森の中彷徨ってたらうさぎと遭遇した
本日二度目の投稿。書けるうちに書いとく!
さぶたいとるのようなかわいいおはなしではありません
「ったく・・・まじかよあんのくそ女神・・・。」
今俺は森の中を歩いている。ここどこ・・・。
女神様にこの世界にこの世界に飛ばされて早30分くらい?周りはあまり密集はしていないが、木と草ばかりで、どうせ助けなんてないのだから闇雲に歩いて、とりあえず森を抜けようとしている。しかし、全く開けたところに出る気配がない。
今の装備は愛用の灰色のスウェットに何故か履いている革製のサンダル。そして、切らずに伸ばしていたせいで耳が隠れるほどまで長くなった黒髪と、胸にある、普通より少し小さめのの二つの膨らみ。もちろん股の間のアレはなくなっていた。
「まあ、今までも女と間違えられたことは何度もあったしな・・・。むしろ男だと思われたことの方が少なかったか?まあ今となってはどうでもいいか。とりあえず、腹減った・・・。あと眠い。」
とにかく森さえ出れればなんとかなるだろうと思って進んでいく。こうして歩いていると、自分が恵まれた環境で生きていたんだなと実感しないこともない。
と、その時、目の前に赤い果実をつけた木を見つけた。
「お、これは?」
近寄って見ると、背が低く、細い幹だが、その果実はふっくらとしていてりんごのようであった。そして、それを見た瞬間お腹がぎゅるぎゅると音を立てる。
「んー、これ食べても大丈夫なのかな・・・。毒とか不安だし。でも、流石にもう限界だな。どうにでもなれ!」
そう言って赤くなった実を一つとり、齧り付く。中の甘い汁が口いっぱいに広がり、至福のひとときをもたらした。
「う、うまい!こんなにうまいりんご食ったことねえ!」
もう一つ、もう一つ、とりんごらしきものを手にとって食べていく。5個くらい食べたところで満足し、芯の部分を草むらのむこうへ投げ捨てた。
「ごちそーさん。」
ガサガサッ
「・・・・ん?」
先ほどりんごの芯を投げ捨てた草むらの方から何か音が聞こえた。
(何かいる・・・?でも、このパターンってなんかやばいやつじゃね。)
ガサガサガサッ
草むらの向こうから姿を現したのは巨大なうさぎのような動物だった。大きさとしては前の世界での大人のイノシシくらい。しかし、うさぎといっても目が鋭く、赤く、口からは牙がむきだしている。毛は固く石のようで、逆立ち、明らかな敵意を俺に向けていた。
(はい、死亡フラグ立ちましたー。いや、うさぎ程度なら大丈夫・・・?つーかなんでこいつこんな怒ってんの?もしかしてさっきのりんごの芯が当たったとか?やめてくれよ・・・。)
今は仮にそいつを『うさぎ(怒)』と呼ぶことにしよう。
うさぎ(怒)は地面を蹴り出し、俺に向かって突進してくる。そのスピードは本当イノシシレベル。
「うおっ、あぶね!」
危機一髪横に転がってうさぎ(怒)の突進を避ける。しかし、うさぎ(怒)は後ろで急旋回し、再び襲いかかってきた。次は避ける余裕はなく、うさぎ(怒)の方を向いた瞬間突進を食らってしまい、数メートルほど吹っ飛ばされる。
「・・・かはっ。」
息が止まるような感覚。痛いとかではなく、体の前面が焼けるように熱い。突進をもろにくらった腹部は最早感覚がなかった。
ぼやける視界の中でうさぎ(怒)が再び突進をしてくる。
(死ぬの早すぎだろ。でも死ぬのはやだな・・・。)
そう思いながら目を瞑り、痛みに耐えるために歯を食いしばる。うさぎ(怒)が地面を蹴り、どすっどすっという足音を立てながら俺にむかってくる。その時ー
ガキンッという、金属と金属がぶつかるような音がした。しかし、体に痛みは全くない。恐る恐る目を開けると、そこには、向かってくるうさぎ(怒)に剣の腹を盾にして俺に背中を向ける男の姿があった。
「よ、よぉ嬢ちゃん危ないところだったなあ。・・・ぐぐ。もう安心していいぞ・・・・って危な!お前力強すぎ!危ない危ない危ない危ない!ちょたんま!」
全く安心できない。うさぎ(怒)の力に押されて俺のすぐ近くまで押されるその男。普通こういう時は颯爽と現れて敵を倒すのがセオリーじゃないのかよ。
「もういい加減に・・しろ!」
男は剣を力任せに振り上げうさぎ(怒)を向こうへ吹き飛ばす。そして倒れたところに剣を一気に振り下ろす。振り下ろされた剣は石のように硬そうな毛を突き破り、肉を断ち、骨に達したところで止まった。
多分これ殺せてない。そう思った俺は男に叫んだ。
「多分そいつまだ死んでない!もう一発入れろ!」
「お、おお!任せろ!」
男は剣を持ち上げ、体を起こそうとしていたうさぎ(怒)に向かってもう一度剣を振り下ろす。次は綺麗な起動を描き、骨まで砕いた。吹き上がる血しぶきを避け、男は俺の隣にまで飛んで呟いた。
「怖かったー・・・。あ、ちがう。もう心配はいりませんよ、お嬢さん。」
そう言って手を差し伸べる男。俺は先ほどからお嬢さんお嬢さん呼ばれて実はイラッとしていたが、突進を食らって立ち上がることもできないので素直に手を借りる。が、俺が彼の手を取った瞬間彼は俺を起こすことが出来ずに俺に引っ張られるようにして倒れた。
「ちょ、おい。何してんだあんた。」
「ごめん、もう、無理。」
その男の足や手は震え、立てるような状態でないことは歴然だった。あのうさぎ(怒)と戦うのがよほど怖かったのであろう。
(かっこわりい・・・。)
まあ助けてもらったんだから感謝はしてるけどね。
そこでは森の中倒れる1組の男女という奇妙な光景が出来上がっていた。
なんか一話しか投稿してないのにブクマやら評価やらしていただけて、感無量です。誤字なんかも指摘していただけると嬉しいです。あと感想なんかもいただけると嬉しいです(チラッ
2015/03/30 誤字訂正