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隕石と共に異世界へ  作者: 神結衣
隕石と共に異世界へ 第1章
14/15

これからのこと、馬車の旅の終わり

青葉の受難。ステラの正体。朱漓ちゃんは……残念ながら影が薄くなってます

「話は分かった。で、俺たちを結局どうするんだ?隕石を壊したのは確かに俺だけど、それはリン……ステラが言う神様が俺の体を使って成し遂げたのであって、俺は何もしていないし、何もできないぞ?」



いま青葉に残っているのは、傍らでじっと話を聞いている朱璃と、リンにもらった正直微妙な能力だけだ。異世界では自由にしてもいいといわれていたし、ステラに適当なところで馬車からおろしてもらって、自由に旅でもしようかと思っていた。


「私は貴方達に何かを望むつもりもないわ。でも、これからどうするのかは知らないけど、とりあえず一度私の国まで来なさい。何もわからないままに生きていけるほど、この世界は優しくはないわよ?」


それから……と言い、ステラは話を続けた。


「貴方達は狙われてるわ」

「は?どういう事だよ?」

「あ、安心して?命を狙われてるわけじゃないわ?なんと言うか、貞操?もしくは子種?とか」

「安心できるかぁ!?俺、今日この世界に来たばっかりだぞ?知ってる奴なんて……」


あれ?そう言えば、ステラは俺達を……というか、俺の事を最初から知ってたんだよな……んで、ステラは『大精霊の巫女』と呼ばれる存在で、彼女達は話を聞く限りで複数人いる……つまり、俺を狙ってるやつって言うのは……!?



「その顔からして、思い当たったようね?そう。貴方を狙ってるの私達『大精霊の巫女』……の一部の奴等ね。因みに私は敵じゃないわよ?むしろ真っ先に駆けつけて助けてあげたんだから。

 私の国から近かったのもあるけど、あのまま2、3日森でいたら、すぐに捕まっていたわよ?

 それとも、捕まっていた方が幸せだったかしら?貴方の子種を得るために、女の子達の相手を永遠とさせられる、なんて男としては嬉しい限りなんじゃない?」



話を聞き、女性に縁の無かった青葉は、それも悪くないかも、などと考えてしまったのも束の間、頭をふり、その考えを打ち消した



「じょ……冗談じゃない!俺は自由に生きたいんだよ!何かに縛られる何て真っ平ごめんだ!」

「その言葉が聞けてよかったわ。じゃあ、とりあえず目的地は『クルファナ王国』で決まりね」

「そうだな……ところで、聞きたかったんだけど、ステラって結局『クルファナ王国』で何をやってるんだ?まぁ、騎士が《姫》とか言ってたし、この馬車だって王族専用のやつなんだから、大体想像はつくけど……」



この質問は、これから世話になるステラのことをよく知っておく必要があると、思ったからである。予想はしていても、やはり本人の口から聞きたかった。



「そこまでバレてるんだし、別に隠す気もないんだけど……」



ステラはじっと青葉の顔を見てくる。何故か逸らしてはいけない気がして、青葉もステラをじっと見返した。改めてステラを見ると、やはり美人だと思う。染みひとつない肌は白く、けれども健康的な艶がある。目は翡翠の色で、つり目気味だが、力強さと仄かな優しさを感じさせる。薄くルージュでも塗っているのだろう、薄紅色に潤っている唇は、触れたら柔らかそうで……ここまで考えたとき、彼女は結んだままの唇にかすかな笑みを浮かべた。



「ちょっと、見すぎよ?」

「っ!?ごめん!!」



彼女は頬を少し赤くさせながら、ジトっとした目で青葉を見つめてくる。怒っている訳ではなさそうだ。青葉も頬を赤くさせながら、ステラから目をそらした。そして、逸らした先には朱漓の瞳があって、いつから見ていたのだろうかと、青葉は少し恥ずかしくなった。


「ねえ、青葉君?君は異世界人だけど、精霊とかは知ってたわよね?なら、どういう存在かわかる?」

「え……?俺は、精霊ってのは何処にでも居るけど、何処にも居ない、みたいな存在って思ってるな。後は、感覚や考え方も人とは違うって事くらいか」



精霊というのは、土地や国によって様々な解釈がある。神に近いものとされていたり、ただ宙に浮かんでいて、さまよっているものだったりと、コレと言えるものは無かったはずだ



「うん。大体それであってるよ?じゃあ精霊を宿していてる私の感覚でさっきの青葉君の表情から、ナニを読みとったと思う?」

「っ!?」



それって……まさか……!?



「青葉君のエッチ……」



ステラはまるで、恥じらう乙女の様に、そう言った。



「誤解だwwww」



青葉は顔を真っ赤にし、この場から逃げたくなったが、残念ながらここは動いている馬車のなかである。逃げたくても、逃げれなかった……



暫くして、青葉の反応に満足したのか、表情を恥じらう乙女から一変させて、ニヤニヤと笑っていたステラは「私の事を教えてあげるわ」と話を戻した。



「一応一部の人しか知らないんだけどね。私は『クルファナ王国』の第三皇女であり、《大精霊の巫女》ステラ=F≪ファト≫=スヴィア=フォン=アルジェント。本名は長くて好きじゃないの。だから、私だけを表す名前のステラ=F≪ファト≫=アルジェントって名乗ってるの。」

「やっぱり姫様だったんだな……」

「えぇ。でも、私は第三皇女なんて立場に興味はないわ。でも周囲はそんなことを許してはくれない。どうせ将来はどっかの国の王子か、国に影響力のある貴族と結婚させられるんだもの。今はワガママ姫って言われるくらい好き勝手させてもらっているわ。」

「何処の世界にもあるんだな……政略結婚って……ステラはそれでいいのか?」



ステラはその言葉に、一瞬顔を歪ませるが、直ぐに口許を緩ませると、「これに関しては諦めているもの」と笑った



(無理してるのが、バレバレじゃねーか) 



青葉はステラの笑みから、彼女の本心が政略結婚などしたくないことを読み取っていたが出会ったばかりの自分が口を挟むなど筋違いだと思い、何も言うことが出来きず、さらに不可抗力といえども、彼女立場を再確認させてしまったことを悔いた。



沈黙が馬車の中を支配しているなか、馬車はすでに森を抜けており、その先にあった峠を越えようとしていた。峠を越えると、すぐに

『クルファナ王国』の城下町が見えてくる。馬車の旅は終わりを迎えようとしていた。

ステラさんは、絶対に青葉に助けさせます!!


愛しているキャラクターをどこぞのアホにくれてやる気はありません!!

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