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第203話 何かが海からやって来る 1

南の島バカンス二日目。

今日も砂浜には地上に降りた美神で溢れてる。


「海はいい…太陽がいっぱいだ」


「昨日も言ってましたけど、やっぱり太陽は一つですよ?ジュン様」


「シャクティも太陽だよ」


「あ、太陽って女の子の事なんですね…いえ、もしかしておっぱい見て言ってます?」


「そんな事無いよ?」


「ジュン様?どうしてこっちを見て言わないんですか?」


だって見ちゃうもの。

シャクティも大きくなったなぁ。

ひょっとしてFカップある?


「見たいなら素直に見たいって言えばいいじゃないか」


「そうすると水着姿じゃなく全裸を見せようとする人が数名居ますので」


「それはそれで見たいくせに」


それは否定しませんけどね。

駄目でしょ、やっぱり。


「ところでさ、ジュン。パパ達とシャンゼ様達はよかったの?呼ばなくて」


「流石に部屋数が足りないからね。ダーバ王子達とフランコ君達が帰ったら来る予定」


「そっか」


「じゃあ私達はその間ずっとお休みなんだ」


「偶にはいいんじゃない?長期休暇も。でもずっと泳ぐだけじゃ退屈しちゃいそ」


「そこでこんな物を用意してみました」


魔法の袋から取り出したるは海での遊びの定番アイテムだ。

ビーチバレー用のボールやネット。

バナナボート何かも用意した。

 

「ビーチバレーは分かるけどバナナボートはどうするの?」


「こうやります」


海水で鳥型のゴーレム作成。

バナナボートとつないで準備完了。


「ジュン殿、これはどういう物なのです?」


「乗り物のようだが…」


「試してみます?初始動何で加減が難しいと思いますが」


「?うむ…」


「イーノさんもどうぞ」


「はい…こうですか?」


「そうです。しっかり掴まってくださいね」


鳥型ゴーレムをゆっくりと飛ばす。

先ずは様子見で馬車と同じくらいのスピードで。


「おお、なる程。水上を走る馬車のような物なのだな」


「自分で飛ぶのとはまた違いますね」


慣らし運転はここまで。

本番はここからだ。


「じゃあスピードを上げますよ。しっかり掴まっててくださいね!」


「うむ…ん?」


「ちょっ、ちょっとジュン殿?」


「まだまだスピードを上げますよー!」


障害物の無い海だからこそ出せるスピードだ。

本来なら救命具も着けずにやることじゃないが…よい子は真似しないようにね!


「きゃー!」


「ジュン殿ぉー!ちょっと速すぎませんか!?」


「ハッハッハッー!次はちょっと曲がりますよ!」


出来るだけ大きな孤を描くように曲がる。

それでもかかる強烈な遠心力。


「「きゃー!!」」


カタリナさんとイーノさんが落ちてしまったので、ボクも一緒に落ちて近くまで行っておく。

二人とも大丈夫なようだ。残念ながら水着も無事だ。


「どうです?スリルあったでしょ?」


「す、スリル?確かにあったが…」


「ちょっと怖かったですけど、楽しいですね、これ!」


カタリナさんの方が怖がるのはちょっと意外だな。

それにしても…


「な、何だ?」


「いえ、可愛らしい悲鳴だったなぁと」


「ふ、ふん!私とて悲鳴くらい上げるさ。しかし、君は存外意地悪な部分もあるんだな」


「え?そうですか?」


「そうですよ。ジュン殿は私にも意地悪な時があります。パメラや子供達にはずっと優しいのに」


「それは多分、親しくなってきたからですよ。それに子供に意地悪しないのは当たり前でしょ?」


「そ、そうか?うん、そういう物かもしれないな」


「そ、そうですね。でも出来ればもう少し優しく…」


イーノさんには随分、甘いと思うんだけども。

いや、優しいと甘いは違うか。


「おおーい!ジュン様ー!それあたいも乗りたいー!」


「わたしも乗りたいのー!」


バナナボートの疾走を見ていたティナ達が騒ぎ出した。

リタ達も乗りたそうだ。


「わかったよー!今戻るからー!」


子供にせがまれたら仕方ない。

先ずは子供達を楽しませてやろう。


「じゃ、戻りましょうか。ボートに乗れます?」


「飛行魔法を使えばいけますね」


「私は飛行魔法が使えないのだが…」


「じゃ、ボクとイーノさんに掴まってください」


「うむ」


浜に戻って子供達を順番に乗せてやる。

今までこういう遊びと無縁だった子供達は凄く楽しそうだ。

特にこの間まで豚侯爵の下にいたリタ達が楽しそうに笑っているのを見ると、本当によかったと心から思える。


「じゃあ、ウチらはビーチバレーやろうか。あとでウチらも乗せてね、ジュン」


「うん。ボクはゴーレムを操作してないとダメだから、ビーチバレーはできないけど。気にしないでやってて」


「うん。ジュンもこっちの事は気にしないでねー」


「アイ、ビーチバレーとはどういう遊びなのだ?」


「あー…そっか。説明するね」


ボールやネット等を用意した時から予想してたけど、この世界にはビーチバレーは無いらしい。

格闘技や魔法の訓練等はあってもスポーツや球技という概念が無いみたいで、野球やサッカー、バスケといった日本でもメジャーだったスポーツはこの世界には無い。


「とまぁ、今のがビーチバレーのルールだよ。簡単でしょ?」


「うむ。中々面白そうだ。早速やってみようか」


ボクがゴーレムの操作をしてる後ろでドキッ!美女と美少女の水着でビーチバレー大会が始まった。

いや、別に試合でも大会でも無いのだが。

チラチラ見るとまた何か言われそうなので見ないが…きっと素晴らしい揺れが見れるに違いない。


「楽しそうな事してるわねー。私も混ぜて~」


「私も~」


更にママさんチームも参加だ。

いや、酒盛りをしていたパパ上や、バルトハルトさん達も集まって来た。


「大人数になったし、チームに分けて試合をしましょうよ。優勝したチームには…ジュンから御褒美が貰えるってどう?」


「ちょっと?ママ上?勝手に決めないでくれます?」


「いいじゃない。御褒美の内容はジュンが決めていいから」


「ああ。それなら」


また結婚とか要求される事になるのかと。

ここにはそういう事を要求しそうな人がいるし。


「じゃあ、ジュンちゃんの了承も貰えた事だし。ジュンちゃんの御褒美を賭けて勝負よ!優勝チームはジュンちゃんが御褒美にお願いを聞いてくれるわよ!」


「ちょっとぉ!アンナさん!?勝手にご褒美の内容を変えないように!」


「じゃ、始めよっかー。抽選の結果、第一試合は ダーバ王子チームVSアイシスチームよ!」


「うわ、それちょっと見たいな!」


いきなりの好カード。

しかし、ゴーレムの操作中なので後ろを見れない。

無念。


「フッフッフッ…アイシス殿には悪いですが、優勝してジュン殿から金銀財宝を貰うのは私達です!」


「フフン!同じ勇者として負けられないね!勝ってジュンから御褒美を貰うのは僕達だよ!」


チームは1チーム三人。

ダーバ王子のチームにはブロイドさんとゴードンさんが。

アイシスのチームにはセリアさんとバルトハルトさんだ。


「ん?」


「あ、シードラちゃん?」


「近づいて来る…何か咥えてるみたいだけど…」


「何?でっかい魚?」


「いや、人っぽいけど…」


試合が始まる直前。

シードラちゃんが海から出て来て何かを運んできた。

シードラちゃんが砂浜に置いたそれは…


「人魚…?」


転生後初遭遇となる人魚だった。

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