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人生サボってたら試練与えられた  作者: 病院が来いの人
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Fランクかと思ったらGランクだった

 どうしてよりにもよって俺ばかり狙われるのだろう。いかにも弱そうだからかなそうですかそうですか。腹立つな!まあこいつは食べれれば良いわけだから弱いやつを狙うというのは頷ける話ではある。だからといって納得できるかあ!とにかく、時間稼ぎさえできれば良いんだ。何か方法はないか。そうだ、さっきニーナが使っていたバリアという魔法を使うのはどうだろうか。いや、俺のマナじゃ絶対に持たない。ニーナがさっき使ったのを見たから発動はできるだろう。だが、火の矢(ファイヤー・アローですらあんなんだったんだから守れるわけがない。しかし、やるしかない。一撃で良い。一撃だけでも防げればきっとほかのやつらが駆けつけてくれるはずだ。そのためには俺の中にある限られたマナを集約して使う必要がある。そうだ、もしかして、あのバリアって展開する時間や大きさと強度で使用されるマナが変動するんじゃないだろうか?もしそうだとすれば、あいつの攻撃に合わせて一瞬、ごく一部に展開すれば、強度を保てるんじゃないだろうか?


「ナツキーーーーーーーーーーーー!」


 そこまで考えたときだった。カインの叫び声が聞こえる。ハッと我に返った俺はその時ようやく、俺の両側に広げられたハージェノの鍬に気付いた。もう考えている時間はない。俺はハージェノの動きに神経を集中させる。予備動作を見極めろ、ハージェノの視線を読め、どこに、いつ、攻撃が来るのか。間違えればそこでおしまいだ。


――――来た!


 ガキィッ!


「よっ・・・・しゃあ!」


 俺の作り出したバリアは寸分の狂いもなくハージェノの鍬をとらえ、はじき返す。ハージェノはその反動で上体がそれる。俺も魔法越しに衝撃を感じてはいたが何とか致命傷にはならなかった。


「うおおおおぉぉぉぉぉおお!」


 そこへアルフォンスが怒号をあげて突っ込んできて、ハージェノにタックルをかます。ハージェノはそれに吹っ飛ばされ、ひっくり返った。そこをニーナが巨大な炎で焼き尽くす。後に残ったのは炭となったハージェノの残骸だけだった。



***



「いやあ、本当にありがとうございました。」


「いえ、私たちは依頼を遂行しただけですので。」


 そういって笑い合うリューリクとアルフォンス。俺たちは今王都に到着し、王都の商人ギルドで依頼を終えたところだった。


「また何かあれば呼んでください。それでは。」


 そうして俺たちはリューリク達と別れた。そして着いたのは王都の冒険者ギルド。


「あれ、今日は傭兵ギルドじゃないのか?」


 俺が聞くと、アルフォンスが答えてくれた。


「そうだな、そろそろダンジョン攻略もいていきたいと思っていたころだからな。ナツキもいるし、丁度良いだろう。」


 ダンジョンだと!?なんと心躍る響きだ!きっと金銀財宝ざっくざく、一攫千金狙えるとかそういうのだな!


「というわけで、これからそのための準備をしようと思ってな。」


 そういって中に入っていくアルフォンス。俺たちもそれに続いて中に入る。外は最初ホテルっぽい感じだったが、中に入ってみると、まさにホテル。ビレジアンの傭兵ギルドは酒場みたいな感じだったのに、なんだこの差は!

 アルフォンスは受付まで歩いていくと俺をちょいちょいと手招きする。なんだろうと思ってそばに寄っていくと、受付のお姉さんが少し驚いたような顔をした後、にっこりと笑って言った。


「では、冒険者登録をされるということですので、この宝玉の上に手のひらをかざしてください。」


 ん?冒険者登録?


「どうした、ナツキ?早くしろ。」


 アルフォンスが急かし、俺の手を取って無理やり宝玉の上にかざす。すると、宝玉が突如光だした。しばらく発行した後、光が収まると、宝玉の下に敷いてあった台のようなところから一枚のカードが出てきた。


「これは・・・?」


「これは冒険者カードです。先ほどの宝玉はあなたに冒険者たる資格、素質、実力などがあるかどうか審査するものです。審査に通るとそのカードが支給されます。最初はFランクから始まり、ある程度の経験を積み、再び審査を行い、宝玉が上がっても良いという審査を出したら、ギルドの行う昇級試験に合格していただき、それに合格したら昇級、となります。クエストやダンジョンにはランクがあり、クエストを受けるメンバーの中に必ず一人はそのランク以上の方が同行しなければなりません。また、そのランクに応じて様々なサービスや、商店での割引される場合もあります。」


 なるほどー、ランクを上げていく必要はないけど、上げるとお得だよって感じか。まあ多分その人の地位を表すものとして結構重宝されていそうな感じ。シルバーウィングのメンバーもみんな結構上げてるみたいだし、俺もやってみたいな。というか、俺冒険者として認められたのか。ちょっと満足した気分になり、自分のカードを見ると、名前の横に、rank:Gと書いてあった。


「・・・・あれ?ランクって確かFから始まるんですよね・・・?なんか俺Gって書いてあるんですけど・・・。」


「はい、稀にぎりぎり審査に通る、という方がいらっしゃり、その方々のランクはGとなり、Gランクの間は必ずFランク以上の冒険者の方に同行していただく形でなければどのようなクエストも受けることができません。昇級はしばらく経験を積んだら再び宝玉による審査を行い、合格すればFランクになれます。」


 な、なんだと・・・・。つまり俺って、ぎりぎり合格、ってことかよ!まあ若干わかってはいたことだけどな!

 一通り説明を受け、カインたちのところへ戻る。カイン達は各々に夕食を取っていた。


「隊長、ナツキちゃんをもう戦力とする、ってことですか?」


 ニーナが若干遅れてきたアルフォンスを鋭い眼光でにらみつける。アルフォンスは手をひらひらと振って笑って言った。


「とりあえずだよとりあえず。まだこいつには戦わせねえよ。こいつ、自分の身を自分で守れるようになったみたいだしさ。とりあえず登録だけしとくのもいいんじゃねえかと思ってよ。ま、案の定Gランクから始まりだったわけだし。でもよ、お前もあれ見ただろ?もしかしたらこいつ、とんでもないやつになるかもしれねえ。」


「そうですけど・・・・。」


 アルフォンスの言葉に少しうなだれるニーナ。ん?とんでもないやつってどういうことだろう?俺が首をひねっていると、ニーナが俺のほうに気づき、笑いながら答えてくれた。


「あのね、ナツキちゃん。本当は魔法ってそんなに簡単にできるものじゃないの。正確にはちょっと違うかな・・・。魔法はイメージでできるって言ったけど、本当は人それぞれ得意不得意な属性っていうのがあって、普通イメージだけで発動できる魔法の属性は1個だけ。あとは何度もイメージと練習を繰り返すことによって、ちょっとずつ使えるようになるものなの。だから普通の人は魔法をあきらめて体術を極めるの。魔法って体術を練習するよりも大変なの。この前のでわかったと思うけど、体のマナには限りがあるし、集中力を使うからね。私も最初は水属性魔法だけがつかえたんだけど、そこから練習をずっと続けて今では火、水、風、支援系魔法がいくつか使えるようになったわ。でもナツキちゃん、あなたはマナは少ないながらにも何の障害もなく今火と支援の二つの属性が使えるの。それってものすごく稀なことなのよ。」


 なるほど、そうだったのか。あれ?でもなんかあの金髪ボイン神様の話によると、俺って最初は全然何もできないんじゃなかったっけ?まあできる分には困らないしいっか。

 すると、さっきまでご飯をがっついていたカインも話に混ざってきた。


「あと、あれだ。あの危機的状況であんなことするっていうところもすげえところだな。俺もうだめかと思ったぞ。」


 あんなこと、というのはたぶんバリアのマナ節約のことだろう。


「だってしょうがないだろ、俺のマナ極端に少ないんだよ。」


「よし、話はそこまでだ。そろそろダンジョンの話に移らせてもらっていいか?」


 アルフォンスが手をパンパンと叩き、俺たちの話を中断させた。ついに始まるダンジョン!楽しみだ!



***



 ここは天界。通常の世界よりも次元が一つ上の世界である。


「あんなことしちゃってよかったの?」


 そこに誰かの声が聞こえる。


「あんなことって?」


 どうやら何者かが二人会話をしているようだ。


「とぼけちゃって。が頑張る姿を見たいんじゃなかったの?あんな能力を与えて大丈夫なの?」


「まあね、まだには死んでもらっちゃ困るし。」


「そう、ならいいのだけど。干渉しすぎるのもあまりよくないんじゃないの?」


「わかったよ。奴等・・に見つかっても面倒だからね。」


 そこでは怪しげに笑う二人の声が反響していた。

引き際!変な感じになってしまった!

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