第34話 ノエラ 暗躍
ふふふ。
上手くいきました。
ジュン様のハーレムメンバー候補増員完了です。
ジュン様達は私が勘違いしてティナ達を連れて来たと
思ってらっしゃるのでしょうが…。
そ~んなわけないです。
ユウ様のハーレム計画はぬるいとしか言えないように私には思えるのです。
確かにハーレムメンバーに下手な人選はできませんが良さそうな人が来るのを待たずに、自分で用意するくらいしなくては。
私達サキュバスには対象の潜在意識を刺激してある程度私達の望む方向へ修正した形で夢を見せて精気を得ることが出来るのです。
サキュバスが夢魔とも呼ばれる所以です。
この力を使いジュン様を夢の中に出し続けるだけで、ジュン様を意識することでしょう。
最初からジュン様に好意を抱いている女性ならより一層の効果が望めるでしょう。
ティナ達はまだ幼いですし、ジュン様に好感を抱いているようです。
夢を使う必要は今はないでしょう。
いずれ夜の教育として使う必要はあるかもしれませんが。
この力はもちろん男性相手にも使えます。
むしろサキュバスである事を考えれば男性に使う方が主流です。
しかし主であるジュン様に使うわけにもいかずこういう作戦となった次第です。
夢を使ってジュン様を意識させる作戦は、ティナ達には使ってませんが他のハーレムメンバー候補には作戦実行済みで効果も確認しております。
ハーレムメンバー候補選定の基準はまず少なからずジュン様を好意的に思っている者です。
いくら計画のためとはい本人の気持ちを無視して無理やりハーレムメンバーにするつもりはありません。背中を押すつもりはありますが。
次に容姿に優れている者です。
やはり魔王子様の妾となるにはそれなりに優れた容姿の者でないと。
次に既に特定の相手がいる者は省きます。
恋人や夫と別れさせてまでハーレムメンバーに加えるわけにもいきませんし。
次に人格的問題をクリアしている者。
いくら容姿に優れていても性格破綻者を候補に入れるわけにもいきません。
また側室か妾になったとしても文句を言わない、言えない人物である事です。
変に野望を持たれて正室候補のアイ様やシャンゼ様を害されては困るのです。
ユウ様も正室を狙ってるようですが実の妹で正室は厳しいでしょう。
最後に重要なのは処女である事です。
やはり魔王子様に捧げる身は清らかでないといけません。
ちなみに私達サキュバスには処女か非処女か見ればわかります。
童貞か非童貞かもわかりますよ。
さて候補となった人達ですが騎士団や兵士の中に数名。
治癒魔法使いの訓練生に数名といったとこです。
まず訓練生のフレデリカさんの様子を見に行きましょう。
「こんにちは。フレデリカさん」
「あ、ノエラさん・・・こんにちは」
「何かありましたか?何やらお悩みのご様子でしたか」
「いえ、そんな事は…」
「私でよければ御話しください。同じ女同士ですし」
「実はその…。最近同じような夢を見るんですけど、その内容が…」
「はい、どのような内容で?」
「その…男の人とデートしたり食事したり一緒に暮らしてる夢を見るんです。毎回同じ人と」
「はぁ。その…それくらいなら別段おかしなことではないのでは?」
「それがその…毎回必ず最後には…相手の男の子…いえ男の人に、その…強引にベットに押し倒されたり脱がされたりして…その、最後までシちゃうんです…私、そういう経験ないのに…」
なるほど。
それがフレデリカさん、貴女の潜在意識にある願望という事ですね。
「そうですか。夢には自分の願望が出てくるという説もあるそうです。もしそうならフレデリカさんはそういう願望があるという事ですね」
「ううう。やっぱりそうなるんですかね…。だとするとちょっとショックです…」
「ですが、その程度なら誰もが持っている願望ですよ。多かれ少なかれ誰もが持っている願望に過ぎません。多少方向性に違いはあるでしょうけど。サキュバスである私が保証しますよ」
「そ、そうですかね。なら良かった?のかな」
「ええ、そうですよ。ところで夢に出てくるのは誰なんですか?」
「そ!それは言えません!」
「先ほど男の子とおっしゃってましたが…もしかして…」
「ワー!ワー!し、失礼します!」
フフフ。
フレデリカさんは順調ですね。
しかしあの気の強そうなフレデリカさんの願望は強引にされたい、ですか。
やはり内に秘めた願望というのは普段の顔とは逆なものになるのでしょうか。
次にクオンさんの様子を見ましょう。
あれほどの美人が何故未だ処女なのか理解できませんが、ジュン様が各地に治癒に赴く際、随伴しその様子をみてジュン様に敬意を抱いている様子。
暗殺事件の際も共におりジュン様に助けられています。
少なからず好意も抱いている。
これほどの好条件囲わない理由がありません。
「ハァ・・・」
「こんにちは。クオンさん」
「ノエラさん。こんにちは」
「どうかされましたか?溜息などついて」
「はい、それがその…」
「なにか言いにくいことですか?」
「その…ノエラさんから見て私ってどんなイメージですか?」
「はあ。そう、ですね。真面目で努力家。容姿も優れた大変素晴らしい方だと思いますよ」
「そう、ですか。ありがとうございます」
「ちなみにジュン様も同じような事をおっしゃってましたよ」
「ほ、本当ですか!」
「ええ。本当ですよ。でもそれがどうかされたのですか?」
「じ、実は最近同じような夢ばかり見るんですが…」
ええ。
私が見せてますからね。
願望までは操作してませんが。
「その…ジュン様を無理やり押し倒したり、服をはぎ取ったり…挙句の果てに縄でしばって自由を奪ってから襲ったり…最低な夢ばかり見てて…。欲求不満なのかな…」
フレデリカさんとは真逆…いえこちらは犯罪レベルですか。
もし仮にそれを実行したらクオンさんの首が二重の意味で飛びかねません。
少し抑えておきましょう。
「そうですね。夢とは願望の現れと言う説もあるそうですので。しかしジュン様に本当にそれをやるとかなりまずいことになるでしょう。それは理解されてると思いますが…」
「そ、それはもちろん。はい」
「ですので、そうですね…どうしてもやるなら少々強引に迫る程度に抑えておかないとダメですね。ところでよろしいのですか?」
「え?」
「私にジュン様にそういう願望を抱いてると話ても。私はジュン様付きのメイドなのですが」
「あ!あー!ひ、秘密にしてください!お願いします!」
「ジュン様だけでなくアイ様に知られても大変な事になりそうですね。クオンさんはダルムダットに仕える身ですし」
「ノエラさぁん」
「冗談ですよ。誰にも言いませんから安心してください」
「本当にお願いしますねっ!」
「はい。お約束しますよ。誰にも言いません。それに先ほどの願望は流石に容認できませんが…少々過度なスキンシップ程度なら問題にはならないでしょう。まずはそこから始めてみては?」
「で、でも私、今までそういう経験なくって。どうしたらいいのか…」
「そうですね。手を握って一緒に歩いたり腕を組んで歩いたり。ジュン様のお顔をその大きな胸に沈めてみたりしては?あとはジュン様が入浴中に突撃するとか」
「え?それはダメなんじゃ」
「問題ありません。私はやってます。入浴中の突撃はいつも止められますが」
「やってるんだ…」
「まあ私の胸はクオンさんほど大きくないですが…」
いいんです。私の胸は形で勝負なのです。
「それにクオンさんはもうすぐダルムダットへ帰るのでしょう?学校も完成間近。訓練生も上位治癒魔法使いが多数生まれたと聞きます」
「はい…。もうすぐ私はダルムダットへ帰って治癒魔法使いの育成と国民を治癒して回る仕事に就くと思います」
「なら忙しくてジュン様に会う機会などダルムダットに戻れば得られるかどうか。少々アピールしておく必要があるのでは?」
「そ、そうですね。あ、でも年の差が・・・」
「問題ありません。我々魔族やクオンさんのようなハーフダークエルフにとって十歳や二十歳の差程度、大した問題ではありません」
「そうですか?そうかなあ?だって実際、大人と子供だし…」
「大丈夫です。ジュン様は体は子供ですが精神は大人です。まずはアタックしてみましょう。あ、犯罪はダメですよ?控え目にかつ大胆にスキンシップを図ってください」
「む、難しいけど、わかりました。やってみます」
「はい。それでは失礼します」
クオンさんは少々過激過ぎて夢で見た願望そのままさせるのはダメですね。
少々注意が必要でしょう。
次にコルネリア様とユーファさんですね。
コルネリア様はジュン様に良い感情を抱いていないと最初にお聞きしたので警戒を兼ねて観察していたのですが、どうも訓練でジュン様と関わることでジュン様に惹かれ始めたようですね。
そこで以前
「もしジュン様の側室にコルネリア様がなられたらシャンゼ様と御揃いですね」
と言ってみたところかなりの食いつきでした。
そしてユーファさんにも
「そしてユーファさんも側室になればシャンゼ様とコルネリア様と本当の御家族になれますね」
これにユーファさんも結構乗り気なようでした。
それでどんな夢を見続けてどんな変化が起きているやら。
はてさて。
「ねえ、ユーファ…」
「はい。コルネリア様」
「また例の夢、見ちゃった…」
「私もです、コルネリア様」
あら?どうやら話しかけて聞き出すまでもなく夢の話をしてるようです。
このまま聞いてみましょう。
「どうしてあんな夢みるのかしら…」
「わかりません。ですが…その…やはりそういった願望が私達にあるから、ではないかと。受け入れ難いですが」
「そうよねえ、こんなに夢に見るようじゃ。そうよねえ…」
「はい…私も自分で自分が信じられません」
「あんな…目隠しされたり縄で縛られたりムチや蝋燭を使われたり」
「私は、裸に首輪とロープをつけて犬のように散歩されたりもありました…」
「「ハァァァ」」
…
なるほどハードSMですか。
確かに普段の御二人からは想像もつかない願望です。
夢は私が見せているのですが内容はあくまで御二人の願望からくるもの。
それが淫夢であることとジュン様が出てくるのは私の力ですが、内容は二人の潜在意識にある願望。
まさかこの御二人にそんな願望があったとは。
意外です。
「こんなの…仮にジュンと結婚してもやってくれるとは思えないし、こんな願望バレたら絶対ドン引きされる…」
「そうですね…。いえ、しかしジュン様はあのサキュバスの中のサキュバス、【サキュバス・クイーン】とも称されるエリザ様の御子息。希望はあるかと…」
確かに。あのエリザ様の御子息であるジュン様なら可能性はある。
と、言いたいとこなのですがジュン様はそういった方面では非常に奥手な方。
現状では望みは薄いと言わざるを得ないでしょう。
そのためのハーレム計画でもあるのですが。
「そうね、でも…あら?」
「コルネリア様?あっ」
あら、見つかってしまったようです。
私もまだ未熟ですね。
「ちょっと、ノエラだっけ?いつからそこに」
「はい、ちょっと前から。ご安心ください。私はなにも聞いてませんよ」
「いえ、それ完全に聞いてた人のセリフですよね」
「いえいえ。私は何も聞いてませんよ。鞭やら蝋燭やら。ワンコプレイの話など」
「やっぱり聞いてるじゃない!」
「お、お願いします。この事はどうか御内密に」
「ええ、構いませんよ。その代わりと言ってはなんですが」
「な、なによ。何を要求する気?」
「御安心ください。御二人にとっても悪い話ではないと思いますよ。ジュン様のことである計画を進めています。御二人にもその計画に御協力頂ければと。計画の内容は今はまだ御話しできませんが時期が来れば御話ししますので」
「わかったわ…」
「承知しました」
「そうですか、ありがとうございます。それでは失礼します」
フフフ
弱味を握って脅すような形になってしまいましたがコルネリア様とユーファ様をこちらが優位な形で味方に引き込めたのは上々です。
これからもこの調子でいければいいのですが。
ウフフフ
読んでくださりありがとうございます。
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