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第6話「ユキの家」
「父様、連れてきました。」
「君か。この世界に迷い込んできたと言うのは。」
二人はさも当たり前かのように話を進めているが、俺はまだ理解が出来ていないままだ。
「俺が初めてでないのですか?」
「先代の時にも似たようなことがあった。」
「先代って、もっと前からいるんですか?」
「あぁ、代々この神社には『異世界』と呼ばるところから迷い込んでくる者がいる。彼らを元の世界に帰す方法は誰にも分からない。そして、その異世界から来た者は三年で元の世界の記憶が消えてしまい、身体もこちらの環境に適応する。そうしたらこの世界の住人としてこの地で一生を過ごすことになるだろう。」
「戻る方法が分からないって...ホントに誰も知らないんですか。」
「一人だけ心当たりがある。この村の外れにある酒場の店主だ。もしかしたら力になるかもしれない。」
「じゃあ今からでもそこに!」
何かしてないと落ち着かない。そんな俺の様子を見てユキの父さんが口を開く。
「無理もない。いきなり知らない世界に連れてこられたんだ。少し休め。酒場には明日行けばいい。ユキ、二階の空き部屋を案内してやれ。」




