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第188話 作戦会議 2

「では、会議を始めましょう」


「その前にさ、お兄ちゃん」


「何かね、ユウ参謀」


「また参謀なんだ…まずフランコ君がどう思ってるか、確認すべきじゃない?」


「そうね。エクトルさんの考えとは違う理由でフランコ君はお父さんを嫌ってるのかも知れないし」


確かに。

エクトルさんが思ってる理由と全く別の理由だったら…作戦を考えて実行しても空回りに終わるかも。


「あ、それは大丈夫。エクトルさんが言ってた事と同じ事をフランコが昔言ってたから」


「うん。言ってた」


「付け加えると噂の方は疑いは晴れたと、説明して仲直りするように進めた事もあったのですが…」


「駄目だったと?」


「はい」


噂を否定するだけじゃ駄目か…父親に対する不信感が根本に有る限りフランコ君は仲直りに応じないか。


「他に何か言って無かった?」


「特には…思い付かないね」


「そういえばフランコは愛人が居る人が嫌いみたい」


「ああ。そういえばそうだね。婚約者がいるのに他の女性に言い寄ってるような人とか」


「そう。ジュン様を敵視してた理由の一つ」


「ちょっとお待ちなさい、セリアさんや。それだとボクが婚約者以外の女性を口説いた事があるように聞こえるんだけども?」


「ジュン様が無自覚なだけ」


「いやいや。何を仰るやら。のぉ、アイシスさんや。何か言っておやんなさい」


「セリアに同意かな」


「何ですと?」


そんなバカな。

女性を口説いた事なんて無いぞ。

口説かれた事はあるけど、それはエルムバーンの魔王子だからだし。


「ジュンは口説いてる事に無自覚なんじゃなくて、モテてる事に無自覚なだけだし」


「今はそれは置いておこうよ、話が逸れてるし。今はフランコ君の事でしょ」


「う、うん…」


追求したい所だけど…今はフランコ君の事が先だ。


「お父さんは何か無いです?一国の王として、色んな解決策を打ち立てて来たでしょう?その経験を活かして」


「ん…う~む…そうだなぁ…国家間の争いに例えるなら争いの原因を排除しないとどうにもならんよな」


「争いの原因を排除…」


「フランコ君とエクトルさんの場合はジゼルさんの死?」


「正確にはジゼルさんの死を切欠に生まれた誤解が原因でしょう」


「その誤解を解くにはどうすればいいのか、ですよね」


「振り出しに戻ってません?」


ジゼルさんを生き返せれば解決するかも知れないが…そんなこと当然出来ないし。


「死んだ人とお話が出来ればいいんですけどね」


「え?」


「は?何言ってんだ、あんた」


「何だ、その目は。フランコ殿はエクトル殿がジゼル殿を見捨てたと、思ってるのだろう?エクトル殿がそれを否定しても駄目ならジゼル殿に言って貰えばいいじゃないか」


「バカだバカだとは思っていたが、まさかここまで…」


「何だと、ダーバ!お前に言われたくない!」


「いえ、イーノ様が意外にロマンチストなのは知っていますが…今のは流石にバカにされても仕方ないのでは…」


「オリビア!?」


いや、結構いいアイディアかもしれない。

死者と会話は出来ないが擬似的な事なら…


「イーノさん、ナイスアイディアです」


「え?」


「ちょっと、ジュン殿?死者と会話なんて出来るんですか?」


「出来ません。でも擬似的な事なら可能かもしれません」


「擬似的な?」


「こんな感じで」


以前、新しく創った魔法を使用する。

これはあのマッドサイエンティストの爺を探す為に、似顔絵よりも正確に相手に伝わるように創った魔法で、簡単に言えば立体映像を作り出す魔法だ。


「この人は?」


「フレムリーラの魔王シャンゼ様です。もちろん、この場にいるのではなく、幻のような物だと思ってください」


「ねぇ、ジュン。これ動くの?」


「うん。喋る事は出来ないけど、動かせる事は出来る」


「服は自在に?」


「え?着せ替えもまあ…出来るよ?」


「ジュン…これ夜中にこっそり使って一人で楽しんだりは…」


「アイシス…君はどうしていつもそういう方向でしか考えられないのかね」


「アイシスはスケベ」


「違うもん!スケベなのはジュンだもん!」


「冤罪も甚だしいでしょ、それは」


「そうですね。ジュン様なら本人に言えば見れますし」


「ノエラ、それはフォローじゃない」


それにこの魔法はボクの記憶にある姿しか出せない。

動かすのはなんとでもなるけど、裸や下着姿なんかは見てないと再現出来ない。


「というわけで。ボクはジゼルさんを見た事が無いので再現が出来ません」


「じゃあ駄目じゃん」


「しかし、解決策はあります」


「どうするの?」


「この中でジゼルさんと会った事がある人は?」


「私はあるぞ」


「私も、聖騎士団団長時代に」


「僕はお見舞いに行った時にベッドで寝てるジゼルさんなら…」


「私も」


ヴェルリア組の四人しか知らないか。

まぁ、当然か。


「じゃあ、四人に協力して貰おうかな。まずカタリナさんから」


「うむ。どうすればいい?」


「目を瞑って、ジゼルさんの姿を思い浮かべて下さい。出来るだけ正確に、強く」


「うむ」


「精神魔法でボクの精神と一時的に繋げます。そのままでいてくださいね」


「うむ…ん?」


これ、ちょっと恥ずかしいんだよね。

この魔法を使う時、お互いの額をくっつけないといけないのが。

アイとユウ相手に練習した時は平気だったけどさ。


「わああああ!」


「へぶっ!」


「なななな!何をするんだ君は!」


「それはボクのセリフですよ!何すんですか!」


額をくっつけようとしたら平手打ちされた。

ひどい…


「精神魔法で精神を繋げるんじゃないのか!?」


「その為に額をくっつけないと駄目なんですよ!」


「ひ、額?キスしようとしたんじゃないのか?」


「しませんよ!」


「そ、そうか…うむ、すまなかった。しかし、君も事前に言うべきだろう」


「それはそうかもしれませんけど…今の話の流れでキスするわけないじゃないですか。オリビアさんじゃあるまいし」


「まあ!ジュン様、私だって相手と時は選びますよ?」


それはつまり場所と場合は選ばないって事ですか、そうですか。


「気を取り直して、再開しますよ。今度は叩かないで下さいよ」


「う、うむ」


今度は成功した。

いや、雑念も入って来てちょっと時間が掛かったが。


「「「おー」」」


「どうです?ジゼルさんですかね、この人」


カタリナさんが思い浮かべた記憶を元にジゼルさんを出してみた。ヴェルリアでは珍しい赤毛で細い体の女性だ。


「そうですな…私の記憶にあるジゼル殿と殆ど同じですな」


「じゃあ念の為、バルトハルトさんも」


バルトハルトさんともカタリナさんと同じようにして精神魔法で繋がる。


「バルトハルトさん…酒臭いです…」


「う…申し訳ない…」


朝っぱらから飲んだな、この人。

いい加減体壊しますよ?


「どうです?」


「私の記憶その物ですな」


「うん。こんな感じだったはずだ」


バルトハルトさんの記憶から再現したジゼルさんは、さっきのカタリナさんの記憶のジゼルさんと、服装以外変わらない。

これでいけるだろうか?


「アイシスとセリアさんはどう?この人はジゼルさんで間違いない?」


「うん。多分」


「僕はちょっと自信ないかな」


「そっか」


どうするか…他にジゼルさんを知っている人物に協力を頼むか?

しかし、あまり沢山の人に知られると作戦が漏れそうだし…


「じゃ、次は僕だね」


「え?」


「えって何。僕もやるんでしょ?」


あー…正直、ベッド上のジゼルさんの記憶は使えないかなと、思ったんだけど…


「じゃあ、やろうか。ジゼルさんを思い浮かべて。強くね」


「うんうん」


「何でそんな楽しそうなの…」


アイシスと額をくっつけて精神を繋げる。

入って来た思考はジゼルさんの姿ではなく…


「(あ、何かいい匂い。ていうかジュンがこんなに近いぃ!きゃー!吐息も感じるし!ちょっと唇を出せばキスしちゃいそう!しちゃう?しちゃおっか!)」


「…」


何だ、この煩悩勇者。

ジゼルさんの事なんか欠片も考えて無いじゃないか。

ここは無言でチョップだ。


「いたぁ!何すんの!」


「あのね、アイシス君。君、ジゼルさんの事、欠片も考えて無かったでしょ。何あの煩悩の全開の思考は」


「え?そ、そんなこと無いもん!」


「ほほー。なら今考えてた事、皆にバラそうか?」


「止めて!ごめんなさい!」


「何を考えてたんだ、アイシス」


「アイシスはスケベ」


「ち、違うもん!スケベなのはジュンだもん!」


「よく言えるね、アイシス…」


少なくともアイシスにスケベ呼ばわりされるのは間違いだ。

ここは一つ…


「しちゃう?しちゃおっか」


「止めて!ごめんなさい!」


全くもう…思春期過ぎるでしょ、この勇者。

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