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あなたは異世界に行ったら何をします?~番外へん 開店中~  作者: 深楽朱夜
あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid~器用なおっさんは異世界に行っても器用なおっさんです へん開店中〜
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器用なおっさんは異世界に行っても器用なおっさんです 第5楼 おっさん、市場へ行く

昼過ぎの《禾楼》は雑多な街という印象だ、鴎も拄魏も声掛けられ軽く挨拶ついでに幾眞の紹介もしてくれる、顔を売っておけば多少の面倒ごとも減るだろうと幾眞も笑顔で挨拶していく。

「ここが市場、奥に行くなよ」

「ああ、はぐれても探さない」

「分かりました」

市場の入り口は赤い柱がアーチ場になっている、商店街みたいだ露店が沢山並び様々な匂いが流れていく。

はぐれそうだなと思い鴎の服の裾を掴んでおく、一瞬ぎょと鴎がするが舌打ちしてそのままにさせ、拄魏が鼻で笑う、一旦拄魏は換金の為何処かへ行ってしまい、すぐに戻ってくる。

「鴎さん、米はあります?調味料も」

「ああ、あっち屋台で焼きおにぎり売るの?」

「なんだそれは?」

「めっちゃうまい」

「いえ、焼きおにぎりは手間が意外と掛るので、後しらないおっさんが握ったおにぎりは売れにくそうですし」

焼きおにぎりを気に入ったらしい鴎とピクと耳を動かす拄魏、売るならばあまり直接食べ物に触れない物が良いだろうと幾眞は思い、調味料を扱う店に連れて行って貰う。


案内して貰った店はごちゃごちゃしている、雑多な匂いと香辛料の匂い。

「なんだぁお前ら、まさか料理すんのか?」

「あん、このおっさんがすんだよ」

「拾ったおっさんだ」

「どこでおっさんなんか拾うんだ?」

店の店主は鴎達と馴染らしく結構な口の悪い美形だ、幾眞を見て首を傾げつつ幾眞は欲しい物を聞いてみる。

「こんにちは、宮本 幾眞と申します。米と辛めの調味料と砂糖と小麦粉ありますか?」

「ああ、俺は雁怠(がんたい)あんぞ。この辺」

「あ、黒砂糖がありますね」

「この辺はこれが主流だな、白いのは上の奴らが締めてる」

「そうなんですね、これと米を5㎏と小麦粉を5㎏」

「10㎏で良い、すいとん気に入ったまた食べたい」

「重くないですか?」

「これがある」

雁怠に案内された棚には大袋から小袋の黒砂糖、小麦粉は藁の袋に入れられているのでそれを5㎏と言えば拄魏がすいとんを気に入ったらしく小麦粉を追加する、懐から切り抜いた型紙を出しそれに息を吹き込めば白い鳥が現れその背中に荷物を乗せていく。

「すごい」

「式紙だ」

「拄魏は式紙の腕は街一だからな、下半身はカスだけどな」

「言えてる」

幾眞が驚き雁怠が笑い、鴎がげらげら笑っている、金を支払い屋台はいつからやるのか聞かれ一応明日からと言えば興味を示し行くと言い、結構まけてくれたので次は肉や乾燥した物を売っている場所に案内して貰う。


「ここが肉屋だ」

「よ、お2人。焼いた肉は今日は完売だ」

「初めまして、ここはブロック肉を売っているんですね」

「ああ、客の注文で切ってやるけどな」

恰幅の良い腕の太い男が大きな中華包丁なような物で、木の丸太をまな板代わりに肉を切っていく、幾眞はそれを見て成程と思いブロック肉を1つ買い、葉に包んで渡される。

「こいつは煮込みか焼きだな、鴎達んとこのやつならほれ、干し肉サービスだ」

「ありがとうございます」

礼を言い支払いを行う、次は干した果物と茶の店に連れて行って貰う。


「あら、いらっしゃい拄魏」

「ああ」

「今夜ど?」

「止めとく」

「ざんねん、鴎とそちらの素敵なおじさまは?」

「初めまして」

瓶に詰められた乾燥された植物や果物の前で悩まし気な美女が店番をしている、どうやら拄魏とそういう関係らしい堂々と誘って断る拄魏、挨拶のような物らしい。

「一番安くて量のある干し果物はありますか?」

「それならこれね、形が悪いやつとか小さすぎるやつの詰め合わせよ」

「では、それとお茶を何かおススメはありますか?」

「そうね、これかしら値段も安くて量も入っていていいわよ」

「ではそれもお願いします」

長く赤い爪で指したのは藁の袋に入れられた訳あり品なのだろう、それと勧められた茶を買う、手を振って見送られ、後は野菜売り場に向かった。


「こっちは店仕舞いだな」

「そうですね」

野菜を扱っている店は多い、野菜は粗方売れているらしく売れ残った物が多い、そんな中小さな兄弟が店番をしている野菜屋があったのでそこで足をとめた。

「こんにちは、見させてください」

「どうぞ!」

「これは、レモンですか?」

「酸っぱいよー!」

「そうですか、これ全部下さい。あとこっちは芋ですね、ではこれも」

「ありがとございます」

「ございます!」

売れ残りの緑のレモンとジャガイモとサツマイモらしい物を買い買い物を終わらせる、兄弟達は両手を使い必死に計算していたのが微笑ましいと思いつつ、式紙に荷物を預け家へと戻った。


「屋台何作るんだ?」

「明日出しますね、下準備して向こうで焼くだけにします」

「すいとん食わせろ」

「分かりました」

部屋に着いた早々の矢継ぎ早に鴎と拄魏からの催促、幾眞は苦笑いを浮かべ夕食の準備と明日の朝食の仕込みと屋台の仕込みを同時に行っていく、日本だったら許可や生活住居と分けなければならないがこの世界は良いらしい助かるなと思いつつ、すいとんの準備をし、米を研いで浸水させ、肉を焼く準備をするこのままだと臭みが出るだろう、どうやって臭みを取るか考えながら手を動かし、鴎と拄魏はソファでラジオを聞いている、今日は男性の声で街の事件や迷宮の情報を流しているようだった…。

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