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短編集 星新一風

悪友

作者: 燈夜

つたない文章ですが宜しくお願いします。出来れば後学の為に至らぬ点をご指摘ください。

 昔々、あるところに大きな川がありました。その川には河童が住んでおり、時折魚を取っては酒を飲みつつ日々を暮らしておりました。

 ある、夏の日の事です。河童が魚を取っておりますと、なんとたくさんの魚が白い腹を見せては流れて来るではありませんか。

 河童はすぐに上流に向かいました。

 するとどうでしょう。近隣の人里でも有名な天邪鬼が毒を川に流しては白い腹を見せる魚を見て喜んでいたのです。

「こりゃ、天邪鬼。なんて事をしてくれるんだ!」

「何てことも何も、おいらはこうして遊んでいるのさ。ケケケ」

 河童は困りました。何せ相手は天邪鬼です。並大抵の事では河童の言う事を聞いてはくれないでしょう。河童は首をひねります。ぐりぐりと捻ります。捻り過ぎて、首が一回転も二回転もするところでした。

「やい河童、お前もぷかーっとなってしまえ」

 天邪鬼はあくまでもどこまでも意地悪でした。

 河童は水面を見つめます。白い腹。浮かぶ魚……そうだ!

「おお! 天邪鬼。これはありがたい。魚を取るのを手伝ってくれているのだな?」

 河童の変わりように天邪鬼は慌てます。

「そ、そんなことはあるもんか。だれがお前の手伝いなんか!」

 天邪鬼はそれっきり。毒の入った瓶を放りだすと、近くの茂みにがさごそと消えてゆきました。

「しめしめ。天邪鬼の奴。……これで上手くいった」


 ◇


 ある、秋の日のことです。河童が魚を取っておりますと、天邪鬼がやってきて石を近くに投げ入れるのです。これでは魚が逃げていってしまいます。

「こりゃ、天邪鬼。なんて事をしてくれるんだ!」

「何てことも何も、おいらはこうして遊んでいるのさ。ケケケ」

 河童は困りました。悪戯者の天邪鬼には本当に困ったものです。河童は腕を組みます。あまり考えすぎたからでしょう。片方の腕を引っ張りすぎて左右の腕の長さが変わってしまった頃に河童は腕を組むのを止めました。

「やい河童。今度はお前に当ててやる!」

 天邪鬼は河童めがけて石を投げて来ます。悪戯では済まされない勢いです。

 そんな時、河童は頭の皿で石を受け止めました。石が、皿の縁に引っかかり大きく曲がってぽしゃりと水面に落ちました。

「ん? これは使えるぞ?」

 石が水面に落ちるのと同時に、河童に良い考えが閃きました。

「何を寝言を言ってやがる」

「天邪鬼、お前の石投げはたいしたことないな。そんなへなちょこ投げでは痛くもなんともないぞ?」

「なんだとぅ!?」

 天邪鬼は怒ります。実に単純でした。

「天邪鬼の下手くそ!」

 河童はさらに煽ります。

「やい河童。これでも食らえ!」

 ただでさえ沸点の低い天邪鬼の事です。顔を真っ赤にして怒っていました。そして天邪鬼はまたも川原の石を河童に投げつけて来たのです。それはもう、この世の全ての怒りを集めたかのような、ものすごい勢いでした。

 するとどうでしょう。

 なんと、河童は頭の皿でわざと石を受けました。そして、その石も皿の縁で上手に滑らせ、見事に天邪鬼の方向へ投げ返したのです。河童に馬鹿にされたからでしょう。勢い良く投げられた天邪鬼の石は、そのままの速さで天邪鬼自身に向かいます。

「あぎゃ!?」

 哀れ、天邪鬼の顔面に石は当たってしまいました。

「何をしているんだ天邪鬼? どこか痛いのか?」

 河童は何食わぬ顔で言いました。

「これで勝ったと思うなよ!? うわぁあああああああん!!」

 天邪鬼はそれっきり。怒りとは別の意味で赤くなった顔を抑えながら、近くの茂みにがさごそと消えてゆくのでした。


 ◇


 ある、冬の日の事です。河童が(ry

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― 新着の感想 ―
[一言]  葵枝燕と申します。  『悪友』、拝読しました。  河童の方がいくらか上手でしたね。やり込められて泣きながら逃げていく天邪鬼、ちょっとかわいいなと思いました。  さて、冬は一体どんなイタズラ…
[良い点] 天邪鬼と河童のやりとりが面白いですよね。 河童の知恵に、ひっかかった天邪鬼は、恥ずかしかったのでしょうね(//∇//) 情景が思い浮かべることができ、読んでて楽しかったです(*^^*)
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