表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/604

第218話 パーティー名

「おーう。来たか」


「こんにちは、ギルドマスター。今日は何です?アンデット系の指名依頼なら断りますからね」


 今日はギルドマスターに呼ばれて冒険者ギルドに来ている。ボクだけじゃなく、いつものメンバー全員にお呼びが掛かった。


「そう警戒すんなよ。いい話だ。お前ら全員、ランクアップだ。これでお前達はSランクパーティーの仲間入りだな」


「え?全員ですか?」


「ああ。今日は来てないみたいだが、メイド四人組もランクアップだ」


 つまりボクとリリー。セバストとノエラがSランクか。

ティナ達は夏休みが終わって学校に行っているので今日は来ていない。


「リリーがSランクですか…信じらんないですぅ」


「オレもか」


「私もですか」


「ああ。人数の多いパーティーではあるが、Sランクが四人もいるんだ。文句なしのSランクパーティーだな」


「ランクアップは素直に嬉しいですけど、急ですよね?」


「そうでもねぇさ。お前さん達には十分な功績があったしな。シーサーペントの討伐で十分だったんだが…ギガロドンだっけ?アレの報告は俺も聞いた。一つの国を救う程の活躍をしたんだ。文句なしにランクアップだよ」


 ギガロドンの姿はセイレンの冒険者ギルドの職員も目撃していたらしい。

アデル様の口添えもあって、ギガロドン討伐は功績として認められていた。


「でよ、こんなこと今まで冒険者に言った事無いんだがよ」


「何です?」


「お前ら、いい加減パーティー名を決めてくれや」


「え?何故です?」


「Sランクパーティーともなれば世界各国の冒険者ギルドに通達が行くし冒険者以外にも知られる存在になるんだ。何時までも名無しじゃカッコつかねぇだろ?出来るだけ早急に決めてくれや」


「はぁ」


 パーティー名ねぇ…中二病を患っている時だったら喜んで決めたのだろうけど。

まぁ仕方ないか。


「という訳で。第一回パーティー名を決めよう会議を開催します」


「「「わー」」」


 冒険者ギルドの会議室を借りて相談する事に。

皆、結構楽しそうだ。


「僕の出番だね!」


「アイシスも考えるのはいいけど、自分のパーティー名を決める訳じゃないからね」


「わ、分かってるよ」


 因みにアイシス達もランクアップしてBランクパーティーになったらしい。勇者がCランクだった、というのも少々意外だけど三年でCランクも十分早いらしい。


「じゃあ、アイディアのある人は挙手を」


「はい」


「はい、ノエラ君」


性奴隷(ペット)などいかがでしょう」


「却下」


 まぁ、ノエラの事だから、必ず言うと思ってた。


「他には―――」


「はい!」


「はい、シャクティ君」


「ダーリンとハニー、で!」


「はい、却下」


 この際、二人のセンスは問わないとして。

セバストの事を考慮してなさすぎじゃなかろうか。


「それじゃ僕の出番だね。フフン」


「…はい、アイシス君」


「ジュン達のパーティー名は…無敵!これに決定でしょ!」


「「「却下」」」


「何で!?」


 何でも何も。

そんな恥ずかしいパーティー名やだ。

アイシスの中二病は長引きそうだね。


「う~ん…他のパーティーってどんな名前何ですかぁ?他のパーティー名を参考に考えてみるとかぁ…」


「お!良い意見です、リリー君。その意見を採用しましょう。誰か他のパーティーの名前を知ってる?」


「魔王様とエリザ様達のパーティーは、『キング&クイーン』 だったらしいぞ」


「結構、そのまんまだね」


「後は…以前会ったSランクパーティー『ファミリー』ともう一つのSランクパーティー『フラワー』ですか」


「へぇ。『フラワー』?可愛い名前だね」


「何でもパーティーメンバーが全員女性で、全員が花と同じ名前らしいですよ」


 なるほど、わかりやすい。

パーティーメンバーとの関係性やメンバーの特徴をパーティー名にするのがいいのかな。


「ふむふむ…他には?」


「他は特に…」


 他に知っている人はいなさそうだ。

二つだけじゃ参考にするにはちょっと少ないか?


「他にどんなパーティー名があるのか、ちょっと聞いて来るよ」


「あ、ウチも行く~」


「私も」


 アイとユウだけじゃなく、アイシス達を除く全員が付いてきた。パーティー名を聞くだけなのに。


「ウーシュさん、こんにちは」


「あ、ジュン様。こんにちは。何か御用ですか?」


「はい。実はギルドマスターにパーティー名を決めるように言われたんですけど、いいのが浮かばなくて。そこで参考に他のパーティーはどんな名前を付けてるのか、教えてもらって参考にしようかと」


「ああ。ようやく決めるんですか。Sランクパーティーになるまでパーティーに名前が無いなんてジュン様達くらいですよ、きっと」


「はは…それで、教えてもらえます?」


「はい。えっとですねぇ、例えば…あそこにいる三人の猫人族の女性のパーティーは『キャッツアイ』三姉妹で長女のティアさんがリーダーで、次女がアイズさん。三女がラブさんですよ。…どうかしました?」


「いえ…何でも…」


 某三人組の怪盗を連想してしまうな。

まぁロミリオ君のとこの『蒼い三流星』の例もあるし、偶然だろう。


「それから…あっちの剣士四人組は『ヴァリ―の剣』。ヴァリ―村出身なんですって」


 なるほど。出身地をパーティー名に。

これもわかりやすいな。


「それから…あそこにいる五人組の女性」


「うぅ…気持ち悪い…」


「飲み過ぎたわねぇ。昨日は流石に…」


「それ、前も言ってた…」


「反省しようよ…」


「あんたも同じでしょ…」


 テーブルに突っ伏してる五人組の女性達。

どうやら二日酔いのようだ。

一人は見覚えがある。

武道会でステファニアさんに裸にされた女性だ。


「彼女達のパーティー名は『結婚し隊』です。これは参考にしない方が良いでしょうね」


「でしょうね」


「あんな風にしょっちゅう酔いつぶれてるから、結婚出来ないんだって事にそろそろ気が付いてもらいたいもんですね」


「酷い言い様ですけど、同感ですね」


 見た目は悪くないのに、勿体ない。

普通に婚活してれば結婚出来そうなのに。

またお見合いパーティーでも開いてみるかな。


「あとは…さっきからあそこでジュン様に熱い視線を送っている女の子達。彼女達のパーティーは『ジュン様ファンクラブ』と、名乗ってます。エルムバーンで最大人数を誇るパーティーですね」


「そんなパーティー名、アリなんですか?」


「パーティー名は原則、余程酷くて問題のあるモノじゃなければ自由ですから」


 問題があると判断して欲しかった。

しかも最大人数って。

てっきり、うちのパーティーが最大だと思ってたのに。


 他にも幾つかのパーティー名を教えてもらってから会議室に戻った。

やはり、パーティーメンバーとの関係性や特徴等に因んだ名前が多かった。


「それじゃ、改めて。他のパーティー名を参考に何か思い付いた人、挙手」


「はい」


「はい、アイ君」


「『美男美女』」


「恥ずかしいから却下」


「はい」


「はい、ユウ君」


「『お兄ちゃんと結婚し隊』」


「却下だ、却下。二つの意味で」


 他のパーティー名を悪い形で参考にしとるがな。


「二人とも、もっと真面目に考えなさい」


「ウチは真面目だよ」


「私も真剣だよ」


「じゃもっとダメだよ…」


 はぁ…全くもう。

後、アイディアを出して無いのは…


「ルチーナは何か無い?」


「わ、私ですか。そうですね…『恋人達(ラヴァーズ)』何てどうでしょう?」


「……」


 今までで一番まともだとは思うが…


「ごめんね、却下で」


「ダメですか…」


 そんな悲しそうな顔されると困るな。

でも…このパーティーに恋人同士は居ないし。

婚約者は居るけど…


「セバストは?」


「オレか?ん~…浮かばないなぁ」


「そっか。ボクも浮かばないし、後は…」


「私ですね」


「ん~…仕方ない。また後日考えるとしようか」


「ジュン様?どうして私には聞かないんです?」


「だって…クリステアのアイディアは聞かなくても想像出来るし…却下する未来しか見えないよ」


 ノエラと同じような名前を挙げるに違いない。

『牝犬』だとか『抱かれ隊』だとか。


「ふふっ、甘いですね、ジュン様。私も日々精進しているのです。ここでノエラさんや、ユウ様のようなアイディアを出しても却下されるだけ。ジュン様のポイントは稼げません」


「ほほう。言うじゃない、クリステア」


「ではクリステアさんのアイディアを聞かせてもらいましょう」


「いいですよ。ジュン様、『主人(マスター)』はいかがでしょう」


「お?『(マスター)』?意外とまとも」


「リーダーであるジュン様だけでなく、アイ様とユウ様も(マスター)ですし。ハティにとってもご主人様(マスター)ですしね」


「ウチには旦那(マスター)って訳ね」


「私にとっても未来の旦那(マスター)ですしね!」


「私にとってもそうなるしね!」


「え?アイとユウは違うだろ?それにシャクティは今もそうじゃないの?」


「ジュンとアイだけじゃなく、達人級(マスタークラス)の腕前の人ばかりだし、いいんじゃない?」


 なるほど、そっちの意味もあるか。

クリステアが一番良いアイディアを出すとは。


「決定かな?」


「良いんじゃない?ウチは賛成」


「私も賛成」


 皆、異論無さそうだし、決定だな。


「じゃ、ボク達のパーティー名は『マスター』に決定」


「「「は~い」」」


 早速、パーティー名をギルドマスターに報告しよう。

そう言えばマスターには「長」の意味もあるか。


「ほ~う『マスター』ね。悪くねぇんじゃねえか」


「ありがとうございます。それじゃ、ボク達のパーティー名は『マスター』という事でお願いします」


「ああ。あっと、そうだ。お前らは『フラワー』の連中とは面識はあるか?」


「Sランクパーティーのですか?いいえ?『ファミリー』の人達には一度会いましたが」


「そうか。なら注意しとけ。連中は『ファミリー』だけじゃなく、他所の国のSランクパーティーにも勝負を挑んでどっちが上か決めようとするんだ。目的は知らん。お前らの前にもいずれ現れるかもしれん」


「えー…何ですか、それ」


「さぁな。腕は超一流で間違いないし、それ以外の行動に問題も無い。理由は聞いても答えねぇ。兎に角、注意しとけ」


「わかりました」


 『ファミリー』だけでなく、『フラワー』の人達にも会ってみたいと思っていたのに。

残念だ。

でも、何か会う事になりそうな予感がする。

ヒシヒシと感じるなぁ。

面倒な事になりませんように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ