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花の雨

輪廻の牢獄へようこそ

作者: むぅ

 多くの人は、生きることを肯定し、死を避けるように忌み嫌う。

 果たして、それが正しいことなのか。

 考えることすら放棄して、生に執着している人を見ていると、なんと言うか可哀想に思えてくる。と同時に、愚かにも見えてくる。


 この世界は苦しみに溢れている。

 生まれてくる苦しみ。生きていく苦しみ。そして、死んでいく苦しみ、に。

 何故か。

 さまざまな宗教など人が作った回答は多々あれど、正確にこの世界の事象として答えられる人間はいない。

 結局、人にはこの世界のを正確に捉える、あるいは、受け入れることなど出来ないのだ。

 だから、今から私が話すことを君は信じないかもしれない。

 もちろん、それでも構わない。

 だが、君は知っておくべきだ。君の生きている世界のことを。


 まずは、説明する前に共通認識を持っておこう。

 今生きているこの世界の呼び名だが、『現世げんせ』としておこう。

 君は、日本人らしいからこの方がわかりやすいと思う。

 で、死んだ後にいくであろう世界のことだが、分かりやすく『死後の世界』と、しておこうか。

 あぁ、仏教徒じゃない、と。

 そんなことはどうでもいいよ。

 言葉の認識が共有出来れば良いだけだから。


 さて、本題に入ろうか。

 今君は『現世』に生きている訳だが、どうして『現世』にいるの?

 ……いや、生殖の話をしているのでは無いんだが……。

 …へ?前世の約束が……?

 はは。面白い答えだね。他には?

 …楽園を追われて逃げてきた……。

 海外の神話の話かぁ。あながち、否定はしないがな。

 じゃぁ、その神話の話を使って行こうか。

 有名なアダムとイブの話だけど、楽園を追われる理由は分かるよね?

 …そう。神の言いつけを破って禁断の果実を食べてしまったからだ。それが、罪の始まりとも言われている。

 で、罪を犯したから、神の怒りに触れ『現世』という場所に追いやられた。

 そして、出産時の陣痛とか色々罰を与えられた訳だ。

 ここまでは、着いてこれてるよねぇ。

 …余裕?あはは。そうでなくっちゃ。

 それで、この神話の話を少し違う視点から見るとね、『現世』って場所が罪を犯した人を閉じ込める牢屋みたいに見えるんだ。

 牢屋の中にいる人の罪は、それぞれ違うから、与えられる罰……苦しみとか辛さは、それぞれに違う。

 で、刑期もそれぞれ違うから、罪を償った人から檻の……『現世』の外へと出られるわけだ。

 じゃぁ、『現世』の外とは何処か?

 ……。

 はは。難しかったかな。

 神話の話で言うなら、楽園って場所に値するかな。

 共通認識の言葉を使えば、『現世』の外へと旅立つってことは、死を意味する。

 つまりは、『現世』の外は、『死後の世界』を指す言葉だ。

 …なんか、難しい顔をしているけど、大丈夫?

 とりあえず、まとめるよ。

 罪を犯した人は、檻の外→檻の中→檻の外へと移動する。

 これを、共通認識の言葉に当てはめると、『死後の世界』→『現世』→『死後の世界』へと移動するってこと。

 罪を償えば『死後の世界』へと釈放されるのだから、幼くして亡くなる子を憐れむ必要も、無駄に長生きしてるジジイを敬うことも無理にしなくていいと、私は思う。

 …え?人でなし?

 確かに、そうかもしれないけど、そもそも私は人じゃ無いし。

 まぁ、その話は置いといて。

 私が最初にした質問に、君はもう答えることが出来るはずだ。

 どうして『現世』にいるのか?

 …そう。罪を犯したから。

 おや?納得の言っていない顔だね。何か不満でも?

 ……どんな罪を犯したのか分からない。

 なるほど。確かに、犯した罪に関する記憶を誰も持っていないもんね。

 でもさ、刑務所ってものの持ち込みが制限されてるでしょ?脱走されたりしないように。

 じゃぁ、『現世』っていう檻に持ち込みが制限されているのが記憶だったらどうだろう?

『死後の世界』では人は神様みたいに神通力とか使えるのかもしれないし。

 まぁ、たまぁに神通力を『現世』に隠し持って来ちゃう人はいるけどね。

 でも、記憶がなければ、脱走しようとか思わない訳だし。

 あとさ、面会ってあるよね。面会に来る人は当然『死後の世界』の人なので、幽霊として現れる。見える見えないは別として。見えない場合は面会謝絶みたいな感じかな。

 ……って、すごい顔。大丈夫?急にこんな話されても困っちゃうよね。今日はこのぐらいにしておこうか。


 何で、教えたかって……

 それは、君がこの『現世』の檻の中から抜け出すことの出来ない『輪廻の檻』 に足を踏み入れた愚かな馬鹿者だからだよ。子狐こはくくん。

 世の理を捻じ曲げたこと、後悔してももう遅いからね。

 ……あと、その先生ってのは、やめてくれ。私のことは鴉って呼んでくれればいい。

 とりあえず、輪廻の牢獄へようこそとでも言っておこうか。

どうも、むぅです。


この小説に大きな鉤括弧をつけてやりたい。

そんな衝動に駆られております。

「花の雨」と同じようにそのうちに手直しがたくさん入るかと思います。

そんな時は「……またか」と呆れた態度で見守っていただければと思います。


読者の皆様。

読んでいただきありがとうございます。

宣伝みたいになりますが、「花の雨」もよかったら読んでやってください。


それでは、失礼します。

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