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第191話 結婚式 当日

「お疲れ、ジュン」


「上手くいったね、お兄ちゃん」


「不覚にも泣いてしまったよ。いいモノを見させて貰った」


「ああ、うん。おかえり…」


アイとユウ、カタリナさんが戻って来た。

皆、それぞれに違う場所で待機して見守っていたのだが三人は同じ場所で見守っていた。

そして三人も貰い泣きしたのだろう、目が赤い。


「リリーも泣いちゃいましたぁ」


「私も…」


「オレも危なかった。死んだ母さんを思い出したよ」


先に戻っていたリリー、シャクティ、セバストも同じらしい。

後はアイシス達か。

因みにイーノさんは宴の後はこのボク達の部屋で待機していた。


「ところでジュンはどうしたの」


「疲れちゃった?」


「天気を変えるなんて荒業をやったんだ。そりゃ疲れるだろう」


「ハハハ…」


疲れたというか、何というか。

まさかの本物のジゼルさん降霊に衝撃を受けたと言いますか。

兎に角、勘弁して欲しい。


「ただいま~」「ただいま」


「「「おかえり~」」」


アイシスとセリアさんが帰って来た。

二人にはフランコ君達の様子を最後まで見てもらっていた。

バルトハルトさんはまだ酒盛りの最中だろう。


「どうだった?」


「うん。問題無いよ。親子は無事仲直り出来たよ」


「いい話だった」


そうだね…普通はああいうシーンを見たら感動的な気分になるんだろうけど…


「ところでさ、ジュン。予定と違ったじゃない。びっくりしちゃったよ」


「うん。驚いた。でも結果オーライ」


「あ、そうそう。ウチもあれっ?て思った」


「私も。あの魔法喋れないって言ってたのに」


「それに動きも凄く自然だったな。この短時間で改良したのか?」


「いや…あれは…」


本物の幽霊なんです。

と、言う前に客が来たようだ。


「こんばんは、ジュン殿」


「結果を聞きたくて来てしまいました」


やって来たのはダーバ王子一行だ。

オリビアさんもいるが、ゴードンさんは居ない。

多分バルトハルトさんと一緒に酒盛りだろう。


「作戦は成功だよ。大成功」


「うん、大成功」


「それはよかった。しかし…それにしてはジュン殿の顔色が優れないようですが?」


アイシス達とダーバ王子ってあんまり絡んでないと思ったけど、それなりに仲良くやってるみたいだ。

実に自然に会話している。


「う~ん…あ、もしかしてイーノがまた何かやらかしました?」


「私は何にもしてないぞ、ダーバ」


「…あんたも何時もと違うな。女らしい格好してるからか?」


「あ、そうでした。私、イーノ様のドレス姿を近くでじっくり見たいと思っていたのです。よろしいですか?」


「あ、ああ。オリビアなら…ダーバはごめんだが」


「有難う御座います。では…失礼します」


「え?」


オリビアさんのセクハラが始まった。

見るだけじゃなく、ベタベタと触っている。


「まあ、やっぱりイーノ様はスタイルがいいですのね。腰も細いし…足も綺麗で長いですわ」


「お、オリビア…褒めてくれるのはいいが、触りすぎじゃないか?恥ずかしいんだが…」


「同じ女ですから、気になさらないで。やっぱり大胆なドレスですのね。背中もそうですが、この腰。ちょっと捲れば見えて…あら」


「あ、わあああ!見るな、オリビア!」


「大胆ですのね。まさか履いてないなんて」


「「「え」」」


履いてないって…つまり下着を?


「イーノ様って私と同じ趣味なんですか!?」


「しゅ、趣味?ち、違う!このドレスは下着を着けるとラインが出るから脱ぎなさいってエリザ様に無理やり…」


ママ上、なんて事を…これバレたら問題にならないかな?


「ところでシャクティ?」


「あ、はい。なんですかジュン様」


「まだその趣味、直してなかったの?」


「あ」


「シャクティ?まさか今…」


「え、えへへ」


「…シャクティ、後でお仕置きね」


「ち、違うんです!普段はだいたい履いてます!今日は偶々です!」


「それ、自白同然だから」


シャクティは一時間正座の後、足をつつかれるの刑だ。


「あ、え~と…そ、そうだ話の続きだが。アイシスが言ったように少し予定と違ったじゃないか。急な作戦変更は失敗の原因になりかねないぞ?」


話を変える為、カタリナさんが最初の話題に戻す。

そこ、やっぱり気になりますか。


「…その件ですけどね。あれはボクの仕業じゃないんです」


「うん?どういう事だ?」


「最初に言ったように、ボクの魔法では声までは再現出来ません。それは今も変わりません」


「え?でも…」


「あのジゼルさんは途中からボクの魔法じゃなくなってた。ボクの意思で動かす事が出来なくなってた」


「つまり、あのジゼルさんは本物だ。本物の幽霊がボクの魔法を媒体に降霊したんだ」


「「「え」」」


「それってつまり…」


「ヴァルター様が言ってた通りの事が起きたって事か」


セバストの言うように、そういう事になるんだろうなぁ。

危険な存在じゃないにしても、やっぱり怖いなぁ。


「それじゃジュンはさぞかし怖かったんじゃないの?」


「我慢出来たんだ、お兄ちゃん」


「何だ?何がだ?」


「お兄ちゃんはね、人の幽霊とかゾンビとかが怖いの」


「へぇ。それは意外な弱点」


「本当。完全無欠な人なのかと」


そんなわけない。

完全無欠なんて程遠い存在ですよ、ボクは。


「でも、以前よりはマシになったんじゃない?あの場から逃げ出さなかったんでしょ?」


「恐怖に震えて動けなかっただけだったりして。どうだったの、ノエラさん」


「何を言うか。そんな事なかったよね、ノエラ」


「はい。最高の一時でした」


「「何が?」」


ちょっと?

ノエラさん?貴女、秘密にしてって言ったの忘れてません?


「ちょっと!ノエラさん!何があったの?」


「申し訳ありません、アイ様。ジュン様に秘密にするよう命令されてますので、私の口からは。ただ最高の時間だったとだけ申しておきます」


ノエラ、それ秘密に出来てない。

秘密があるって自分から言っちゃダメじゃん。


「ノエラ先輩ばっかり、ずるいですぅ」


「そうですよ!最近ノエラさんばっかり、良い思いしてませんか?」


「あら?そうでしょうか?」


何だか収拾がつかなくなりつつあるな。

ここは強引に話を終わらせてしまおう。


「あー、もう時間も遅いし、自分の部屋に戻りなさい。明日はいよいよ結婚式だし。寝不足で長時間待つのは辛いぞ」


「…仕方ないな、君は。ほら、皆部屋に戻ろう。ほらアイシスも」


「う、う~…」


「それでは私達も。オリビア」


「はい、御兄様」


カタリナさんに促され、皆部屋に戻る事に。

でも動かない人が一人。


「イーノさん?どうかしました?顔色が悪いようですが」


「そ、その…ジュン殿、今夜は一緒に寝て貰えませんか」


「ダメです。勝負に勝ったんだから抱いたりしませんよ」


「いえ!そうではなく…私も苦手なんです…幽霊とかが…」


あ~…それなら気持ちは分かる。分かるけど…一緒に寝るのはダメだ。


「はあ…仕方ないな。ではイーノさんは私と一緒に寝よう。女同士だ、問題無いだろ?」


「あ、はい。お願いします!」


「やれやれ…確かイーノさんの方が年上だろう?これでは妹みたいじゃないか」


「うう…すみません…」


イーノさんは確か二十五歳。カタリナさんは二十一歳。

ハーフ魔族も長命だから見た目で判断出来ない事が多いが、イーノさんはまだ見た目と年齢に余り違いは無い。


イーノさんもカタリナさんと一緒に出ていった。

あとは…


「さ、皆も部屋に戻りなさい」


「嫌。ウチはここで寝る」


「私も。いいよね、お兄ちゃん。偶には」


「…一緒に寝るだけなら…」


仕方ない…兎に角もう寝よう。

ちょっと疲れたし、明日は今日より疲れるかもだし


「ノエラ達も、もう休んでいいよ。おやすみ」


「いえ、ジュン様。せっかくですから私達も一緒に」


「…セバストー」


「了解。ほら、行くぞ。リリーとシャクティも」


「あ、ちょっと兄さん」


「おやすみなさいです、ジュン様」


「おやすみなさい。明日は私達と一緒に寝て下さいね」


「ああ、明日はシャクティのお仕置きもしないとね」


「それは忘れて下さい!」


ノエラ達も出ていった。

そして、あとは…


「で?何かあるの?」


「別に。ただジュンもイーノさんと同じで誰かと一緒に寝たいかなって思って」


「一緒に寝れるの、私達しか居ないでしょ」


「そっか…」


どうやら気を使われたらしい。

正直、ちょっと有難い。


「ま、ノエラさんと何があったのか」


「じっくりと聞きたくもあるけどね」


「それは勘弁して下さい」


二人のおかげで幽霊に怯える事無く、眠りにつけた。

そして迎えた朝。今日はいよいよ、フランコ君とクローディアさんの結婚式だ。


朝食を終え、準備で忙しく動いているグンタークの使用人達をかき分け、フランコ君の様子を見に。


「フランコ君、よく眠れた?」


「ジュン殿か。ああ、問題無い」


結婚式の準備に忙しいかと思えば、フランコ君は落ち着いて座っていた。それに何だかスッキリした顔だ。


「何かあった?」


「いや…父と和解しただけだ。昨晩、少し話し合ってな」


「そっか。それはよかったね。それにしてももっと忙しくしてるかと思った」


「私は式の手順を覚えて、着がえるだけだからな。準備は使用人達に任せっきりだ。手伝おうとしたが座っててくれと怒られてしまった」


「ならボク達が手伝うのも良くないか」


「ウチらは一応客人だしね」


「客人どころか、国賓だ。問題になるから止めてくれ。退屈なら大聖堂でも見てきたらどうだ?式が始まったらゆっくり見物とはいかないからな」


「そうだね。そうするよ。じゃあね、フランコ君。結婚おめでとう」


「おめでとう、フランコ君」


「よかったね、フランコ君」


「ああ、ありがとう」


ボク達に素直に礼を言うフランコ君の笑顔は以前とは違う。

実に自然な、爽やかな笑顔だ。

エクトルさんと和解出来た成果だとしたら頑張ってよかったと思う。


「じゃ、大聖堂に行ってみようか」


「「うん」」


ノエラ達とアイシス達も誘って大聖堂へ。

護衛にクリステアとルチーナも付いてきた。


「カタリナさんとイーノさんは?誘わなくってよかったの?」


「誘うかと思ったんだけどね。カタリナさんはまだ寝てるらしい。イーノさんは起きてたけど、カタリナさんを待つってさ」


「ダーバ王子達は?」


「先に行ってるらしいよ」


「あ、あれがそうじゃない?」


城から王都グーテンベルクにある大聖堂へ。

グンタークの上流階級の人はここで結婚式を挙げるらしい。


「お、ジュン殿。来ましたね」


「お早う御座います、みなさん」


「お早う御座います」


大聖堂に入ると先に来ていたダーバ王子達と会う。

ボク達もだが、ダーバ王子達も既に正装だ。


「ここでは三人の女神が祭られているみたいですね」


「左の女神像がフレイヤ様。中央にあるのがイシュタル様。右にあるのがニーケー様ですね」


また新しい神様の名前が出て来たな。

女神ニーケー…知らないなぁ。


「女神ニーケー様とは、どんな女神様で?」


「えっと愛と希望、そして狩の女神様です。弓を持ってらっしゃるでしょう?」


「弓を持ったその姿から、愛の狩人なんて呼ばれる神様です」


愛の狩人ときたもんだ。

日本でそんな肩書きを名乗ったら痛い人認定不可避だな。


「ここで結婚式を挙げるのかぁ」


「ダーバ王子達はどこで挙げるんです?王宮ですか?」


「ええ。王宮内にある聖堂で」


「ここよりは小さいですが、ちゃんと女神像もありますのよ」


王宮で結婚式か。

確か、現代地球でもあったなぁ。


「エルムバーンではどうなんです?」


「城ですね」


「謁見の間に女神像を置いてやるんだっけ?」


「確かそうだね」


「なるほど。ジュン殿の結婚式には呼んで下さいね」


「気が向いたら呼びます」


「気が向いたらって…酷いなぁ…」


「…考えて貰えるだけまし…」


「ダバちゃんの今までを考えれば、そうよねぇ」


「弁護の余地が無いわね」


ですよね。

さ、ボチボチ他の招待客も来たようだし。

挨拶周りをしつつ例の人物が来るのを待つとしよう。

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