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VAGRANT  作者: じょう
第ニ章 ゴホード砂漠
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第二章3 『転移』



「―――それじゃ行っくよーー!!」


 戦場に向かうには少々陽気過ぎる声色でリーナが魔法陣を展開する。次第に三人の体が薄れていく。


「王様、他に仲間はいないんですか?」 


「ゴホード王国は広いが民は決して多いとは言えない。民を争いで失いたくないのだ。そして何より、私が率先して闘う事こそが王が王たり得ることだと考えている。少し離れたところに転移する、気を引き締めろ」


「そうですか、、りょーかいした!!」

 

 ニック達の視界は暗転した。


 ――――――相変わらずの満点の星空の下に転移し周りを見渡す。


「獣がやられている。ピラミッドは無事なようだ」


 カームは遺跡の無事に安堵していた。ピラミッド付近で争いの跡があり、空賊と思われる人々の遺体と飛竜の遺体があった。空賊が空賊と言われている所以は飛竜を扱っていることが由来している。


「あのワンちゃん凄い暴れたんだね」


「少し相対したが、かなり手強かった。だがやられている」


 プリメラが召喚したケルベロスに食いちぎられた者や丸こげになっている遺体があったが、そのケルベロスの首は切り落とされ胴も真っ二つに切られていた。

 突如、上空から空を割く音が聞こえ三人の目の前に何かが大きな音を立てて落ちてきた。


「よぅ、てめぇらかあの馬鹿犬を連れてきたのは」


 砂埃の中から男が姿を現した。ニックは全身から汗が吹き出る。怒気を纏った声に体が警戒を知らせていた。


「いいや、違う。貴様は何者だ」


 カームが男に名前を尋ねる。男は短髪の黒髪黒瞳で片目には十字の切り傷の跡を眼帯で隠しており見えてない。


「俺はしがない旅人だ。ちょいとそこのピラミッドで休んでたらあの犬が襲いかかってきたんだ」


「そうか、あの獣を倒す程の実力がある旅人か。名を教えてくれ」


「ジークだよ。おめぇも何でここにいる?何者だ?」


 男は気怠そうに答えながら、腰にある剣の柄に手を置く。


(ジーク?ジークって確か、、空賊の!!)

「王様!!こいつは!空賊だ!!」


「何だ、割れてんなら話が早ぇえ!!」


 ニックが声を発すると同時にジークは腰の剣を抜き振りかざした。

 ニックは空気が歪み何かが近づいてくるのを感じる。


「なんか来てる」

 

 何も目には視認できないがその歪みが何かしらの攻撃だと直感で理解する。その速さに体の反応は間に合わない。突如、目の前の景色が弾み、頭を思い切り揺さぶられた感覚の後、体が痺れながら宙に浮いていた。


「とんでもねぇ奴がいんなぁっ!!」


 遠くからジークの雄叫びと角笛を吹く音が聞こえた。ニックとリーナが、稲光を纏ったカームに担がれ先程まで目の前にいたジークから遠くに遠ざかっていた。


「リーナ、ニック、少し離れていてくれ。他の賊どもを頼む」


「りょーかい!お兄ちゃん!!」


 角笛の合図で上空で飛竜に乗り待機していた空賊が下降を始めていた。数は百はくだらない。

 身体に稲光を纏ったカームが雷速で目の前から消え、彼が通った道を稲光が知らせる。


「何だ今の!!王様の力か!!!」


「そうだよ!お兄ちゃんすっごく速くて強いんだよ!」


「王様がいなかったら今頃死んでたな。見えない斬撃か」


 ニックが感じた空気の歪みの通り道の後には、空賊と飛竜の死体が切断されていた。


「命拾いしたね盗賊さん、他の盗賊さんも倒しちゃおー!」


「だから俺は盗賊じゃねぇって!敵はあの数だ、何か打つ手があるのか!?」


「うーん、かなり厳しいけど頑張ってみる」


 瞬間の出来事に動揺を隠せないニックだったが、敵の数を目の当たりにし気持ちを切り替える。リーナの相変わらずの陽気さに不安を残しながらニックは銃を二丁構え、下降してくる飛竜に照準を合わせ射撃する。


「この距離じゃ避けられるか!!」


「ふふん、これならどうかな〜?」


 リーナは、掌を合わせ魔力を込める。そして、空に両の手を掲げる。

 夜空の星に混じり魔法陣が無数に現れた。そして、無数の魔法陣から現れたのは巨大な岩石だった。


「あん?急に暗くなったな?おわっ」


「おい!どうした!!」


「何だ何だ!!!ぐわっ」


 岩石は、命中率は高くないが物量で空賊を押し潰していた。空賊は何が起きた理解できないまま岩石の雨に押し潰され墜落していく。

 

「ほんとすげぇなその魔法。それ、何でも転移できるのか??」

 

「でしょでしょーー!!魔法陣をあらかじめ付けておいた物なら大体の物は、転移できるよ!」


 リーナは、やはり戦場には似合わない笑顔とピースでニックに答える。そして、ニックは妙案を思いつく。

 

「そうだ!!こんなことってできるか!?」 


 ――――その内容を聞いたリーナは、目を大きく開け、めちゃくちゃ嫌な顔をする。


「できるけど、嫌だなぁ〜。私ちょっと離れときたいんだけど、盗賊さん一人で大丈夫?」


「だから俺は盗賊じゃねえって!!何とかする!!」


「りょーかい!!そんじゃまたね!」


 岩石で空賊を減らしたといえ、数はまだまだ多い。リーナは後ろ髪を引かれながら、ニックの妙案の準備を始めるため転移魔法で移動した。

 

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