プロローグ、強さを求めず
「ん……今、何時だっけ…?」
やけに辺りが眩しいから眠りから覚めた。
ふと、手探りでスマホを探すが見つからない。
ベッドから落ちたかと思ったがそれにしては布団の感触が無く、普段寝る時の格好にしては服を着ている感触が身体を動かした際に伝わってきた。
おかしい…いくら酔っていても服を着たまま寝るなんて事は無かった…Tシャツとトランクスじゃなきゃ安眠できないからである。
それにしては暖かい…
「どこで寝たんだ……ってここ何処だよ!?」
目を開けると一面真っ白…そりゃあもう絵の具の白をぶちまけ無いとできないくらい白一面…
なぜこんな所に…ダメだ頭が追い付かない、遅刻でもこんなに混乱しないのに…
「君は…日外 遼であってるよね?」
声がする方を見ると一人の老人が居た。
白髪、白髭が長い昔のローマ人が着そうな白い衣服を身に纏って佇んでいた。
「拉致か?…生憎だが、裕福な家庭じゃ在るまいし身代金なんざ請求しても来ねーぞ…」
内心焦って居たが、数少ない此処から脱出する糸口を手放す訳にも行かず、返答する他ない…
「まさか…誘拐じゃないさ。君には頼みたい事があってね。」
「人の睡眠中に訳のわからない所に連れて来られて疑わないのは小学生低学年までだ。」
「まぁ、無理もないか…簡潔に説明すると地球とは違う異世界を救ってほしい。」
「はぁ?」