第0話 運命の日記
『「これ食べる?」
まっすぐ自分に伸ばされた手には、この世界では珍しい赤い赤い、真紅の林檎
「いらねぇ。」
伸ばされた青年はにらみ返した。目では相手の青年に殺意を向けているが、自分の腹は三日も食べていない。
腹ぺこで今にも死にそうだ。
それでも手に取らないのは、きっとこいつもいつもの奴らと同じだと思っていたから。
美しい白色の剣には、金の細かな装飾が施されている。
相手の黒髪は艶やかに輝いていて、とても優美に見えた。
どこから見てもお金持ちのお偉い様の坊ちゃんだ。
(こうゆう奴は目の前に欲しがりそうな物を出して、手が届きそうって時に地面に落として踏みつける。いつものパターンだ)
その予想とは反対に、豪華な青年は
「ほら、食べろよ。毒なんて入ってやしねぇぞ。」
睨んでいる、腹を空かせた青年の口に林檎を当てた。
林檎を口に当てられたので、ちょっと顔色をのぞいてみる。
「?」
小首をかしげているその姿には裏があるようには見えなかった。
いや、腹が空きすぎてそう見えたのかもしれない。
シャクッ
歯切れの良い音に、みずみずしい真紅の林檎。
甘くて、いつも盗んで食べるようなものとは全然違っていた。
自分が生きていた中で一番おいしいと感じた。
甘いはずなのに少ししょっぱいのは、きっと涙のせいだろう。
涙は人前では決して流さないと決めていた、はず・・・今思い出しても恥ずかしいな(汗)
そのとき、涙など気にせず話しかけてきたんだったな、
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「 」
反射的に答えてしまった。慌てて上を見上げると目を細めて優しく微笑んでいる青年。
「そうか、 と言うのか。行くところがないのなら俺と共に来い!俺の名は『 』俺について来い!共に世界を救おう!!」
大胆な発言に目を見開く自分をよそに、
「仲間はあと何人いれば良いのかなぁ・・・?」
と言っている。
手を伸ばしてくれて何年もたつ、この日記は誰が読むのだろうか・・・。
手をどんなときでも伸ばして言ってくれたな、
「あぁ、 、お前の髪は綺麗色をしているな」
あの目は今でも鮮明に覚えている。生涯忘れることはないだろう、
太陽の輝きをそのまま目に映し込んだかのような、美しい黄金に輝いたあの瞳を_____』
以上『太陽の青年と月の青年』の第1ページ目より
ちょっと長くてつまらないような内容になってしまいましたが、大丈夫!次の話数からは盛り上げていきますので見捨てないでくださいませ!!
ちょっとこの日記は後々使う予定なので・・・。