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人生サボってたら試練与えられた  作者: 病院が来いの人
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プロローグ

楽しんで読んでいただけたらこれ幸いかと。

 カチカチカチ・・・

 薄暗い一室に響くタップ音。部屋には、一面から強烈な明かりを発する箱と、その明かりに向かって座る一人の青年がいた。


「・・・んー、なかなかクリアできないな・・・。おっ、ドロップ。いいねえ。」


 何やらぶつくさ言いながらパソコンのキーボードを操作していた。スウェットで隠れてはいるが、その上からでもわかるほど華奢で、伸びきった黒髪と、童顔でまるで女子のような風貌であるが、れっきとした男子であった。


「・・・よし、クリア。あーこれでこのゲームでやることもなくなっちまったなー・・・。」


 椅子の背もたれに体を預け、大きく伸びをする。


「なんかもう、色々めんどくせえな・・・・。」


 そうつぶやくと、青年は椅子から降り、ベッドへと転がった。仰向きに寝転がると、目を閉じ、考える。


「この先俺、どうなるんだろうな・・・。」


 時刻は朝5時。直前までぶっ続けでゲームをしていたためか、この青年はすぐに眠りに就いたのだった。




 ***




 体に違和感を感じ、目覚めると、周りはよく知った部屋の天井・・・などではなく、白い空間が広がっていた。


「・・・・!?なんだここ!?」


『やあ、目が覚めたかい?』


 声がしたことに驚き、その方向を見ると、金髪ボインのお姉さんが目の前に胡座をかいて、頬杖をつきながら()()()()()


「うわあああああああ!?なんだこれ!なんだこれ!?」


『まあまあ落ち着け、()() ()()ちゃん。』


 そう言って笑いながら右手をひらひらさせるお姉さん。年は20代前半といった感じ。長すぎて地面(?)に着いている金髪とお姉さんと着ている白いローブのようなものを見る限り、


「・・・・女神?」


 っていうかちゃんってなんだよ・・・。


『すごいな君。なんというか・・・完全に毒されてるよね。僕の格好見ただけでそう判断するとか・・・。そう、僕は一応女神だよ。』


 呆れた顔をしながら言う女神様。


「でも、でも、女神様って言ったら幼女で年寄り口調がセオリーだろ!?」


『そんなの幻想だよ。』


 なに・・!?女神=幼女じゃないだと!?そんな馬鹿な!


『あーもう、うるさい。女神もちゃんと成長して、まだ小さい子は力を持ってないんだよ。っていうかさっさと本題に移っても良いかな?』


「あ、はい。すいません。ってかなんで考えてること読まれたの!?」


『それはまあ、僕が神だからかな?そしてここは神の間。僕たち神と君たち創造物とが交流を交わすことが唯一許された場所。』


「は、はあ・・・。それで、なんで俺がここに呼ばれたんですか?」


『それは、せっかくハイスペックな体を与えられたのにそれを無駄にしてる馬鹿がいたからだよ。』


「へえ、そんな奴がいたんですか。それはたしかにもったいないですね・・・・ってそれがもしかして俺とか?」


『うん。』


「えぇ?!いや、だって俺勉強も運動もできなくて学校から逃げ出した引きこもりですよ!?」


 あ、自分で言ってて悲しくなっていた。そう俺は中学校の途中から学校に行くのが嫌になって引きこもり早3年。となってしまったのである。

 女神様は再び呆れ顔になり、ため息を吐きながら行言った。


『それは、できないんじゃなくて、君がしようとしなかったからだよ。いいかい?君たちの体は一度もやったことがないことはなかなか難しいけど、何度もやればできるように作られてるんだ。だけど、君は一度やってできなかったらすぐに諦めてしまった。だって君の住む世界は自分自身がやらなくても誰か別の人が生かしていくことができるまでに成長してしまったのだから。』


 思い当たる節がないでもない。別に自分自身、飽きやすいわけではない。しかし、自分よりできる人がたくさんいることや、実際できなくても生きる上で全く問題ないことに気づいてしまい学校に行くのが嫌になってしまったのである。


「でも、俺、自分がハイスペックなんて思ったことないですよ?むしろ人より全然できないなって思ったぐらいで・・・。」


『君の場合ちょっと特殊で、やらなきゃできないっていうのがすごく顕著なんだよ。2、3回やったところじゃ他の人と同じか、ひどいとできなかったりする。でも、何度もやると、君は慣れて、どんどん上達し、最終的には相当な実力になるはずなんだ。』


 たしかに、自分の好きなこと(おもにゲーム)は相当上手くなって、ランキングでも上位、ゲームによっては一位になったりもしていた。


『なのに、君はその体を無駄にしている!もちろんゲームが悪いというわけではない!だけど、もっとたくさんのことができるはずなんだよ!それと、おそらく、君は窮地に立たされて、やらなきゃいけない時こそ真の実力を発揮できると思うんだ。』


「はあ。なんか、ありがとうございます。」


 そんな気の抜けた返事しかできないのは正直話にあまりついていけないからである。っていうかこの流れ嫌な予感がするんだが。


『そういうわけで、君に試練を与えることにしたわけだよ。』


「試練・・・?」


『そう。君には僕の作るもうひとつの世界へ行ってもらう。君の住んでいた平和な世界から考えると相当大変だと思うよ。流石に最大限手助けはしてあげるけど、向こうでの生活がどうなるかは君次第だ。』


「え、まじっすか。嫌です。帰してください。」


『あ、ごめんもう決定事項。君のもといた世界から君の存在は消えてるよ。もう誰の記憶にも残ってない。』


 おい!それすごい悲しい!絶対ごめんとか思ってないだろ!


『だって君が悪いんだよ。そんな宝の持ち腐れの状態なんだから。だから次の世界では頑張ってよね。平和ボケしてるのと、途中参加だからちょっとサービスしてあげるから。ほほいっと。』


 そう言って空中に指を走らせる女神様。サービスってことはきっといいことだろう。そう信じている。


『よし、設定完了。それじゃあ転送するね。まあ気が向いたらこっちから連絡とるよ。応援してる。せいぜい次はその体、無駄にしないでおくれよ。』


 女神様がそう言うと俺の体は光を発しながら薄くなっていく。まあ、前の世界ではお先真っ暗だったし、どうやら頑張ればなんとかなるみたいだし、ちょっと頑張ってみるかな。


『その意気だよ。じゃあね、夏貴ちゃん。』


「だからなんで『ちゃん』なんだよ。俺は男だろうが。」


 俺はクスリと笑ってしまう。そんな女神様のおちゃめなところが可愛いと思えてしまう俺は病気なんだろう。

 体はもうほとんど消えかかっていた。


『え、君、男だったの・・・・・?』


 震える声と驚愕の表情の女神様。


「え、おいまさか。」


『ごめん、まじ、ごめん。』


 青い顔をする女神様を見る限り、そういうことなのだろう。本気で俺に対して『ちゃん』だと思っていたのだろう。


「うそだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


 俺の叫びは虚空に消えていった。

更新はおそらくかたつむりレベルだと思うので、気長によろしくお願いします。


2015/03/30 誤字の訂正、表現をわかりやすく訂正

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