詳しい事情を聞きます
やっと投稿出来ました。
年末年始の忙しさはそろそろ過ぎようとしているようです
「さて、そろそろ話してもらおうか?」
「んん?ちょっと待ってもらえる?」
シャリ シャリ ゴクン
「ふう……ごめんなさいね。彼女が食べているところを見ていたら、お腹が空いちゃったの。で?何の話かしら?私のスリーサイズでも知りたいの?」
ステラは先程から、朱璃の横に置かれている食べ物の山から、手頃な果物を取って、食事をしていた。
「分かって言ってるだろ?お前が…「ステラ。若しくはステラ様で。」……ステラが俺が異世界からの転生者だって知っていた理由が知りたい」
「それは教えてあげるつもりだったから、話すけど他にもっと無いの?こんな美少女と話すなんてなかなかできないわよ?」
「自分で美少女とか……どれだけ自信家なんだよ……」
(いかん……相手をするのが疲れてきた)
話がなかなか進まず、青葉が疲れを見せ始めたその時、隣にいた朱璃が食事を終え、青葉の服の裾をクイクイっと引っ張て来た。
「どうした?」
「……ステラ……精霊がついてる……」
「は?精霊……?」
ステラは朱璃の言葉を聞き、「ふぅ~やれやれネタバレするのが早すぎるわよ」と少しつまらなそうな顔を
するが、一度目を閉じ、再び開けた時には目つきも表情も真剣なものになっていた。空気が変わったことを感じ取った青葉も思わず姿勢を正した。
「あまりじらしすぎても話が進まないし、貴方の知りたがっていたことを教えてあげるわ。とは言っても、『精霊がついてる』という言葉がほとんど正解ではあるんだけど、補足する意味も含めて、私や、ヴァンがあそこにいた理由も説明してあげる。」
「少し長くなるわよ?」と言い、ステラは話し出した。
「まず、この世界には、この世界を作った、俗にいう『神様』が存在するわ。でも神っていうのは基本的には見守るだけ。だから、神は世界に直接干渉し、管理できる存在を作ったの。それが『火』、『水』、『風』、『地』の四大元素と、これに『光』と『闇』を加えた六大元素を元に創られた六体の『大精霊』達だった。そして彼らは協力して何千何万年もこの世界を支えあってきたわ。でもある時から、彼らは自身の力を人間たちに分け与え始めた。これを私たち≪アクトヤルカ≫の民は『魔法』と呼んでいるものよ。……ここまではいい?」
ステラの話している内容はよくわかったが、青葉が知りたいことはそんなことではない。
「まてまて、話が大きくなりすぎじゃないか?何で『魔法』が誕生したときの話なんて……」
「せっかちね。理由は単純よ。そこから話さないと、『私』がどういう存在なのか実感できないと思ったから。まあ、『彼女』はわかっていそうだけどね。」
『彼女』というのは、朱璃のことだろう。彼女は今は何も言わずにステラの話を一緒に聞いている。食べ物に手を付けなくなったので、お腹はいっぱいになったのだろう。
「話を続けるわね?さっき『魔法』は大精霊の力を分け与えたものだって言ったわよね?結論をいうと、『魔法』は人間を進化させていったわ。より精霊を受け入れやすい姿になったものもいれば、姿は変わらずとも体内に『魔法器』と呼ばれる魔力の源を作り出し、自ら精霊の力を引き出せるようになったもの、そして…………精霊に拒絶された者たち『混沌の使徒≪カオス・ラストル≫』主にはこの三つに分かれたの。まあ、さらにここから、エルフやドワーフ、海人族≪セル・ヒューマ≫などの種族に分かれていくんだけれど、その話はまた今度。この進化した人間たちの末裔が私であり、≪アクトヤルカ≫の民なの。今では人間たちは精霊に力を借りつつも、土地を耕し、国や集落をつくり、自ら世界を管理することができるようになった。」
ステラがまた一息入れた。その間に聞いた内容を頭の中で反芻していたが、エルフやドワーフという、ファンタジー物ではよく知った名前を出され、青葉は感動していた。もっとも、顔には出さないようにはしていたが。
「さて、ここで問題です。世界は人間たちが管理できるようになりました。では元々彼らに力を分け与えた『大精霊』達は今はどうしているでしょうか?はい、青葉君。」
「いきなりかよっ!?………………その………役目がなくなって、暇になったから遊びまわってる……とか……?」
急にクイズなど出されても、答えなど思いつかず、つい適当に答えてしまった。それを見たステラは真剣な表情を崩し、フッと鼻で笑うと「ハズレ~」と言い、ニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「じゃあ、朱璃ちゃんは?」
「……わかる……人間の中にいる……それに一体そこにいる……」
朱璃が指をさしたのは…………正面に座っているステラだった。
「うん。朱璃ちゃん大正解ね。というか、さっきから思ってたけど、あなたは≪見えてる≫んでしょ?」
(ステラが……精霊……とてもそんな風には見えないぞ……?)
コクリ、と朱璃がうなずくが、青葉には何の事なのかわからなかった。
「正解を言うわね。大精霊は人間たちに力を分け与えた後に、人間の中でも精霊との結びつきが特に強い者の中に宿るようになった。そのほうが、世界を管理するのに都合がよかったのよ。そして……私がその一人ってわけ。」
「ステラの中に大精霊が……?じゃあさっきの見えるとかっていうのは……」
「見える……というか感じるというべきかしらね。私たち『大精霊の巫女』同士なら、お互いの存在を感じ取れるけど、極まれに他の人でも感じ取れることはあるの。朱璃ちゃんは、半分精霊みたいな存在なんじゃない?」
「精霊……そういえばそうだったな。じゃあ、俺が転生者だったわかったのも、おま……ステラにその大精霊がついていることと関係あるのか?」
つい、『おまえ』と言いそうになり、ステラの目つきが一瞬鋭くなったため、言い直した。
「私、『おまえ』と言われるのは嫌いなの。」
「……気を付けるよ……」
「まあいいわ。で、今の質問に答えるわね?青葉君が転生者だってわかったのは、私に宿る光の大精霊『フォルス』が教えてくれたからなの。彼らは普通の精霊と違って、言葉によって人間と対話できるの。そして、世界とつながっている彼らは、世界の危機にも敏感に反応する。そう。あなたが壊した隕石の事よ。」
「隕石のことまで知ってるんだな……」
「私も数日前から星がどんどん大きく見えてきて、それが落ちると知った瞬間はとても驚いたわ。それに、私以外には誰にも見えていなかった。きっと神様が、余計な混乱を避けるために、精霊の加護が強いものにしか見えないような幻術でもかけていたのだと思う。でも、正直見えないほうが良かったと思うわ。そのときは助からない……素直にそう思っていたんだもの。でも、フォルスが言ったの。『異世界ヨリ転生セシ神ノ使イ』が現れるって。そして、あの森に行った。あなたたちを見つけるためにね。……私も立場があったから、仕方なく騎士団の連中を引き連れていったのに、騎士の連中ったら「万が一のことが~」とか「無事に帰還する義務が~」とかうるさくて……私にはフォルスがいるってわかっているはずなのに……「馬車でお待ちください」の一点張り。事故にみせかけて壊滅させてやろうかと思ったわ。」
そういえば、ヴァンは何も知らずに森まで派遣されたといっており隕石のことなどは一言も言っていなかった。あれほど巨大な隕石なら、地表からも見えないはずはない。話題にも出なかったことから、騎士団含めた、ある一部の人以外に見えていなかったというのは真実なのだろう。あと、後半が騎士団に対する愚痴になっていることは……あえてスルーした。
文章の構成がいまいち上手くいきません