第五話
「おいっ、さっさと上がってこい。
このクソ野郎が。」
「………………」
(どうしてこうなったorz)
「楽しんでるか?」
「……………ああ。」
(飯は、肉中心だが結構あっさりしていて食いやすいな。)
「ならいいが、もっとこっちに来てはどうだ?
さっきからずっと一人で食っているてはないか。」
「……………いい。」
(あの中に入るなんてレベルの高いことは、俺にはまだ早いんだ。シクシク)
「そうか。
もうすぐ闘技会が、始まるから待っててくれ。
ジン殿も強いが、鬼族にもなかなか強豪はおおいぞ。
どうだ?出場してみては?」
「…………フルフル」
(あんな怖そうな人たちと戦うなんて無理無理無理。
さらに、あの目立つ所とか……。)
「まぁ見るだけでも楽しめるから、楽しんでいってくれ。
じゃぁな。」
「………………」
闘技会の開場は、とても質素な物で村の広場に、綺麗にならしてある岩でできた直径10m・高さ1mの円柱が置いてある感じだった。
そこの周りをみんなで囲って酒を飲んでいる。
(どうやら始まったみたいだな。)
闘技会が、始まったようで盛り上がりがいっそう高まった。
鬼族は、丸太をよく使うらしく、自分の背丈位ありそうな丸太を軽く振り回していた。
中には素手でいく鬼族もいたが、格闘技というよりプロレス技に近くなかなか見せ物としては、面白いものだった。
(確かあの女は、村長の娘なんだっけな。
闘い慣れてるって感じかな。
しかもあの顔、凄いイカツイし殺気まるだしじゃないか。
それにしてもなぜ村長は、俺に娘の話ばっかりしたのだろう?
そんなに自慢したかったのかな?)
ジンは不幸を前に気楽なことを考えていた。
(おっ、決勝のようだな。)
ジンが、気楽なことを考えてるうちに闘技会は決勝になっており、盛り上がりは頂点に達しているようだ。
決勝戦は、ヴァネッサとヴァネッサの筋肉量が2倍はありそうなブルックという男だった。
ブルックは、2mもありそうな丸太を持ってヴァネッサに対峙していたが、ヴァネッサも同じかそれ以上の丸太を持っていた。
「今回こそお前に勝って俺と結婚してもらうぜ。」
「はっ!面白い、俺に勝てたら結婚でも何でもしてやるよ。
まぁお前は、元々眼中にないけどね。」
「勝手に言ってやがれ!」
ブルックは大きな声をだしながら、丸太を軽々と振り上げ、おもいっきりヴァネッサに振り落とした。
その一発で広場は、土煙に覆われたと同士に物凄い爆音が響いた。
鬼族は、静寂に包まれ土煙が晴れるのをまじまじと見ていた。
土煙が晴れると、そこには丸太を軽々と受け止めるヴァネッサの姿があった。
「相変わらず弱いな。」
「なっ……………」
ブルックが驚いた瞬間にヴァネッサが水月におもいっきり膝蹴りを入れて試合が終わった。
そして今に至る。
「………………」
(それにしても、綺麗な星空だな。)
ジンは、ヴァネッサの前に立ちながら現実逃避をしていた。
「よく俺の前に立てたな。
その度胸だけは、褒めてやるよ。」
「………………ピクッ」
(あれは!
A?B?C?D?E?F?G?H?I?いや、J?
やつは、連邦軍の秘密兵器なのか!)
「お前めっちゃ強いらしいな。
最初から、全力でいってやるよ。」
ヴァネッサは、おもいっきり踏み込み一瞬でジンの目の前までいき、一気に丸太を振りかぶった。
「………………」
(なっ!一瞬で俺の前に連邦軍の秘密兵器が。
やはり凄いデカさだ。
俺は今までこんな物を見たことがない。)
「オラァァァァ!」
「…………スッ」
(やはり下からの景色も絶景ですなフォッフォッフォッ)
「なっ!」
ヴァネッサは、自分の攻撃が当たるギリギリで避けられたことに焦ったが、気持ちを一瞬で持ち直し、大きく丸太を振り上げた。
「くらいやがれ!」
「…………スッ」
(フムフム横からはまた、違う趣がありますなフォッフォッフォ)
「ちくしょうが!」
ヴァネッサは、振り落とした丸太から手を放し、ジンに殴りかかった。
(それでは、最後に下から上に見ていこうなのうフォッフォッフォ)
「………スッ………ガン!」
(ん?何か頭に当たったような。)
「……………ッ」
顎にジンの頭をまともに食らったヴァネッサは、そのまま意識を失い倒れた。