第一話
男は困っていた。
グリーンツ王国という初めてきた国で、飯屋までの道がわからなかったからである。
さっきから飯屋の道を聞こうとしても、男の周りに全く人が寄り付ないので話すら出来ない状態だった。
でも、それは仕方ないことだった。
なぜならその男の風貌が、異常だったから萎縮し近づくに近づけないのである。
男は魔物の様な目付きをして真っ黒な鎧を着てバカデカイ剣を持っていたのだから…。
(どうしよう…
さっきから全く人と話せないし、話にいこうにも遠過ぎるし。)
男の名はジンという。
その風貌もさることながら腕前も確かだった。
この世界の住人をレベルで表すとすると平均でLv20過去に、最も強い英雄と呼ばれたドレガでもLv99なのに対し、ジンはLv400とドレガの4倍の強さがある。
しかし性格に難がある。
ジンは超ビビり・コミュ障・無口・無表情・無反応であった。
(ううっ……。
やっぱり人が誰も近くに来ない…。)
(あっ
女の人がこっちに向かって歩いてきた♪
よし、頑張って話かけてやるぜキランッ)
「…………………あの。」
「……………………?…………………ひっ!!」
「その…………めし…………や……までの………」
「キュッ」バタッ
「…………………あっ!?」
(失神しちゃったよ。どうしよう。
やっぱり自分で探すしかないか……。)
「はぁー」
ジンは、ため息をつきながらトボトボと歩いて行った。
そして、二時間位たった頃にノーム屋という飯屋を見つけた。
(やっと飯が食える!)
そしてジンは、ルンルン気分で扉を開けた。
(あれ?
いきなり店が静かになったぞ。
どうしたんだろ?)
「……………………すまん……………飯を」
(ふぅー。
最大の難関の注文もちゃんと言えたし後は飯を待つだけだな。
あそこの空いている席でも座わろ♪)
(あれれ?
周りの人が帰って行くぞ?
みんな食べ終わったのかな?
まぁいっか。)
(それにしても静かだなこの店、もう少しみんな喋ればいいのに。
おっ飯がきたきた♪
ちゃんとゆっくり噛んで食べないとな。)
ジンに運ばれてきたご飯は、何かの魔物のステーキに固いパン、そしてパンを浸すための野菜スープという典型的なご飯だった。
(うんめぇー!!
最高だなこのステーキ何の肉だろう。
パンは、スープとよく合うな♪)
(?
誰かこっちに歩いて来てるみたいだけどどうしたのかな?
そこの席にでも座るのかな?
あれ?
俺の前で止まったぞ。
早くどっか行けばいいのにうっと…………)
「おいっっ!!」
(っっ!!
何だ何だ!!)
「…………」
「おいっっ!!
聞こえてねーのか?」
(俺は何にもしていないよな。
よし落ち着け、人違いかもしれないからとりあえずとぼけてみよう)
「…………?」
「そうだよ、お前だよっ!!」
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
俺だよどうしよう。何で絡まれるんだよ。飯食ってただけじゃないかよ。
いやっまだだ!!
ただ物を尋ねたいだけかもしれないから何か様か聞いてみようガクガク)
「………何だ?」
「何だ?じゃねーよ!!
てめぇーこの店の営業妨害してんじゃねーよ」
(何で営業妨害なんだよ……)
「………」
「………じゃねーよ!!
てめぇーがいるだけでこの店に客が入んねーんだよ!!」
(いちゃもんつけられて金とか盗られるんじゃないかなガクガク
このハゲめっちゃ恐い顔してるしガクガク
どうしたらいいか聞いてみようかな。)
「…………で?」
「物分かりが悪いやつだなー。
店から出ていけって言ってるんだよ。」
(ハイハイ分かりましたよ。
出ていけばいいんでしょ。
本当にわるうごさんした。)
(ん?ハゲのおっさん鼻くそ着いてるし!
言ってあげるべきかなー?
まぁいっか。
それにしてもみんなこっち見てるし……
注目されるのは苦手なんだけどなポリポリ)
「…………………………!?
なっなんだよ
やんのかてめぇー?」
(今度はなんなんだよちょっと左手で頭かいてるだけじゃん)
「てめぇーが先に手を………………。」
(痛っ!!
籠手が頭に刺さった……………………あっ!
刺さった所を反射的に触ろうとした右手がおもいっきりおっさんの顎に入っちゃった。
おっさんのツレが逃げてく……。
まぁいっかもう食い終わったし店出るか。)
最後まで読んでくれてありがとうごさいました。