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第六話

「……………!」


「おお、気づいたか。」


「あいつは?」


「外で星空をみている。

完敗だったな。」


「ああ。」


「戦ってみて奴はどうだった?」


「あんなに手加減されて負けるとわな。」


「気に入ったか?」


「当たり前だ。

奴は、俺に手も足も技も使わず一撃で俺を倒しやがった。

ぞくぞくしてくるぜ!」


「それはよかった。

俺に感謝しろよ。」


「最初で最後の感謝だな。ガハハハハ

そう言えば名前は何だ?」


「ジンだ。」


「ジンか………。

何か奴の情報は無いのか?」


「さぁ?」


「ハァ?

何かあるだろう。

オークの肉が好きだとか、剣術が得意だとか、好きな女の特徴だとか……。」


「仕方がないだろ。

ギルドからは、奴の名前と特徴だけ送られて来ただけなんだから。」


「でも奴と話していたじゃねーか。」


「俺が一方的に話していただけだ。

奴は、必要最低限の返事しかしないし。」


「使えねー親父だな。

もういい俺が話してくるよ。」


「頑張れよ。」





(それにしても、今日は眼福だったな。

あれは、まれに見る逸材だった。

帰る前にもう一度見ておくか。)


「おーーーーい。」


「……………!」

(誰かきたぞ。)


「おーーーーい、ジーーーーン。」


「……………」

(何だ、俺に用でもあるのかな?

いやいや、鬼族にもジンという名前の奴がいるに違いない。)


「おいっ!聞こえてるだろ!

返事しろよ!」


「…………」

(うぉ!ビックリした。

俺に何の用なのだろう?

もしかして、見てたのバレたのかな。)


「ふんっ!本当に無口な奴だな。

そんなんじゃ嫁さんに逃げられるぜ。」


「……………?」

(嫁さん?)


「おいおい、今頃とぼけてるんじゃねーよ。

お前が地底龍の卵の報酬として、俺を嫁に貰うことを了承したんだろーが。」


「ハァ?」

(ハァ?)


「へ?

お前も知らないのか?」


「…………フルフル」

(いやいやいや、何言ってるの?

俺は、華奢で清楚で小さくて優しくて怖くない嫁さんを貰うって決めてるですけど。

あなたは、頑丈でガサツで大きくて怖くて優しくないんですけど。)


「ぁ?

今失礼なこと考えなかったか?」


「…………フルフル」

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)


「まぁいいちょっとこい!」


「……………ズルズル」

(キャー助けてードナドナされてるー。)



「どういうことだよ!ダンッ」


「おいおい落ち着け、何があったんだよ。

まぁジン殿は、このお茶を飲んで待ってて下さい。」


「こいつが俺を嫁に貰う件を知らないぞ!」


「それはおかしい。ポリポリ

俺はちゃんと言ったはずだが。」


「こっち見て話せよ。

クソ親父!」


「ちゃんと俺の可愛い娘の顔を見ながら話をしてるよ。」


「お前が見てるのは、俺の10年前の写真だ!」


「まぁまぁ落ち着けって。」


「この状態に落ち着いていられるかっての!」


「よし、お前の考えを聞こう。」


「ハァ?」


「だから、お前はどうしたいんだ?」


「話をそら「お前はどうしたいんだ?」」


「諦める気はねーよ。

あんなに強い奴はなかなかいねーからな。」


「ならいいじゃないか。」


「ぁ?」


「良いことを教えてやるよ。グヘヘ」


「……………ビクッ」

(なんなんだこの寒気は!

今ここで逃げなければ大変なことになることを本能が告げている!)


(ふぅ~何か異常に星空が見たくなったなー。棒

これは星空に呼ばれているのかもしれないなー。棒

そっちの親子は鋭い眼光でこっちを睨みながら、何か重要な話しをしているが、たいさんさせてもらいますか。)

「…………コソコソ」


「ジン殿どこにいくんだ?」


「そうだぜジン、こっちのミスを詫びてーから一緒に飲もうぜ。」


「…………星空を」

(キャーーーーーー!

これは、肉食動物が草食動物を狩るときの目だよ。

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。

いや、落ち着け俺の脚力ならまだ逃げれる。

いける!いけるぞ!希望の光が!)


「…………バタッ」

(あれ?

体が動かない………。

へ?もられた?

いやいやいや、俺には毒は効かないはずだが?)


「ニカッ」


「…………!」

(空に人の笑顔が見える。

とてつもなく輝いていて、やりきった感がある笑顔だ。)


「星空なかいつでも見られるだろジン殿。

それに疲れているようだな。

今日は泊まるがいい。ガシッ」


「そうだぜ、ジン。ガシッ」


「…………ズルズル」

(はっ!忘れてた!

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて。

神様ーーーーーーお願いーーーーー何でもするからーーーーーー。)


「ワシをアホと言った罰じゃ。」


「今夜は俺が精一杯介護してやるよ。」

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