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第239話 十六歳になりました

「「「御誕生日、御目出度う御座います!ジュン様!」」」


「ありがとう、皆」


 アースワーム討伐が終わって直ぐ。

今日はボクとシャクティの誕生日だ。

例年通り、基本的にプレゼントをくれるの身内と、身近な一部の人だけ。

だがシャクティは沢山貰っている。

お返しが大変そうだ。


「そんで?今度はゴブリン・エンペラーだって?立て続けに伝説上の魔獣を退治したのか」


「凄いわねぇ」


「はい。ただセバストの話だと、まだ生まれて間もない個体だったんじゃないかって事ですけど」


「そうなのか?セバスト」


「はい。先ず、規模が過去の記録とは違い過ぎます。今回は約二千。過去の記録の五分の一程度です。それにあのゴブリン・エンペラーはあまりモノを知らないようでした。それらを考えての結論です」


「なるほどな。まぁ、それでも厄介で危険な存在には違いない。早めに潰せてラッキーだったな」


「そうねぇ。他国の事とはいえ何も無いのが一番よね」


「はい。本当に」


 もしも今回、ゴブリンの軍勢が一万を超えていたなら。ボク達だけでは対処しきれなかったかもしれない。周辺が受ける被害を考えないなら、どうとでも出来ると思うが。


「ジュン殿、御誕生日、御目出度う御座います」


「御目出度う御座います、ジュンさん」


「ありがとう御座います、イーノさん、パメラさん」


 今年は研修生として滞在しているイーノさんやパメラさん。シャンタルさん達もパーティーに参加して御祝いしてくれている。

イーノさんはもうすっかり、女性のドレスに慣れたようだ。


「エルムバーンでは誕生日を毎年祝うのですね」


「ヴェルリアでは五年毎に御祝いして十五で最後が普通ですよ」


「そうなんですか」


「はい。ですので、ちょっとジュンさんが羨ましいです」


「えっと…パメラさんの誕生日はいつです?」


「え?三月三日ですけど…」


「じゃあ、来年の三月三日はパーティーを開きましょう。カタリナさん達も呼んで」


「え?い、いいんですか?」


「勿論です」


「あ、ありがとう御座います。すみません、何だか催促したみたいで」


「ジュ、ジュン殿!私の誕生日は十二月二十五日です!」


「へぇ?ちょっとイーノさんっぽい誕生日ですね」


「はい?私っぽい誕生日ですか?」


「ええ。何となくですが」


 まあ、この世界にキリスト教は存在しないし、聖誕祭も無いんだけど。


「えっと…それで、ジュン殿?」


「イーノさんも誕生日パーティーをして欲しいんですか?」


「あ、はい!是非!」


「いいですよ。オーグ君達も呼びましょう」


「ジュン殿ぉ!ありがとうございます!」


「イーノさんはあのスケスケドレスを着て下さいね」


「ジュン殿ぉ…」


「冗談ですよ」


 女性の服装に慣れても、流石にあのドレスはダメか。

シャンゼ様なら着てくれるだろうけど。


「あ、ジュンさん、これを。プレゼントです」


「あ、ありがとうございます」


「まだ早いですけど、寒くなったら使って下さい」


 パメラさんがくれたのはマフラーだ。

エルムバーンの紋章が入っている。


「もしかして、手編みですか?」


「はい。昔からの趣味で」


 パメラさんらしい。

凄くイメージに合ってる。


「ジュン殿、私からはこれを」


「ありがとう御座います。これは…本ですか?」


「はい。エルムバーンに来てから知ったのですが、『魔王子様シリーズ』というのが大人気だそうで!私もファンになってしまいました!是非ジュン殿も…どうかしましたか?」


「いえ…何でも…」


 遂に…遂にボクの手元に来てしまったか、『魔王子様シリーズ』。イーノさんに悪気は無いし、受け取らざるを得ないか…


「はぁ…そうですか?…それでですね、私の一番のお気に入りは最新刊の『魔王子様と魔王子様』でして。これがですね…」


「いやいやいや、ダメでしょう。魔王子様が魔王子様と恋愛しちゃダメでしょう」


「あ、大丈夫ですよ。その魔王子様は実は男装した魔王女様なんです。何だか私みたいですよね!」


「ああ…なるほど。それでお気に入りなんですね」


 実に分かり易い。

それにしても…本当に人気なんだなぁ『魔王子様シリーズ』。

薄々思ってたけど、作者が判明しても止めるのは無理かなぁ。


「ジュン様、御誕生日御目出度う御座います」


「おめでとー、ジュンさん」


「ありがとう御座います、シャンタルさん、エミリエンヌさん」


 お次はシャンタルさんとエミリエンヌさん。

後ろにミズンさん達も並んでいる。

元とはいえ、主だったシャンタルさん達とは以前とあまり変わらない関係でいるらしい。


「お二人は此処での生活は慣れましたか?」


「ん?ん~…あたしは楽しんでるよ!お姉ちゃんはまだ男性と接触するのは怖いみたいだけど」


「で、でも…此処での生活は楽しいです」


「そうですか。男性慣れはゆっくりやっていきましょう」


「はい…あの、これをどうぞ。受け取って下さい」


「これは…翡翠ですか」


「はい。セイレンでは古くから幸運の御守りとされています」


「ありがとう御座います、シャンタルさん」


 シャンタルさんがくれた翡翠は玉子くらいの大きさの物。

どれ位の価値があるのかは分からないけど…宝石としてくれたのではなく、御守りとしてくれたのだろうから価値なんて考える必要は無いな。


「あたしからはこれね」


「これは?洗体券?イーノさんにパメラさんの名前も書いてありますが…」


「あたしとお姉ちゃんの名前もね。その券を使えばなんと!その券に書いてある人がお風呂で背中を流してくれます!」


「え」


「ちょっ!ちょっとエミリ!私はそんなの聞いてない!」


「え~?ちゃんとお願いしたよ?ジュンさんにあげるプレゼントに協力してねって。お姉ちゃん、いいよって言ってくれたじゃん」


「た、確かに言ったけど…イーノ様やパメラ様は聞いてらしたのですか?」


「私達は、まぁ…」


「それくらいなら…」 


「でもこれ…(全裸で)と書いてありますけど?」


「「え」」


「エミリ!」


「え~?お風呂に入るんだから、全裸で当たり前だよね~」


 そりゃそうでしょうけど。

シャンタルさんには酷でしょ。

イーノさんにパメラさんなら平気だろうってわけじゃないけどさ。


「ジュンさん、女のあたしから見てもこの三人のカラダは凄いよ?お風呂で見たけどさ~、あたしが男だったらその場で襲い掛かっちゃうくらい!」


「十四歳の女の子のセリフじゃないですね」


 シャンタルさんとエミリエンヌさんは姉妹なのにえらく違うな。二人の足して二で割ったら普通になりそうだ。


「それじゃこの五枚目は誰なんです?名前が書いてませんが」


「あ、五枚目は私達全員で洗ったげるの。夢みたいでしょ?」


 確かに。夢のような極楽が味わえるかもしれない。

しかし、その後のオチが見えるから使わないけどさ。


「安心して下さい、シャンタルさん。使いませんから」


「そ、そうですか?」


「と、言いつつ大事そうに仕舞うジュンさん」


 いや、そりゃあね。

折角貰った誕生日プレゼントだし。

使わないよ?多分…


「流石ですね、エミリエンヌ様」


「ジュン様、私達からはこれを」


 ミズンさん達もくれるのか。

でも何かエミリエンヌさんと同じでチケットみたいだけど…


「これは?」


「私達の胸をいつでも好きな時に揉める券です」


 あ~…やっぱり、そういう方面ですか。

所属する国を変えても、考え方の中心はそれなんですね。


「貴女達にしては随分控え目じゃない」


「はい、エミリエンヌ様。ジュン様はどうも奥手なようですので。先ずはこれくらいから始めようかと」


「なるほどねぇ。いい考えかも。お姉ちゃんもそうしてみる?」


「しません!」


 ですよね。

それにそういう問題じゃないと思いますし。


「御誕生日御目出度う御座います、ジュン様」


「おめでとう~ジュン様」


「…おめでとうございます…」


「ありがとう御座います」


 今度はマルちゃん達ヤーマン王国組の登場だ。

彼女達もエルムバーンでの生活に何の問題も無いらしい。


「強いて言うなら~男性の視線が胸に集まる事くらいかしら~?ねぇマルちゃん?」


「知らないわよ!見られた事ないから!ていうか、あんた分かってて言ってんでしょ!」


「…マルレーネの胸は目立たない…」


「うっさい!」


 うう、無情…


「元気出して、マルちゃん。その内良いことあるから」


「本気で慰めないで下さい…余計哀しくなりますから…」


「うふふ~。あ、これは私達三人からのプレゼントです~、ジュン様」


「あ、はい。ありがとう御座います。…これは?」


「私達で可能な限り調べた、女性達のプロフィールです」


「何ですと?」


 パラパラと捲って見ると…一人一人の情報がびっしりと。

スリーサイズから家族構成。恋人の有無から処女か非処女かまで。よくこれだけの人数をここまで調べたな。

似顔絵まで描いてある。

しかし、これをボクにどうしろと?


「そろそろ新しい女の子を毒牙に掛けたい頃かと思って~。あ、マルちゃんとターニャちゃんのも入ってますから~」


「何で入れてんのよ!…カトリーヌのも入れてるんでしょうね?」


「私のは入れてないわよ~?」


「サラッと言ってんじゃないわよ!」


「…大丈夫。カトリーヌのは私が入れておいた…」


「ターニャ偉い!」


「あらあら~?いつの間に~?」


 この人達は…ボクは女好きなのは誤解だって知ったはずなのに。

しかし、本当によく調べてある。

レヴィさんやタマモさんまで…マルちゃん達は殆ど接点無いだろうに。


「ジュン様、御目出度う御座います」


「御目出度う、ジュン様」


「ありがとう、ノエラ、セバスト」


 いつの間にか席を外していたセバストと一緒にノエラが来た。

ノエラは何だか申し訳無さそうな顔してる。


「すみません、ジュン様。私としたことが…プレゼントを用意する時間が足りず…このような物しか…」


「これは…鍵?何処の鍵?」


「魔法の鍵です。その一本で全ての部屋を開ける事が出来ます」


「え?どんな部屋の鍵でも?」


「はい。普通の鍵なら。特殊な鍵や何らかの対策を施してない鍵なら、鍵穴さえあれば開けられます」


「なにそれ、普通に凄い」


 世の中の泥棒が欲しくて堪らないアイテムじゃん。


「へぇ~それがあれば夜這いかけ放題だね、ジュンさん」


「エミリエンヌさんはそう使うんですね、やっぱり」


「いえ…残念ながら城の鍵は全て対策が施されてますので…」


「あらら。残念だったね、ジュンさん」


「いやいや、何が?」


 ボクは夜這いなんてしませんから。

しかし、何処で手に入れたんだか。


「ジュン様。オレからはこれだ」


「おお!これは!」


 寿司だ。

ギンの故郷でしか食べた事の無い寿司。


「やっと満足出来る味に仕上がった。食べてくれ」


「ありがとう!」


 寿司ネタは普通だ。

タイやハマチ。マグロにイクラ。

タコとイカが無いのが少々残念だけど。


「うん。美味しい。ありがとうセバスト」


「ああ。魚はミズン達に採って来てもらったんだがな」


「そうなんだ。ミズンさん達もありがとう御座います」


「魚を採るくらい、私達には簡単な事ですから」


「いつでも仰って下さい」


 こういうプレゼントでいいんだけどな。

さっきみたいなおっぱい揉み放題券とかじゃなく。


「ジュン様、これはリリーとティナ達からですぅ」


「ありがとう」


 今度はリリーとティナ達からのプレゼント。

渡された袋の中身は…宝石の原石だ。しかも複数。


「どうしたのこれ」


「北の森のジュエルアルマジロの事、覚えてますか?あの後ティナ達と一緒に大急ぎで採りに行ったです」


「ああ~。ボクが冒険者になった日に言ってた奴ね」


「はいですぅ。運良く見つけられたです。ちゃんと殺さずに石だけ採ったんですよ?」


「見つけるのが一番大変だったの!」


「倒すのは簡単だったな!」


「そっか。ありがとう、皆」


「「「えへへ」」」


 しかし、凄いな。

これなんてダイヤの原石じゃないか?

結構大粒の。

ジュエルアルマジロ…よく絶滅してないな。


「ジュン様、これは私とルチーナからです」


「今回は私が姉さんをコントロールしましたから、まともな物ですよ」


「ありがとう、クリステア、ルチーナ」


 次はクリステアとルチーナから。

二人からのプレゼントは…指輪?

小さな魔石が散りばめられた銀の指輪だ。


「これは?」


「魔法道具の指輪です」


「少量ですが、魔力を貯めておける指輪で、いざという時に魔力を回復できます」


「へぇ?凄いね。ありがとう」


「はい!因みに私達も同じ指輪を着けてます!御揃いです!」


「私達の指輪でも魔力を回復できますから。三つ使えばそこそこ回復しますよ」


 なるほど。

でも御揃いの指輪を着けるのが真の目的な気がする。

まぁいつものクリステアのアイディアに比べたら可愛いモノだし、いっか。


「それと、これもどうぞ」


「これは?」


「私の使用済みブラジャーです。ブラジャーの方がジュン様の御好みのようですので」


「折角、ルチーナの御蔭でいい感じだったのに…」


 クリステアはやっぱりクリステアだった。

パンツよりブラの方が好みとかどこで判断したんだ。


「ジュン様。あの…」


「これは私とリディアからですわ」


 次はリディアとユリアから。

リディアはまだ盗賊を殺してしまった事が尾を引いてるのか、元気が無い。

リディアとペアを組む事になってからユリアが何かと面倒をみてくれているのだが、まだダメなようだ。


「これは?組紐?」


「はい。ランドルトの街がある地方で伝わっている編み方で編んだ御守りです。緑色のは私が、青色はリディアです」


「そっか。リディアの瞳の色と同じで綺麗だね」


「はい…ありがとうございます」


 う~ん…重症だな。

リディアが落ち込んだ原因はボクにあるし…


「あの、ジュン様…この間は、その…すみませんでした…」


「いいんだよ。言ったでしょ?リディア、アレは命令じゃない。リディアは何も気にしなくていいだって」


「いえ…それだけじゃなくて…ジュン様を危うく絞め殺してしまいそうになった事も…」


 あ~…サバ折りされそうになった件ね。

確かにアレは危なかったけども。


「ユリアさんに聞きました…私は親衛隊失格ですわ…守るべきジュン様に危害を加えるなんて…」


「あ~…」


「(あの、ジュン様。何か適当な罰をお与えになればリディアも納得するのではないでしょうか?リディアが許せないのは自分自身ですし)」


「(その考えはわかるけど…どんな罰が適当だと思う?)」


「(他の者には罰を与えた事はないのですか?)」


「(悶絶擽り地獄とか正座一時間とか?)」


「(可愛い罰ですわね…何かもっとこう…禊になるような罰で無ければ効果は無いかと)」


 そう言われてもな。

この世界にある罰というと…鞭打ちとか?独房に一日入るとか?給金をカットとかかな?

いや、しかしリディアは悪くないって言ったのに重い罰を与えるのも違う気が…


「あの…ジュン様?私…もうジュン様の傍には居られないのでしょうか?私の事、嫌いになってしまいましたか?」


「え?まさか。リディアを嫌いになったりしないよ。心配しないで」


「でも…」


 ふむ。

ボクに嫌われて此処に居られなくなるのが一番怖かったのか。

ならば…


「あ、ジュン様?」


「大丈夫だよ、リディア。ほら、嫌ってる相手をハグしたりしないでしょ?大丈夫。これからもリディアを頼りにしてるからさ」


「は、はい…」


 これで多少は不安も拭えただろうか?

さっきよりは元気になったようだけど…


「よかったですわね、リディア」


「あ、ありがとう、ユリアさん。御迷惑を…ユリアさん?何か怒ってますか?」


「いいえ、別に?オホホホ」


 今度はユリアが不機嫌そうだ。

一体どうした?

いや、ユリアだけじゃなく他にも何人か不機嫌そうな…


「ん、んんっ!次は僕達だね!」


「ん。自信あり」


 次はアイシス達がくれるらしい。

アイシスからのプレゼントには若干の不安を感じる…何せ思春期真っ盛りの中二病勇者だし。


「僕からはこれね。時間が無かったからあまり凝ったのは用意出来なかったけど…はい、新しい剣帯」


「おお!アイシスなのに普通だ!普通のプレゼントだ!」


「ちょっと!アイシスなのにって何!」


「ああ、ごめんごめん。ありがとうアイシス」


 予想を良い意味で裏切ってくれた。

よかった、凝った物用意してくれなくて。


「次は私。はい」


「これは…似顔絵?」


「うん。私が描いた。シャクティにも」


「私にも?ありがとう、セリアさん!」


 これは意外な才能…でもないか。

セリアさんらしい特技だな。実に上手い。


「ありがとう、セリアさん」


「ん。ジュン様にはもう一枚」


「え?もう一枚?…これは?」


「アイシスのヌード」


「なー!ちょっとセリア!何てモノ描いてるの!」


「大丈夫。後ろ姿だから」


「全然大丈夫じゃない!」


 二枚目の絵は…全裸のアイシスがメーティスを持った姿の後ろ姿を描いた物。こんな場面は無かっただろうから想像で描いたのかな。


「因みに分かり難いけど、アイシスのここには本当にホクロがある」


「え?僕、そんな所にホクロがあるの?って、そんなことまで言わなくていいから!」


「次は私ですな。これをどうぞ」


「これは?グラス?」


「はい。魔法のグラスです。それに注げばいつでもキンキンに冷えた飲み物が飲めます。酒を飲む時にお薦めですぞ」


「ありがとう御座います、バルトハルトさん」


 実にバルトハルトさんらしいプレゼントだ。

こういう時に個性が出るなぁ。


「次は私ですかね~。はい、ジュン様」


「ありがとう、シャクティ」


 シャクティからのプレゼントは手作りお菓子の詰め合わせだ。

シャクティは料理も出来るがお菓子作りの方が得意みたいだ。


「じゃあ、ボクもシャクティには今渡そうかな」


「わ!これは…真珠ですか?」


「うん。ボクが採った貝から採れた黒真珠だよ」


 何時ぞやの黒真珠をネックレスにしてみた。

シャクティの故郷の海で採れたやつだし、丁度良いと思って用意した。


「いいな、シャクティ…ジュン!僕の時もネックレスがいいな!」


「アイシス、図々しい」


 確かに。

いや、まあいいんだけどね。

羨ましそうにしてるのはアイシスだけじゃないし。


「次はウチとユウからね」


「はい、お兄ちゃん」


「ありがとう」


 アイとユウからのプレゼントは…服だ。

多分新しいデザインの服が数着。


「新しいデザインの服をシルヴィさんに大急ぎで作って貰ったの。だからシルヴィさんからのプレゼントでもあるから…」


「そっか。今度御礼言っておくよ。…で?このパンツはどっちのデザインだ?」


「「内緒」」


 まさか婚約者と妹から象さんパンツをプレゼントされるとは…エミリエンヌさんやミズンさん達に大ウケしてるし。


「最後はわしらからだな」


「きっと驚くわよ~」


「へぇ?何ですか?」


「ふふふ…」


 パパ上が不適な笑いをした後、指をパチンと鳴らす。

するとずっと演奏を続けていた音楽隊が急に演奏を変え、コーラス隊も出て来た。

というかこの曲…所々違うけど…


「ま、まさか…」


「驚いた?驚いたでしょ?」


「お前がよく風呂で歌ってる歌に曲をつけて音楽隊に再現させたんだ」


「作曲家を呼んでジュンの歌を聴かせて~結構大変だったのよ?」


「しかし、お前に歌を作る才能まであったとはなぁ!あれ、お前の作曲だろ?」


「聴いた事のない歌ばかりだものねぇ。城内で流行ってるのよ?貴方がお風呂に入ってる時に、外には人集りが…どうしたの?」


 何という事でしょう。

まさか聴かれていたなんて…


「ていうか外で聴いてたんですか?皆?」


「あ、はい。私も聴きました」


「私もです。いい歌でした。カタリナにも手紙で報せちゃいました。感動したので…」


「いやいや!いくら何でも廊下まで聞こえるような大声で歌ってませんよ!?せいぜい脱衣所…て、まさか…」


 皆一斉に目を逸らした。

アイにユウ、お前達もか!


「まあ良いじゃない、あんな素敵な歌なんだから。時々、知らない単語が出て来るけど~」


「あ、そうです。アスファルトって何ですか?ジュン殿」


「ケータイとかメールとかもありましたね。何ですか、それ?」


「勘弁して下さい…」


 ガッツリ聴かれとる。

覚えられとるし。


「それでね、折角だからジュンが作った曲を発表する音楽会を開く事に…」


「絶対に止めて下さい!」


 いくら滅んだ世界の歌とはいえ、それじゃ盗作…。

いや、既に手遅れか…。

現代地球の作曲家さん歌手さん!ごめんなさい!

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