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隕石と共に異世界へ  作者: 神結衣
隕石と共に異世界へ 第1章
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第7話「宇宙から異世界へ」

「……はっ!?一瞬意識が飛んでた!?」


青葉が目を開けると、今だ空を飛んでいた。否、落ちていた。意識が飛んでいた時間は、三秒程だろうか。地上まで、あと僅かと言った所だろう。今にして思えば、リンに貰った『究極防御璧』のお陰で、怪我は間逃れないまでも、死ぬ確率は下がっている筈だ。少しは、生存への希望が持てる。


その事を思い立った青葉が取った選択は……


「地面に当たる瞬間に、全力全開で、受身をとる!!」


だった。


「大丈夫!!受身なら中学生の時に柔道の授業で習った!!やり方は覚えてる!!……いける!!」


考えても見て欲しい……青葉は現在若返っているとはいえ、元々の年齢は23歳。中学生の時というと、およそ10年は前の事である。だが、四の五の言っていられないこの状況下で、青葉は何処までもポジティブだった。というか、ポジティブ精神で行かなければ、やってられない気分だった。


地上まで、あと10メートル……7……6……3……2……


あと、1メートル……と、その時、青葉の真横で凄まじいエネルギーが迸った


それは青葉の予期せぬ事であり、青葉は完全に不意を突かれた。避けることなど……否、空中なので避けることなど出来ず、避ける時間も無かったのだが……


その力は、青葉の身体が地面に当たる数センチ程度のところで、彼の身体を真横に吹き飛ばした。


青葉の身体は落下していた運動エネルギーを全て消費して、吹き飛んでいく。落ちてきた場所は運良く街中などではなく、何処かの森の中だったのだろう。途中、草や木も巻き込み、ながら突き進み、やがて先にあった大きな湖まで行き着き、数回水上をバウンドすると、落下エネルギーを全て消費したのか「ポチャンッ」という音とともに、青葉は水面へと沈んで行った……




以下は、青葉と別れた後のリンの視点である



「あ〜あ、やっぱり防御壁は持たなかったか〜

何回計算しても、青葉君の生存を諦めないと、隕石の完全破壊は出来なかったからな〜」


リンは青葉の言った通りに、隕石を破壊するための力が足りず、青葉を見放す様な選択肢を取らざるを得ない事を、事前に分かっていた。


しかしリンは、1つの世界を救うだったとしても、自分がわざわざ数ある転生者候補から選んだ青葉を、再び死へと追いやるのは、本意では無かった。そのためリンは、青葉には望まれていなくても、多少チートとも言える力を与えたのだ。


青葉は気づいては居なかったが、大気圏に突入した時点で、青葉の身体はリンが何もしなければ燃え尽きていた。それは空気摩擦という現象であるが、身体に纏った防御璧のお陰で青葉は足の先から髪の毛一本に至るまで、燃えることはなく、無傷のままだった。しかし……


「やっぱり、落ちる高度が高すぎたね。あれでは、いくら究極防御璧があったところで、さすがに耐えきれなかったし死は間逃れない。死なないとしても、瀕死の重症を受けていただろう」


青葉にはほとんど生存の可能性は無かった。空中浮遊の力を授けることも、できなくは無かったが、言うのは簡単だが、制御には、訓練や強い精神力が必要だ。

その他にも『転移』という能力があるが、使う為には多次元的な空間把握を必要とした。どれもぶっつけ本番で試すには、リスクが大きすぎる。ならばと、最終的に授けたのが、青葉の体を自動的に守る『究極防御璧アルティメットシールド』であった。


「しかし、びっくりしたね。まさか……青葉くんが無傷で、生き残るなんて。」


リンは青葉と離れた後も、元の空間に戻り、青葉を見守っていたが、生き残る可能性が限りなく低い状態で生き残ったことを驚いていた。そしてリンの興味は青葉が地面に叩きつけられる寸前に、青葉を真横に吹き飛ばしたエネルギー……その出処へと移る。



「まさか、『隕石』が彼を助けるなんて……」



そう、青葉を吹き飛ばしたエネルギーは巨大隕石……その核になっていた、1つの鉱石だった。リンが把握、解析したときには、内蔵エネルギーは、膨大なものの、隕石を破壊したときに、放置したとしても既に問題が無いほどまで、鉱石の持つ力は削られていたはずだった。



「途方も無いエネルギーを秘めていたとは、思ったけど、まさか意思まであった、なんていうのは、予想外としか言いようがない」



その鉱石は、自らを青葉を生かそうとした。やり方は少々荒っぽかったが、青葉を助けたのは事実である。でなければ、あんなにタイミング良く青葉を吹き飛ばす事など、出来なかったであろう。今は力を使い果たしたのか、沈黙し、青葉とともに、湖の底に沈んでいる


「だが、青葉君の事を助けてくれた事には、感謝をするべきだろうね。」



そしてリンは静かに決意する。



「うん。これは鉱石へのお礼。そして、青葉君への最後の手助けだ。」



リンは、何も無く、誰も居ない白い空間で、両手を空に仰ぐように広げると、叫んだ



「『アクトヤルカ』の神よ!約束は果たした!だが、最後に一つ、約束への報酬として、我の願いを聞いていただきたい!!なに、貴女の世界としても、悪くは無い話のはずだ!その我の願いとは…………だ!!」


リンが言い終わった瞬間。僅かに空間が揺らいだように見えた。そして……


願いは……聞き届けられた……

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