第1話 汗掻いてくっせえのはそれ汗のせいじゃねえから責めんなよ
2080年、オリンピックで皆騒ぐ日に限って、陰気な奴もついつい見てしまう、そんな時代も過ぎ去ったのだ。陰気な奴はただの陰気な奴に変わってしまった。のほほんとしている陰気な奴共。そんな彼らの時代を支える匠は一切居なくなったのだ。
これはその時の若者に『才能がない』ということなんだろう。そう思った方、甘い。甘いにも程がある。これは、その様な環境を整えてないだけではなく、教師等の専門分野の伝授の仕方がまるっきりなってないという事もある。
あとそう、陰気な奴が居るもんだからその中で結構不審者とかいるので、気をつけなければならない。男性も、女性も。
そう説明している内に、物語は始まっている。子供がランドセルを背負い、家に向かって下校している。その本気の顔からして、何かアニメとかを見たがっている様な感じだ。そんな生き生きとした陽気な姿を敢えて止めたくなる人々が居るのだ。
「…おい!!てめぇっ!!」
何もしてないその子供に、小太りの男が威嚇してきたのだ。丁度その頃、美味しそうな匂いがしてきたのだ。
「あ、チャーハンのにおいだ!!」
子供は、走りながら小太りの男を無視して家へと急ぐのだった。一応、この子も男だ。
「クソガキこら、何無視しとんのじゃ」
後ろからフードを手で掴み、こっちに引き寄せる。
「何なの?何もしてないけど…」
「何もしてないじゃねぇよ…しただろてめぇ、俺の、俺のシャツを…よくも汚してくれたな!!!」
そこら辺に水溜りらしきものはない。身体も汚れてないし、男の子には汚れているところはほぼない。何かの間違いかと思うが、彼は男の子がやったと言う。
「…おじさんは、君の様なお子ちゃまが嫌いなんだよ…やっちゃいけないことをついついやってしまうような子をよぉ…」
男の子は顔を横に振って、涙を出しかけた。
「違うもん!!ぶつかっていないし、」
「問答無用」
首を掴み、地面から離す。
「か、カハッ」
「泣かないと分からない子は大嫌いだね」
殴られる。
男の子は自身の身体が落下している感覚を察した。何が起きたのか、瞑った目を開けてみると、もう1人の男が目の前を立っていた。
「大丈夫か?」
男の子は頷く。
「そう。わかった」
「…おい…」
小太りの男は突然現れた男に言う。
「ふざけんなよ…俺に思いっきり平手打ちしやがってよ…許さねぶ」
「いい加減認めなさい!!!」
三度往復ビンタをかました。突然現れて出しゃばってきて、そりゃわけ分からん。何故自分が打たれなければならないのか、赤の他人に打たれる屈辱を今此処で味わったのだ。
「全く、おかげでチャーハン溢しちったじゃねぇか」
「…あ、ありがとうございます!!」
「あ、うん。どういたしまして、坊やが悪いわけではないからたまたま」
「チャーハン…」
「違うよ。どう考えてもあっちの方が悪かったからお仕置きしといただけ。礼を言う必要も無かったし」
「おじさん…」
「あ、そうだ」
何か思いついたらしい。
「サウナとかで汗を掻いて悪い物質を出すのに科学的根拠は無いらしいよ(Wikipedia調)」
「そんでもって、
「え…」
「じゃね」
男の子に別れを告げた。
おじさん(さっき小太りのおじさんをビンタした方)が家に帰ったときに、SNSのアプリを開いた。そして、『嵐住大学3年』という共通アカウントのトーク画面をじっくり見る…
<明日は何時だっけ。)
<確か13時頃じゃね?)
(違ぇよ。>
(普通に15時だろ >
<マジ?)
<嘘乙www )
|13:50からだろwww)
<ウォォォォォォォォ)
|ォォォォォォォォォ)
|ォォォォォォォォォ)
|ォォォォォォォォw )
(ばれたかwww>
<解せぬ)
(落ちつけぇ!!!>
(((((;゜Д゜))))))) |
(今日、そこら辺のガキを >
(助けたしぃ… |
<流石うんちクン☆)
( うんち言うな >
< さっき汗まみれの爺さん|
|見かけたんだけどwww |
そしてトークは暫く続いた。