買い出しに行くことになったら留守番させられた。
超絶久々の投稿。
たのしい。
夕食を食べながらアルフォンスがダンジョンの説明を始めた。ちなみに今日のメニューは鮭のムニエル(っぽいもの)とシチュー(っぽいもの)とパンである。結構おいしい。
「さて、今回行くダンジョンだが、すぐ近くにある、『密林の洞窟』へ向かう。」
「隊長ーそれってどういうダンジョンなんですかー?」
ケビンがいつもの通りけだるそうに手を挙げながら質問する。
「今から説明するからまあ待て。密林の洞窟は王都の南門を出てしばらく行ったところにあるダンジョンだ。地下に広がっている洞窟型のダンジョンで、ダンジョンの種類としては最も典型的だ。さらに、そこに出てくる魔物には昆虫型の魔物が非常に多い。今回の依頼をしてみて、昆虫型の魔物に慣れておく必要性を感じたためだ。とりあえず説明はこれくらいだが質問は?」
いろいろわからないことだらけだし、ここは記憶喪失を盾に色々聞いておこう。
「あのー、なんでダンジョンに行くためにさっき冒険者登録したんですか?」
「あぁ、それは、ダンジョンはとても危険な場所だから、一般人は立ち入り禁止になっているからだ。冒険者として実力を認められたものだけが入れる。ちなみに、冒険者はその洞窟内で得た戦利品である素材や魔石などを売ってお金にする。たまに宝箱みたいなものやトラップも存在する。」
「なるほどー。冒険者ギルドはその買取をしてくれるってことですね!でも、なんでそんなものが存在するんですか?魔物がわいたり、宝箱やトラップもあるなんて・・・。」
「それが、未だに良くわかっていないんだ。一説には魔王が作ったといわれているが詳細は不明だ、わかっていることとしては、深層に行けば行くほど魔力、通常で言うところのマナだな。それが非常に濃くなって、出てくる魔物が強くなる。また、地上に出てくる魔物はそのダンジョンから出てくるといわれている。さっき言った魔石は石にマナが浸みこんだものだ。武器や防具の素材として使うらしいが、詳しいことは良くわからん。」
ほぉー、なんか本当にRPGの世界みたいだ。そんなところに俺は今から向かうのか・・・。あ、待てよ?ダンジョンと言えばお約束の・・・
「死んでも生き返るなんていうダンジョンだけに適用されるルールは・・・」
「ん?ナツキ、頭は大丈夫か?死んだ生き物が生き返るわけないだろ。」
ですよねー!さすがにそこまでファンタジーしてなかった!しかし、そうなると、俺、生きて帰れるんだろうか?いまさらながら怖くなってきたぞ?
「まあダンジョンの説明としてはこれくらいだ。ただ、すぐに行く、というわけではない。ダンジョンに行くならせっかくだから数日泊りで行こうと思う。そのための準備をしなくてはならない。だから俺たちは明日は買い出しだ。ダンジョンに実際に行くのは5日後にしようと思う。食料品は後にして、装備などの必要物資をそろえる。」
確かに、ゴブリン討伐のあとすぐにこの護衛の任務だったり、結構せわしなかったもんな。色々足りないものが出てくるんだろう。雑用係として、荷物持ちに励むとしますか!
「あ、ナツキはここのギルドに居残りな。」
「なんで!?」
「いや、お前のその体で荷物持ちはさせられないし、正直いろんな意味で役に立たない。」
ぐほお!隊長の悪意なき正直さが俺の心を抉りにかかる。おい、なんでカインもニーナもケビンも皆してうんうん頷いてるんだよ!
「だから、お前は明日はここのギルドの地下にある修練場で鍛錬でも積んでてくれ。明後日からは俺たちが日替わりで稽古付けてやるから。明日一日だけ良い子してろよ?」
むっかああああ!隊長完全に俺のことを子ども扱いしてやがる。まあ実際子供みたいな恰好だししょうがないけどさ・・・。あれ、でも5日後に出発で、明日は一人で特訓として、あと日替わり修行は3日?今回行くチームは俺を含めて5人だぞ?
そんなことを考えていると、隊長が再びしゃべりだした。
「そういえばカイン、お前は一人で特訓な。」
「・・・はい。」
カインはなぜかショボーンとしている。いったいどうしたんだろうか?
「戦闘中に気を抜くな、とあれほど言ったはずだ。なのになぜ敵から目を離した。」
「・・・すんません。」
「お前には明後日からの特別特訓メニューだ。楽しみにしてろよ?」
すごい楽しそうな隊長。それに対してすごい暗い表情をするカインと、それに同情の目を向けるニーナ。いったい何が待っているのだろうか・・・。
そんな感じで次の日の朝を迎えた。朝ご飯を済ませると、俺以外のメンバーは一緒に買い出しに行ってしまった。しょうがないから俺は軽くロビーで新聞を読んだ後、地下にある修練場へ行ってみた。しかし、どうにも気が乗らない。入ってみると、バレーコート8個分くらいのだだっ広いところに線が引いてあるのみ。あとは筋トレ用の道具やカカシみたいなものがいくらかあるのみ。修練場という名の体育館みたいな感じだ。何をすればよいのか全然わからないのでとりあえず修練場の外側をぐるっと走ってみた。しかし、体が小さくなったため(断じて引きこもっていたからではない)か、すぐに息が切れて止まった。
(くっそー、やる気起きねー!)
というか、修練って言ったって何をすれば良いんだろう?とりあえず魔法でも使ってあのカカシに攻撃を当ててみよう。そう思ってこの前みたいに10cmほどの火の矢を生成し、カカシに向けて飛ばした。再び自分の中でマナが空っぽになるのを感じる。火の矢はカカシに当たると煙を出しながらすぐに消えた。
「ふぉっふぉっふぉっ。嬢ちゃん、今のでマナが切れたのかい。」
「!?」
突然かけられた声にびっくりして振り向くと、気が付かないうちに背後におじいちゃんが立っていた。神はもうほとんど残っておらず、長いひげ伸ばしに伸ばし、仙人と呼ばれそうな風貌をするおじいちゃん。ひげをさすりながらしわがれた声で続けた。
「嬢ちゃん、君の中にマナはあまりないようじゃが、おそらくまだ成長途中だからじゃろう。心配せずともよい。それよりも、あまりに無駄が多いのぉ。」
「無駄・・・ですか?」
急に現れて一体どうしたおじいちゃん。俺を馬鹿にしに来たのか?オォ?
「そうじゃな。嬢ちゃんや、魔法が使えるようになったのはいつごろかね?」
「えーと、4日くらい前だと思います。」
「ふぉっふぉっふぉっ。道理でのう。どれどれ、儂が教えてやろうか?」
「え、いい。」
「そうかそうか、それではしかと見ておれよ?」
「いや、だからいいって・・・・」
そう言った瞬間、目の前が真っ赤になり、やけどせんばかりの熱を感じ、衝撃に後ろに吹っ飛ばされた。何が起こったのだろうか?10mほど吹き飛ばされた体を起こして前を見ると、修練場が2つになっていた。いや、正確には、目の前にあったはずの壁がなくなり、修練場と同じくらいのサイズの穴がもう一つできていた。
「ふぉっふぉっふぉっ。少しは驚いたかのう?」
少しなんてもんじゃない。こんなのありえない。おそらく、先ほど目の前に広がった赤は炎。目の前、というか、爆心地を考えると壁の中だろうか。そこを中心に大爆発を起こしたんだこの爺さん。
知りたい、どうやったらこんな人間離れしたことができるのか。
「ようやく目つきが変わったのう。さて、ではもう一度問う。儂が魔法の使い方を教えてやろうか?」
俺は無言で爺さんを見つめた。
「ふぉっふぉっふぉっ。若いのう。良いじゃろう、儂の特訓は厳しいぞ?」
ありがとうございました!
これからもこんな感じに思い出したように投稿していくと思いまする。