーゼ様。ウフフフフフ」
「お姉様?」
「アリーゼ様に何を…」
「ん?別に?ちょおっと簡単な取引を持ち掛けただけよ?ウフフフフフ」
取引…それってもしかして脅迫というのでは?
「さぁ。準備に取り掛かるわよ!」
「「「はい!」」」
士気は高いですね…もしかして私が一番低いのでしょうか?
「ラーラ、アレも使うわよ」
「畏まりました」
「アレ?アレって何?お姉様」
「フレムリーラ魔王家に伝わる魔王専用武具よ」
「それって…」
何代か前のフレムリーラの魔王様が私財を投げ売って作られた武具?
神様の祝福を与えられたフレムリーラでは最高の武具を?
アレを使うんですか?『騎士と盗賊』で?
「シャ、シャンゼ様!武器の使用は禁止ですよ!?」
「わかってるわ。だから使うのは防具のみ。武器は使わないわ。それでも強力だもの」
神様の祝福が与えられたのは防具だから、むしろそっちがメイン…
「というか、何故そんな物を持って来てるんですか?フレムリーラ魔王家の家宝じゃないですか」
「備えあれば憂いなしよ。細かい事は気にしちゃダメ。さぁユーファも準備なさい。そんな恰好じゃあ森の中に入れないわよ」
「はい…」
不安…私も勝ってジュン様と…とは思うけど。
何かとんでもない事になりそうな気が…大丈夫かしら。
「それから…ラーラ、持って来てる物の中で他に使えそうな物はあるかしら?」
「はい。確認します」
ラーラさんが持って来た荷物には…私も見た事無い物が沢山…でも物騒な物が並んでるのはわかる。
「あ、この魔法の縄は使えそうね。自動で相手を縛り上げる奴」
「これは亀甲縛りをするようにセットされてます。此方は如何でしょう?強力な閃光と音響を出し、相手の眼と耳を潰す物ですが」
「ん~…それは止めときましょう。武器と判断される恐れが高いわ」
「畏まりました。では此方の―――」
本当に危険な物ばかり…大丈夫かしら。
ジュン様に大怪我させる事態にならなければいいんだけど…




