第八話
「ジン様、これからの予定はありますか?」
「…………」
(ないよ。)
「そうですか。
なら、手伝ってほいしことがあるのですが。」
「…………」
(なに?)
「吸血鬼一族の住んでいる常夜山にある鳩血石が欲しいのです。
私だけで行ってもいいのですが、吸血鬼は無駄にプライドが高いので念のために、ジン様についてきてほしいのです。」
「…………」
(それって怖くない?)
「大丈夫です。
ジン様は、立っているだけでいいので。」
「…………」
(了解。
ヴァネッサも来る?)
「ヴァネッサ様も来るかと申しております。」
「ああ、もちろん行くぜ。」
「それでは、朝食を食べて出発しましょう。」
「なぁ、イリース。」
「なんでしょうか?」
「何でジンの奴は喋らねーんだ?」
「………」
「な、なんだ?
何か嫌な事でもあったのか?」
「……誰にも内緒ですよ。」
「ああ、もちろんだ。
俺はこう見えても口が固いんだぜ。」
「本当に内緒ですよ。」
「コク」
「………恥ずかしがり屋なんです。(ボソッ)」
「え?」
「だから、恥ずかしがり屋なんです。」
「は?恥ずかしがり屋?」
「はい。」
「恥ずかしがり屋ってあの恥ずかしがり屋?」
「あの恥ずかしがり屋です。」
「なぁ、あいつ大人だぞ。」
「恥ずかしい物は仕方がないんです。」
「いやいや、直す努力をしないと。」
「ジン様が嫌がるようなことはできません。」
「嫌がるも何もあいつに必要なことだろ。」
「いいんです、私達が意志疎通できるのですから。
最悪私達が通訳すればいいのです。」
「お前らジンに甘くないか?」
「そんなわけないじゃないですか。」
「そうか……ところでイリースはジンの事をどう思っているんだ?」
「それはもちろん、できの悪いおとう…………素晴らしい主人ですわ。 」
「おい!ほとんど言っちゃってるよ!
それに語尾も変わってるよ!」
「今のことは、内緒にしてもらえません?」
「何でだよ。」
「ジン様のプライドを傷つけてしまいそうなので。」
「そんなことで傷つかないだろ。」
「何を言ってるんですか!
ジン様はとてもナイーブな方なのですよ。」
「あんな怖い顔して常に殺気放ってる奴が?」
「絶対にそんなこと、本人の前で言わないで下さいね。」
「いいけど、お前何かキャラ変わってないか?」
「気のせいです。」
「それにしてもどうやって行くんだ?」
「ジン様の転移魔法を使い、近くまでいきます。」
「…………」
(そろそろ行くけど、装備大丈夫?)
「はい、大丈夫です。
ヴァネッサ様も装備大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。」
「…………」
(【拠点移動】)
「うぉー、相変わらずスゲーな。」
「さぁ常夜山を登りますよ。」
「なぁ、今昼だよな。」
「そうですよ。」
「何でこんなに暗いんだ?」
「大昔、始祖吸血鬼のブ・ラ・ルコール=ヴァンパイアが大魔法を使って結界を張ったと言われています。
今は、行方不明だそうですが。」
「はぁ?まだ生きてるのかよ。」
「はい、吸血鬼は基本的に不死身ですので。」
「スゲーな吸血鬼。
月が赤いのも意味があるのか?」
「あれは、彼女の趣味だそうです。」
「趣味か。」
「やっと山頂が見えてきたな。」
「そうですね、初めて来ましたが赤い月が結構明るいおかげで迷いませんでしたね。」
「本当にイリース初めてだったのか?
ずっと先頭を歩いて道を案内していたように思うが。」
「いえ、ジン様が道を教えてくれましたので。」
「あっそ。」
「そこの者!止まれ。」
声が聞こえたと同時に、一人の吸血鬼が空か降りてきた。
「この山に、何のようだ?」
「この山に鳩血石を取りに来たのです。」
「はぁ?それは本気で言ってるのか?」
「そうですが。」
「ハッハッハッハ。
嘘も大概にしろ!それなら麓にある、店屋で買えばいいのではないか。」
「あんなに下級な鳩血石で何をしろと?」
「何?貴様は、我ら吸血鬼を侮辱しているのか?」
「どうやって話を聞けばそうなりますのですか?」
「その態度が我らを侮辱していると言っているんだ。」
「話が通じませんね。」
「貴様のような低級人のために、我らがわざわざ話をしてやっているというのにその態度は何だ!」
「話かけてきたのは、そちらですよ」
「舐めやがって!」
吸血鬼Aは、いきなり長い爪でイリースを切りつけてきた。
しかし、イリースは軽々と避け、腰に挿してある双剣の片方で吸血鬼Aの長い爪を切り、もう片方で吸血鬼Aの喉元に剣をあてた。
「まだしますか?」
「ちっ、今回は見逃してやるよ。」
吸血鬼Aは、あわてて飛び上がり逃げていった。
「あの程度の輩でよかったです。」
「ん?イリースなら、余裕じゃないのか?」
「いえ、なかには本当に強い吸血鬼もいますので。」
「あれ?ジンは?」
「…………ガサゴソ」
(木に珍しい虫がいたから、ついつい登っていまったぜ。
あっ、隠れてた訳ではないですよ。
本当ですよ。)
「なぁ、ジンってもしかしてビビりじゃないのか?」
「ナニヲイッテイルンデスカ?」
「本当に甘やかし過ぎだぞ!」
「さ、さぁもうすぐ山頂なので気合いを入れて登りましょう。」
「話をそらしやがって。」
「やっと着いたぜ。」
「そうですね。それでは、街に入りましょうか。」
イリースは、街の門に立っている門番に話かけ、入場許可書を発行してもらった。
ヴァネッサまで、らくらくと発行してもらえた。
「お前は、冒険者か?」
「…………コクコク」
「なら、ギルドカードを見せてくれ。」
「………スッ」
「………!ぜっZ!
ちょっと待っててくれ。」
「おいおい、門番がどっか行っちまったぜ。」
「まぁ、しばらく待ちましょう。」
パンパカパーン
みんなの憧れのもとワシじゃ♪
今回は、貨幣について説明するぞ♪
まず、貨幣は全世界共通の価値を持っておるのじゃ。
下から銅貨、銀貨、金貨があるのじゃ。
銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚というふうに、価値が上がっていくのじゃ。
銅貨1枚=100円と考えてよいぞ。
ハァ~今回のワシの出番は、明らかに少ないと思うのじゃ。
そろそろ解説することも無くなってきたし、どうしようかのう。
まぁ今回は、これで終わるかのう。
じゃーのー(-_-)/~~~
ハァ~マジでどうしようかのう。ブツブツ
「やっと戻ってきたぜ。」
「す、すいません。
ジンさんだけ城に来てくれませんか?」
「ああ?何で俺らは駄目なんだよ。」
「それは言えません。」
「ヴァネッサ様、ここは諦めましょう。」
「何でだよ。」
「この街を敵にまわせませんから。」
「チッ!」
ヴァネッサとイリースは、しぶしぶジンをおいて街の中に入っていった。
「ささっどうぞこちらです。」
門番は、明らかに始めと態度を変えながらジンを城まで案内した。
そろそろ本当に神様をどうするか考えないといけないです。