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第57話 「今・・・何でも・・・するって?」

「ちなみに・・・私の名前は、田中撫子と・・・言って・・・」


大和撫子と呼ばれるのには抵抗があるので、出来れば名前の方で呼んでもらいたい。

そんな私のささやかな願いは、彼らエルフの長い耳に届かなかった。


というか、エルフ達はどうして・・・私の前に平服してるのかな?


「あの・・・聞いて、いますか?」

「「「はい、もちろん拝聴してございます!大和撫子様!」」」

「・・・」


・・・私が大和撫子だから何だというのか。

異世界からの留学生・・・それだけで凄そうな気はするけれど、私に関しては本当にそれだけだ。

いったい、エルフ達の間でどんな伝わり方をしているのか・・・シィリオはこんなじゃなかったのに。


「知らなかったとはいえ、ご無礼の数々・・・どうかお許しを!」

「「どうかお許しを!!」」

「そ、それはいいから・・・事情を・・・」


このエルフ達の目的について、私はまだ何も知らないに等しい。

シィリオを連れ戻したいみたいだけど、何か事情がありそうな必死っぷり。

フィーラの件といい、彼らにどんな事情があるのか話してほしいんだけど・・・


「なんと寛大なお言葉!・・・お前たち、聞いたか?」

「「はい、ありがとうございます!!」」

「うぅ・・・したたるい」

「はい?今なんと?」

「な、何でもないです・・・り、理由を・・・話して貰えませんか?」


神様かのように私を敬ってくるのはいいんだけど・・・

ずっとこんな感じなのかと思うと、さすがに疲れてしまう。

何度か重ねて問いただすと、ようやくここに至る事情を説明してくれた。



それは、意外なほど単純で・・・ろくでもない理由だった。


「シィリオが・・・お祭りの、主役?」

「はい・・・今年は人間達を森に招いて、派手にやろうって準備してるんです」

「で、特に重要なのがシィリオの緑葉の儀・・・成人の儀式みたいなやつです」

「見ての通りシィリオは無邪気で可愛いですからね、人間達にも大人気で・・・皆楽しみにしてるんですよ」

「そ・・・そうなんだ」


姉のフィーラ・・・エルフ族と人間達との友好の橋渡しとして留学した事になってるらしい。

それに憧れたシィリオは、エルフの誰よりも積極的に人間の街へ行って交流を重ねてきたらしい。

おかげで今や近隣の街でアイドル的な人気なのだとか。


「そんなシィリオの人気を前提に、祭りの用意をしてるので・・・これがいないとなると・・・」

「皆・・・がっかり、するだろうね」

「がっかりで済めば良いんですけど、下手したら暴動が起きて・・・せっかく築いた人間達との関係が」

「人間の街から仕入れてる酒が・・・美味い食べ物が」

「・・・」


・・・それは聞かなかった事にしてあげよう。


とりあえず彼らがシィリオを連れ戻したい理由はわかった・・・たぶんだけどシィリオが次期族長に選ばれた理由も。

あと、人間との交流でエルフ達の生活が豊かになったというのも事実なんだろうね・・・それがフィーラから見て堕落に映ったのだろう事も。

たくさんの人間とエルフが楽しみにしてるお祭りかぁ・・・そう言われると・・・でもなぁ。


「俺たちエルフの問題で、身勝手な頼みなのはわかってる」

「けど、本当に人間達も楽しみに待ってる祭りなんだ!」

「俺たちに出来る事なら何でもする!だから・・・」

「今・・・何でも・・・するって?」


なんでも・・・私がそう問いかけると、3人は同時に首を振って頷いた。


「そっか・・・じゃあ・・・」


なんでもって言ったもんね、今確認もしたよ?

なので。

私は彼らに協力する代わりに、ひとつ条件を付ける事にした。


それは・・・


「・・・フィーラに、ごめんなさいする事」

「「「・・・!!!」」」


フィーラと聞いて、目に見えて3人の顔色が変わる。

けれど、こればっかりは私も容赦する気はなかった。


「なんでも・・・するって・・・嘘なの?」

「「「・・・誠心誠意謝らせていただきます!」」」


こうして私は、エルフ3人組を引き連れて・・・皆のいる学生寮に帰ったのだった。

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