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隕石と共に異世界へ  作者: 神結衣
隕石と共に異世界へ 第1章
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第6話「巨大隕石破壊」

唐突に、ようこそ新しい世界へ、などと言われても、目の前に広がるのは真っ暗な空間のみで、特に何も見当たらないのだが……



強いて言うなら、はるか遠くに赤く輝く星?が見えるくらいだ。



『あれ?ちょっと座標がズレちゃったか……急いで転送させたから、空間把握に齟齬が生じたみたいだ』



いきなり頭の中からリンの声が響く。気が付かなかったが、リンは青葉の前から、忽然と姿を消していた。



『あぁごめんね、驚いた?僕はこっちの世界……というか次元?では存在出来ないから、すでに君の身体に取り付かせて貰ったよ』



取り付かせて、という言い方が寄生されているようで、多少嫌ではあったが、取り敢えずは気にしないことにした。



「なあ、その『アクトヤルカ』って世界は何処にあるんだ?何も見当たらないんだけど。それに、ここは何処だ?」


『ここは『アクトヤルカ』から約1光年離れた宇宙だね。ちなみに、赤く光っているのが、君達の世界でいう太陽さ。』


「は?宇宙!?何でそんな場所に!?だけど俺、息できるぞ?」


『そこはほら、神様の不思議な力で呼吸出来るようにしてるとでも思っておいてね。あと、元々君は宇宙に送るつもりだったから。隕石を壊すって言うのに、『アクトヤルカ』の地上に送ってどうするのさ』



神様の不思議な力とやらにはもう、突っ込まないことにした。隕石を壊すために、宇宙に送るというのは、言われてみれば納得できない話しでもなかった。



「じゃあ、今からもう一度ここから転移して、『アクトヤルカ』……の周辺の宇宙に行くんだな?座標がずれたって言ってたし」


『そういうこと。というわけで、善は急げって言うし……』パチンッ



リンが先程と同じ様に、指を鳴らした



『今度こそ、ようこそ『アクトヤルカ』へ』



また青葉の視界が急変した。



急に移動するな、と言いたかったが、目の前に現れた星の姿を見て、その言葉は喉の奥へと消えていった。


その星は地球と同じく球体であった。姿を色どるは美しい青。これが海なのだろう。また、大部分を占める青の所々に、茶色や、白、黒、赤という、様々な色が混じっており、だがしかし、汚いわけではなく、それぞれの色が調和しているように見える。



宇宙から見下ろす、その星はまるで大きなビー玉のようで、とても……綺麗だった。



青葉は少しの間、見とれてしまった。写真やテレビで地球の姿を見たことはあったが、それらで見るものとは、別格の感動がそこにはあった。


「これは……凄いな……俺のいた地球に似ているように思えるけど、地形は全然違う……」



『それはそうだよ。地球じゃないんだから。ちなみに、地球に似ているって言ったのは、この星が青いからだろう?他の異世界とかだと、海がなかったり、空が赤かったり、生物はおらず、機械だけっていう世界も存在するね。今回の星が、地球に近い環境だったのは、偶然だったから、その点については、運がよかったね』


『それはそうと、後ろを振り向いてごらん?』


リンにそう言われ、何の気もなしに振り向いてみる。そこには壁があった。いや、壁でなく岩だ。青葉の視界をすべて埋めてしまうくらいの大岩がそこには存在していた。


『あれが、この星に直撃する予定の隕石さ。なかなかちょうどいいタイミングでこれたと思わない?』



さらっと言われた言葉を、青葉の脳が理解するのには多少時間がかかった。単純に目の前の現実を受け入れたくなかったからである。それもそのはずである。事前に自分の行く世界よりも大きな隕石というのは聞いていたが、百聞は一見に如かずというのだろう。あまりにも……大きすぎた。



「え……あれをどうにかすんの?」



『もっちろん。まぁ、不安になる気持ちもわかるけどね。ここは僕の力を信じて、身を任せてもらっていいかい?事前にいったように、君の体を少々貸してもらいたい。』


「わかった。くれぐれも体に怪我はさせるなよ……痛いのは俺なんだから……」



青葉は即答した。ここまで来て、断るという選択肢は存在していなかった。



そこからの展開は早かった。青葉の体を借りたリンは、危なげもなく隕石上に降り立つと、右手を拳の形にして、隕石に思いっきり突き刺した。そして、次に左手も同じように、右手のすぐ横に突き刺した。この時点までは隕石には小さな傷をつけただけのように見えた。



「力の放出…浸透………座標および規模の把握……完了……さらに、固定して……侵食……」



だがリンはそのまま目を閉じ、何か言葉を紡いでいる。リンの周りでは、色とりどりの粒子が舞い始め、それはリンが紡ぐ言葉に従っているように隕石全体を覆い始める。そして、粒子が隕石を覆いつくし終わるころになって、リンは目を開けた。



「ふぅ……青葉くん、聞こえるかい?」


『あぁ、聞こえるけど、終わったのか?』


「終わったといえば、終わったし、終わってないといえば、終わってない感じだね」


『は?どういうことだ?』


「僕は、この隕石を一つの存在として、転生…この場合は転化かな?……をさせようとしてるんだ。そのための隕石事態の存在の把握は終わった。

調べてから分かったけど、この隕石の核は、突然変異的に生まれた鉱物だったんだけど、なんとそれは太陽に匹敵するくらいのエネルギーを凝縮したような石だったんだ。それが、宇宙空間内で、鉱石を引き寄せる磁場を発する鉱物と結合して超強力な磁石のようになっていた。

おかげで、宇宙空間内を漂う岩や塵……時には星まで飲み込んでここまで大きくなってたんだよ。それを、あとは小さくするなり、他の空間に飛ばすなりすれば、終わりだったんだけど、問題が生じた。」


『……問題?』


「予想異様に、大きすぎて、僕の神としての、エネルギーが足りないのさ」


『大問題じゃないか!?』


「まぁ、エネルギーが足りないって言っても、大部分はどうにかなるんだ。でも、中心になっている石から半径500メートルほどが操作できなかった。これは中心になっている石の力が想像以上に強すぎたせいだね。」


『どうするんだよそれ……半径500メートルなら大気圏でいくらか燃えるとしても、結構なクレーターになるだろ!?』


「だから、こうするのさっ!」



ドバアァァァン!!!



リンは、その言葉を言うや否や、巨大な隕石のほとんどを消し飛ばした。後に残るのは、隕石を覆っていた粒子の残滓と、細かい塵や、石、そして、いくらかに分断された元『半径500メートルほどの隕石』だった。


「このくらいの大きさなら、地上には、あまり被害は行かないはずさ」


『さっき。半径500メートルは無理だって言ってなかったか?十分破壊できてんじゃん』


「うん。何とかね。君を地上まで転移させる分の力を残すのを止めて、全力全開で、全ての力を使って、破壊してみた。」



今、さらっと何か不吉な言葉が聞こえた気がした



『え、ちょっと待て、隕石の破壊に成功したのはいいとして、俺はこれからどうすればいいんだ!?』


身体が星に引っ張られ始めている。このままだと、青葉自身が地上にストライクしてしまう。アオバストライクである。


「そこは、素直にごめんね?あ、けど君に与えた能力を思い出してみてよ。究極防御璧ってあったじゃん?だから……地上に、ストライクしても死なない……(ハズ)さ」



「あの能力は、このためかぁ!? てか、お前いま小さな声でハズって、言ったよな!?あと、その能力を渡す時の慌てようから考えるに、おまえ、こうなる事を想定していたんだな!?

あぁ!?しかも身体の主導権が俺いつの間にか戻ってるし!!」


『ごめん、もう限界……』


「諦めるなw

あっ、ちょっ、何かメッチャひっぱられてるんだけど!?

落ちる……落ちるwwwwwww」


『ごめんね?青葉君、君が異世界で楽しく、そして幸せに暮らせることを祈ってる。』


「今度あったら、絶対にぶん殴る!これで死んだら怨むからなwwww」

『そうだね!君が死んだら、また会おう!!』



こうして青葉は、大気圏から突入するという荒業で、異世界『アクトヤルカ』への入場を果たしたのであった。





そして、話は冒頭に戻る

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