第162話 再び思わぬ人から新情報
昼食後、何故かダーバ王子一行と勝負する事になった為、練兵場に来ていた。
何事かと城の兵や騎士、使用人達まで見物に来ている。
君達、仕事は大丈夫なんだろうね?
「では確認します。勝負方法は我々六人がそれぞれ勝負内容を提示。だれが相手をするかはそちらが城内にいる人から好きに決めていい。但し、アイシス殿達は除いて。また、一度勝負に参加した人は他の勝負には出れない。で、よろしいですか?」
「いいでしょう」
武術や魔法での勝負なら、勇者であるダーバ王子はともかく、他の従者の人達には早々負けないだろう。
アイや師匠なら勝てるはずだ。
「ではまず、私から。勝負方法は…大食い対決です!」
「はい?」
え、あれ?そういう勝負なの?
「大食い対決です!さぁそちらは誰がやりますか?」
「ちょっと、お待ちを」
勇者ダーバ王子に大食い勝負で勝てる人…居なくない?
「誰か心当たりある?」
「ウチは無い…アイシスは駄目なんでしょ?」
「私も知らない。フィーリアさんは城内に居ないし。ていうかさっき昼食食べたばかりじゃないの?他の皆も」
だよね。
となるとこの勝負は…
「やるじゃない、王子。その勝負方法なら間違いなく勝てるわ」
「ハッハッハッ、そうだろう?しかも腹も膨れて一石二鳥!さぁ、そちらは誰が?」
「不戦敗で結構です」
「そうですか、不戦敗…て、ええ!?不戦敗!?」
「はい。うちには大食い対決に出れるような人材はいませんので」
負けるとわかってるなら、無駄に食材を使う事もない。
下手すれば食糧庫が空になってしまいそうだ。
「まぁ、いいじゃない王子。勝ちは勝ちだし」
「王子の胃袋を満たすまでは許してくれないみたい…」
「ま、まぁいいさ…じゃあ次だ。マルレーネ」
「うん。私の勝負方法は…短距離走よ!この練兵場の端から端まで走って先に着いた方の勝利で!」
「短距離走…となると、ハティ!出番だよ!」
「は~い!」
ハティの足の速さはかなりのモノだ。
ハティなら勝てるだろう。
「ふふん、あたしは強脚の紋章を持ってるのよ!足の速さなら負けないわ!」
「ハティも負けないよ!」
強脚の紋章か。
ボクも以前持ってて、今は韋駄天の紋章になってる。
なるほど、足に自信があるわけだ。
だけど、今回は相手が悪かった。
なにせ…
「じゃ、位置について。よーい、ドン!」
「え!?ちょっと!」
ハティは神獣フェンリルだからなぁ。
スタートと同時に狼の姿に戻って一瞬でゴール。
マルレーネさんは置いてけぼりだ。
「ご主人様、勝ったよー」
「うんうん、偉いぞハティ」
人型に戻って抱き着いてくるハティをあやす。
大きくなったねえ。特に胸が。
「ちょっと!その子は何なんですか!狼になるとか!狼人族に出来るわけないですよね!?」
「ハティは神獣フェンリルなので。あれが本来の姿なんですよ」
「し…神獣フェンリル?なんでそんなのが城内にいるのよ…反則でしょ、あんなの…」
まぁ普通は城内に神獣が暮らしてるなんて思わないよね。
それもフェンリルが家族で住んでるとは。
「とにかく、ハティの勝利ですね。次の勝負は何ですか?」
「くっ…まさか神獣が居るとは…恐るべしエルムバーン…ターニャ、頼んだぞ!」
「う…うん…じゃあ…えっと…き、記憶力勝負で…」
「記憶力勝負?」
「え、えっと…誰かに本を朗読してもらって…それをどれだけ正しく紙に書けるか、とかどうですか…?」
「なるほど…それなら…」
「私の出番ね!」
そう、ユウの出番だろう。
記憶力抜群の天才少女。
しかし、今回に限っては不安だなあ…
「ユウ、一応言っておくけど…」
「分かってるよ。わざと負けたりなんかしないって。大丈夫大丈夫」
……不安だ。
「ユウ。勝負に負けても怒ったりはしない。だけど勝てたら…お兄ちゃんが久しぶりに手作りマフィンを作ってやろう」
「え!」
「ユウの大好きなお兄ちゃんの特製手作りマフィンだ。食べたいだろう?」
「Sir!yes、Sir!」
「何で軍人風?」
まぁやる気になったらしいから良しとしよう。
「ジュン、マフィンなんて作れたの?」
「アイにも何度か御馳走したじゃないか」
「ええ~?あ。あれってジュンの手作りだったんだ」
うん、まぁ前世でね。
転生してからは作ってないけど…何とかなるだろう。
「ジュン様、マフィンなんて作った事あったか?」
「私は知りませんが…一体いつの間に…」
セバストやノエラは知らないだろうね。
前世の話なんだし。
「ところで、何の本にします?お互いが知らない本じゃないとダメですよね?」
「そうですね…こちらの書庫にある本を何か適当に持って来て頂けませんか。出来ればユウ殿が読んだ事の無さそうな本を」
「ええ。セバスト、お願い」
「了解だ」
そしてセバストが持って来た本は…料理本?
実にセバストらしいチョイスだ。
「念の為に聞くけど、ユウはこれを読んだ事は?」
「無いよ。私、料理出来ないし…」
「ですよね」
前世からそうだった。
記憶力抜群何だからやれば出来ると思うんだけどな。
「ターニャさんも、この本はどうですか?」
「はい、読んだ事ない…です…」
なら、これでいいだろう。
それで…誰に読んでもらおうか。
「シャクティ、本の朗読をお願い」
「え?わ、私ですか?」
「うん。シャクティの声は綺麗だし、よく通るからね」
「そ、そうですか?エヘヘ。わかりました!まっかせて下さい!」
よく鼻歌を歌ってるけど、声に出して歌ってもいいのに。
せっかく綺麗な声してるんだから。
「それじゃ、読みますね~。えっと…」
ユウとターニャさんの記憶力勝負が始まった。
1ページを読み終えるごとに同時に書き始め終わったら誤字脱字が無いか調べる。
間違った箇所が多い方が負けとなる。
のだが…
「凄いな、1ページ目は二人共完璧じゃないか」
「という事は次、2ページ目ですね」
そして2ページ目、3ページ目と勝負は続き。
4ページ目でターニャさんがミスをする。
「一字、抜けてた…」
「勝ったよ、お兄ちゃん!」
「よしよし、あとでマフィンは作ってあげるからねー」
流石、天才。
この手の勝負ならユウには敵無しなんじゃなかろうか。
「ぬうう、ブロイド!頼む!」
「…腕相撲で勝負する…」
あ、この勝負も貰ったわ。
「リディア~出番だよ~」
「あ、はい!お任せください!」
「女性?ブロイドに女性が挑むんですか?あそこの大きな男性とかじゃなく?」
「ああ、彼も力持ちですが…彼女には敵いませんので」
ダーバ王子の言う大きな男性とはイグナス君だ。
彼も見た目からしてパワーはありそうだけどリディアには敵わない。
「そう言えばリディアがエルムバーンでパワーだけなら最強かもしれないって話だったね」
「ああ、そう言えばそんな話を…あの子が?とてもそうは見えないが…」
「うん。ムキムキじゃない」
アイシス達にもリディアの話をしたっけな?
まぁしたんだろう。
確かに見た目はリディアは普通の女の子で…とても力自慢には見えないが…
「んじゃ~いい?始めるよ~。レディ~GO!」
アイが合図を出して勝負が始まった瞬間。
ズドン。
と、一瞬で勝負は決まった。
もちろんリディアの勝利だ。
「嘘…あんな細い腕でブロイドを瞬殺…」
「おおおい!ブロイド!どうなってる!?」
「わからない…が、筋が切れて骨折もしてる…」
「「「嘘ぉ!!」」」
それで済んだか…フルパワーだともっと酷い事になってただろうな。
おっと、ブロイドさんに治癒魔法をかけないと。
「ブロイドさん、そのまま動かないで。治癒魔法を掛けます」
「…感謝する…」
そのまま放っておくのは酷だからね。
勝負とはいえ、うちのリディアのやった事だし。
「ジュン様!勝ちましたわ!」
「うんうん。よくやった。リディアにもマフィンを作ってあげるからね」
「はい!」
「ご主人様、あたしは~?」
「ああ、ハティにも作ってあげるね」
「わ~い!」
ハティも勝ったんだから、あげないとね。
「凄いね…勇者の紋章で全力の僕でも勝てるかどうか…」
「何らかの紋章の力だろうが…ジュン殿、あれは一体?」
「あとでリディアに聞いてみて」
紋章の力は秘密にしておきたい人もいるからね。
ボクからは言わないでおこう。
「うううむ…カトリーヌ!確実に勝てる勝負にしてくれよ!」
「え~?そうねぇ…じゃあバストサイズで勝負しましょ」
「「え?」」
バストサイズ?
胸の大きさで勝負って事?
「おおい!カトリーヌ!他に無いのか!?それ確実じゃないだろう!」
「ええ~?だって~。私が他に自信あるのは治癒魔法だけど…さっきのジュン様の治癒魔法みたでしょう?噂通りジュン様は上位治癒魔法が使えるのよ。明らかに私より上だし。他に勝てそうな勝負無いんだものぉ」
「う…分かった…任せた…」
「ええ。あ、勿論女の子と勝負ですよ」
「ああ、はい…」
そりゃあね。
イグナス君の胸囲とか120くらいありそうだしね。
「というわけで…クリステア!リリー!」
「はい」「は、はい!」
「単刀直入に聞くけど…クリステアとリリー。どっちの方が胸、大きい?」
我ながら、なんちゅう質問…日本なら確実にセクハラだろう。
訴えられたら敗訴は確実な気がする。
「えええ…わ、わかんないですぅ」
「特に比べた事も無いので…」
となると…測るしかないか…。
「ルチーナ、頼むよ」
「はい。姉さん、リリー。向こうで測りましょ」
「私はジュン様に測って欲しいのですが」
「バカ言ってないで、行くわよ」
うん、その通り。
女性のバストサイズ測るなんてハードル高すぎ。
「ジュンは城内の女性全員の胸の大きさをある程度把握してるの?」
「突然何を言い出すのかね、アイシス君」
そんなわけあるかい。
「だって、即あの二人に絞ったじゃない」
「う…よく一緒にいる人の中ではあの二人ってだけだよ。他に思いつかなかったし…」
「ふ~ん、へ~」
「何さ」
「べっつに~」
あからさまに不満そうだが…。
「アイシスは自分が選ばれなかったのが不満なだけ」
「なー!」
「「それは無謀が過ぎるだろう」」
勝負にすらならない。
戦う前から負けている。
フランコ君も同意見のようだし。
「ジュン…フランコ…あとで覚えてなよ…」
「そんな理不尽な」
「全くだ」
そうこうしてるうちにクリステア達が帰ってきた。
ルチーナの顔が暗いのが気になる…。
「ルチーナ?どうしたの?」
「いえ…結果はリリーさんの方が大きいです、はい」
「ちょ、ちょっとだけですよ?ちょっとだけリリーの方が大きかったです」
「そっか。じゃあリリーに勝負に出てもらうかな…ルチーナは本当に大丈夫?」
「ご安心ください、ジュン様。ルチーナは私とリリーの胸を見て絶望してるだけです」
「うっさいわね!」
図星なのね…涙まで貯めて。
泣く事ないじゃない。
「あー…えっと…じゃあ…どう勝負するんです?お互いのサイズを公表するんですか?」
「え?あ~…そう言えば私、自分の胸のサイズ覚えてないですねぇ」
「え?じゃあ…カトリーヌさんのサイズも計らないと」
「じゃあ、こうしましょう。そちらの…リリーちゃん?のサイズはマルちゃんに測ってもらって、私のはそちらのルチーナちゃんに測ってもらうという事で」
「あ、あたし?」
「その方が公平でしょ?お願いね、マルちゃん」
「じゃあ…この中でどうぞ」
魔法の袋から馬車を出して練兵場に置く。
さっきも出してここで測ってもらえばよかったかな。
「おお!何ですか、その袋!」
「魔法の袋です。あげませんよ?さ、この中でどうぞ。ルチーナ、悪いけど…」
「はい…」
うん…なんか…ごめんね?
「ジュン殿はそんな便利な物までお持ちなんですね。もしかして例の剣もその中に?」
「ええ、まぁ」
「良ければ見せて頂けませんか」
「…見せるだけですよ?」
【フレイヤ】と【アトロポス】を出してダーバ王子に見せる。
すると、今まで見た事のない真剣な眼を見せる。
「これは…凄い剣ですね…只ならぬ力を感じます」
「わかるんですか?」
「ええ。これでも剣の目利きには自信があります。なるほど、これは譲るわけにはいかないでしょうね」
ふうん?
見せたら余計に欲しがるかと思ったけど。
警戒する必要は無かったかな?
「いや、いい物を見せて貰いました。ありがとうございました」
「いえ。勝利の報酬である予備の剣も見ます?」
「そうですね。お願いします」
「では…これです」
「…これも素晴らしい剣ですが…流石に先ほどの剣に比べると見劣りしますね。ですが確かに勇者の紋章の力に耐える事が出来る剣のようです。これが予備ですか…」
「アダマンタイトとミスリルの合金にオリハルコンを少量混ぜた物で作った剣です。耐久性と切れ味ならかなりの物ですよ」
「なるほど…」
「ジュン、出て来たよ」
計測は終ったようだ。
ルチーナの顔が暗いまま…それどころか更に沈んでるような?
マルレーネさんも同じ顔してる…
「えっと…結果は?」
「はい…リリーさんは98です…」
「カトリーヌさんは99です…」
「という事は…」
「私の勝ちよ、ダバちゃん」
「おお!よくやった!」
ドっと周りで見学してた者達から歓声があがる。
今回一番の歓声だ。主に男性陣からの。
「ごめんなさい、ジュン様…」
「いや、しょうがないよ。リリーは悪くない。リリーにもマフィンは作ってあげるからね」
リリーには何の落ち度も無いからね。
むしろ照れ屋なとこがあるリリーには悪い事したと思ってる。
「よっし!爺さん!わかってるな!…爺さん?」
「ゴードンさんならさっきから寝てるわよ?」
「おおおおい!爺さん!起きろ!出番だぞ!」
「何じゃい、いい気分で寝とったちゅうのに…」
「あとで好きなだけ寝かせてやるから!今は起きろ!出番だってば!」
「しょうがないのう…じゃあ槍じゃ。槍で模擬戦といこうかの」
此処に来てまともな内容の勝負が来たな。
しかし、槍かぁ…
「うちで一番槍が得意なのって?」
「親衛隊で剛槍の紋章持ちが居たよね?」
「ええ。ダービスですね。槍なら親衛隊で一番ですよ」
ここに来て初登場のダービス君か。
ボクの親衛隊の騎士だけど…正直あまり印象に残ってない。
訓練で何度か対戦したというのに。
「じゃあダービス君に頼もう」
「はい。ダービス!ジュン様がお呼びだ!」
「は、はい!」
カイエン隊長に呼ばれて出て来た青年は…何となく見覚えあるんだけど…やっぱりあまり印象にない。
顔を見ても過去にどんな会話をしたのか思い出せない。
「えっと…あの人と槍で模擬戦を頼む。勝ったら何かご褒美をあげるからね」
「はっ!お任せを!」
と、元気よく返事をもらったのはいいが…正直彼では勝てそうにない。
あのゴードンさんは多分、バルトハルトさんと同格。
上位の紋章持ちだろう。
「では…始め!」
審判を買って出てくれたバルトハルトさんが開始の合図を出す。
二人の槍は訓練用の槍だ。
「お?結構いい動きしてる」
「そうね。ウチもあまり印象に残って無かったけど…確かに結構手強い槍使いが居たの思い出した。きっと彼ね」
言われてみれば確かに。そんな気がするな。
そして確かに彼は結構強い。
強いけど…
「ゴードンさんの方が全て上をいってるね」
「そうだね。負けるのも時間の問題…あ、決まった」
開始数分後にダービス君は槍を落とされてしまった。
ゴードンさんの勝利だ。
「よおーし!流石だ、爺さん!」
「ほほほ。槍ならまだまだ負けんわい」
確かに、ゴードンさんの槍の腕はかなりのモノだ。
剛槍の紋章持ちのダービス君を圧倒出来る事から恐らくは…槍聖の紋章持ち。
槍使いの最高峰の実力者だろう。
「申し訳ありません、ジュン様…」
「いや、あれは相手が悪かった。気にしなくていい。次に機会があれば、その時に頑張って」
「はい!次は必ず!」
次の機会にダービス君の事、覚えてられるだろうか。
何故か自信が持てないな…
「ところでダーバ殿。お互い三勝三敗の引き分けのようですけど?」
「え?…ああ!本当だ!引き分けの事考えて無かった!」
「王子…あんたねぇ…」
まぁ、正直ボクも考えて無かった。
さて、どうするか。
「引き分けなら、お互い何にもナシでいいんじゃないですか?ボクは何にも困りませんし」
「いやいやいや!私達が困るんです!もう一回!もうひと勝負と行きましょう!」
「嫌ですよ。そこでまた大食い勝負とか言われたらこちらの負け確定じゃないですか」
「う!読まれてたか…」
「もう諦めよ。冒険者稼業でもして地道に稼いで作るのが一番だと思うわよ?」
「それじゃ時間が掛かりすぎる!ジュン殿!どうか我々にもう一度チャンスを!」
「う~ん…そう言われても…」
必死だなあ。
何かいい落としどころはないかな…
「じゃあさ、お兄ちゃん。ダーバ王子達に何か依頼したら?」
「依頼?」
「そ、依頼。で、依頼の成功報酬に予備の剣をあげるってどう?」
「素晴らしい案です!ぜひ!何でも依頼してください!マルレーネでもターニャでもカトリーヌでも貸します!何なら三人共でも!」
「勝手に決めるな!」
「私…色気無いし…」
「その場合は誰が責任とってくれるのかしら?」
「いや、そもそもそんな依頼しないし、それは依頼とは言わないでしょう…」
どうしてそういう話にばかりなるのか…過去にそういった事した覚えもないぞ。
全く…。
さて…依頼か。
「じゃあ一つ依頼しましょう。我々は今、神獣白猿を探しています。神獣白猿の居所を探してください。それを見つける事が出来たら報酬として剣を差し上げましょう」
あのマッドサイエンティストの爺を捜し出すのを依頼するかとも思ったけど、彼らだけでは危険かもしれないし、これはヤーマン王国にも情報が行ってる筈だ。
あえて彼らに頼む必要も無いだろう。
「神獣白猿?ですか?」
「はい。ああ、我が国にいる白猿は除きます。別の場所にいる白猿を探してるんです」
「知ってますよ?」
「「「え」」」
知ってる?
知ってるって言ったか?今。
「神獣白猿なら我が国ヤーマンの山に居ますが…」
「えええ?ヤーマン王国に?」
「はい。私も一度会った事があります。穏やかな神獣ですので。ヤーマン王国では山の守り神として有名です」
有名…ヤーマン王国の国民なら皆知ってるって事か?
「セバスト。ヤーマン王国での情報収集は?」
「いや…ヤーマン王国の情報は挙がってない。恐らく調べてない…」
なんてこったい。
まさかこんな形で…
「えっと…もしかして依頼達成?ですか?」
「…そのようですね…案内をお願いします」
「はい!やった!やったぞぉ!待っててくれ、オリビア!」
「え?もしかして国に帰れる?帰れるの?」
「そうみたいねぇ。思ってたよりも早く帰れるわねぇ」
「私は別に…どっちでも…」
「…」
「ほほほ。長旅は老骨には堪えるからの。助かるわい」
こうして、ボクの予備の剣はダーバ王子達の手に渡る事になり、ボク達は神獣白猿の居所を掴む事が出来た。
今度はヤーマン王国まで行かないとダメなのか。
ちょっと遠そうだなあ。




