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あなたは異世界に行ったら何をします?~番外へん 開店中~  作者: 深楽朱夜
あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid

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あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid〜空っぽの水槽と眠れぬ夜:後編~

「っし!クリア!このシリーズは面白いな…てまた来たのか」

「そうみたいです…」

「勝手にやっててくれ、俺次のゲームやっから」

「はい…」

夢の中またあの白い場所でゲームをしている男の元へ来ていた、男は驚きもせず手短に言いさっさと積んいるゲームの中から1本選びゲーム機へ入れてウキウキとオープニングムービーが始まるのを待っている。

視界の端には数字が浮かび5:40:08と表示され、また0になれば目が覚めるのだろう。

「……変な夢」

「夢?あー夢ね、そう思っているわけ」

「夢でしょ」

「ま、そう思うのが手っ取り早いわ。あのオーナーの性格の悪さが分るな、碌に説明もしないでお前に売ったんだろう」

「僕が買ったのは水槽です、空っぽな」

「ふうん、何を入れた?」

「何って空っぽな水槽に何も入れてないです」

男は画面に釘付けのまま悠陽に訊ねる、画面に映っているのは少し前に流行ったホラーゲームのムービーだった。

「水槽は何かを入れるものじゃん」

「オーナーは水槽を飼ってもいいって」

「は、相変わらずイカレてる。水槽に器に何かを宿らせるとは俺も考えねー器に何を入れるかが重要だと思う」

「僕は責任が持てないのでペットとかは特に…」

「ああ、それも重要な事だ。命には責任が発生する、お、このゲーム良いな綺麗だ」

「それホラーゲームですよね、綺麗だけれど怖いって」

「ホラーゲームは初めてやる」

オープニングが終わり早速ストーリーが進んでいく、男はワクワクと楽しそうにシナリオを勧め、悠陽はぼんやりそれを眺める、水槽を買って飼って……もし何かを買うなら…何が良いのかと考えていた。


「うわ!うわ!何ホラーゲームってこんなにやべーの?」

「……人気だし背景や描写の評判が良いって」

「へえ、アンタもゲームするの?」

「前はしてましたけど、今は特に何も」

「ふうん、前にやったゲームでおススメとかある?」

ぼんやりしていると時間の表記は残り30分を切っている、そのタイミングで男がホラーゲームのリアル感と描写にびくりとする、悠陽はゲームの中の事だからと淡々と画面を見ている、男から面白かったゲームを聞かれて数年前にやっていたゲームのタイトルを幾つか口にするが、興味は無さそうにゲームを行なっていた。

「ふうんへー」

「人気ないゲームだったんですけど僕は好きでした、0になりました」

「んー」

悠陽が声を掛け男はそう返事をし、ゆくっりと悠陽の意識が薄くなっていった…。


「また…同じ夢…」

ベッドから起き出せば昼前、サイドチェストに置かれた水槽を眺めて顔を洗いに向かった。

「何か飼った方がいいのかな…」

生き物は好きじゃない、責任は持てないからだ。

朝食兼昼代わりのゼリー飲料と栄養固形食品を食べてネットに繋いで、夜までの時間を適当に過ごした。


「こんばんわ」

「こんばんは…あの…」

「はい」

「変わった夢を見るんです」

「夢を見るという事は眠れているという事ですね」

「今夜も見ますか?」

「寝れば見ます」

《よろずなんでも堂》の店の中、カウンターにいた店主に今夜も夢を見るのかと訊ねればあっさりそう言われる。

「夢に持ち込み出来ますか?」

「出来ますよ」

「ゲームとかお菓子とか」

「これを1万で売りましょう、持ち込みたい物を枕元に置いてこれを身に着けて寝れば持ち込めますよ」

「買います」

自分でも何を口走っているのか非現実的過ぎるがあっさり店主は頷きカウンターしたから、ビー玉を繋げたようなブレスレットを渡され1万円を支払った。

「水槽はそのままにしておくんですか?」

「…はい、何を飼いたいか分からなくて…」

「そうですか、お茶をどうぞサービスです」

「ありがとうございます」

店主が青いお茶の瓶を出して受け取る、悠陽は頭を下げて家へと戻った。


「また来たのか、あのホラーゲーム微妙だった。結末がつまんなかった」

「そうですか、これ僕がやったゲームよければどうぞ。後、お菓子…食べても良いですか?」

「へぁ?いいのかよ!あのオーナー気がきかねぇからこういう余計なものくれないんだ。これチョコってやつ?こちはポテトチップってやつか?」

腕にはブレスレット、紙袋を抱えて夢の中…おかしな話だけどちゃんと言われた通りに持ち込めた、見せてみると思いの外食いついてくれたので少し楽しい。

「お前俺にして欲しい事とかないのか?」

「ないです…でも名前を教えてください」

「ふうん、名前ね。俺に名前はないあれは《アイネクライ》」

「…アイネって呼んでも良いですか?僕はぼんやり過ごしていますから、食べてゲームして下さい。また持って来ます」

「好きにしたら、欲のないやつだな、俺に願えば叶うかもしれないぞ」

「特には」

「そうかよ」

彼はお菓子を食べ満足している、名前を訊ねれば地球儀もどきを指して《アイネクライ》と言うのでそこからアイネと…でも、その名を呼ぶ回数は少ない昔から人の名を呼ぶ事が少ない悠陽だ、彼の機嫌が良いまたお菓子を持って来よう。

「これって、2人でもやれるゲームか」

「1人でも楽しめますよ」

「ふうん、何かを作ったり旅をするゲームが好きなのか?」

昔やっていたゲーム達改めてそう言われると居心地が悪い、島で暮らしたり仲間と旅をするゲームばかりだった、複数でやった方が面白いゲームとかもあるが1人でやっても充分面白い、男はゲームを始め悠陽はぼんやりと過ごした。


そうして奇妙な夢の時間に慣れ、男との正しく夢の時間は2年を経過していた。

「んだよ、その技」

「裏技」

「ったく、手加減しろよ」

「しない」

2年で砕けた会話、ゲーミングチェアを並べて格闘ゲームをする仲になりテーブルにはお菓子が並ぶ、相も変わらず大きな地球儀もどきは青と白でゆっくりと回っていった。

「休憩、これ酒か?」

「そう、僕20歳になったから飲んでみたくて」

「ふうん…にが」

テーブルに置かれた缶の甘めの酒を手に取り飲んでみれば顔を顰める、悠陽は先に飲まないでと他の酒を手に取り飲めばそれほど美味くも感じない。

「おめでと」

「ありがと」

「最近眠れてるんじゃね」

「うん、おかげさまで」

「ふうん」

酒を呑み交わしながらいつもの様に取り留めのない話しをし、時間が0になり意識が遠ざかる…。


「あの、夢の中であそこに行けないんです」

「おめでとうございます、眠れるようになったからですよ。あの水槽どうします?100万円で引き取りますよ」

20歳を過ぎ夜眠れるようになった悠陽、それからあの男の元へ行けなくなり《よろずなんでも堂》へ赴けば会った頃から何も変わらないオーナーが嗤って出迎えてくれた。

「え…」

「貴方が見たのは夢、眠れぬ夜に見た夢、それだけです」

「あ…うそ…ちが…僕は…」

「空っぽの水槽から貴方は夢を繋げたその先で神と遊んだだけです」

「か…み?」

「退屈していた神の元へ退屈したいた貴方が行っただけです、でも貴方は眠れるようになり退屈から遠ざかった」

オーナーの声に膝から崩れる、ずっとずっと夢を通じて続く物だと思っていた、もう会えない事が分かり悠陽は…寂しさを感じる。

「そのうち忘れます…が、あの方から貴方に二十歳のお祝いを預かっています。受け渡しの報酬は貰っていますからどうぞ、初めて創った物だからと言ってました」

「金魚?もう1度会いたいんです!お願いです、会わせて下さい」

「方法は無くはないですが…片道切符ですね」

カウンターの下から出て来たのは金魚鉢に入れられた赤い綺麗な金魚、違う、思い出や彼と過ごした時間の何かが欲しい訳ではない、いつも通り夢で彼とゲームをしたりおちゃべりをしたりお菓子を食べて他愛もない話しがしたいだけだった。

オーナーの淡々とした声、片道切符というのは行ったら戻って来られないという事だろう。

「行きます、ここに戻って来られなくても構いません」

「貴方はそういうでしょうね、あちらから3年忘れられなかったらもう1度同じ選択を提示するように言われています。貴方がこれから3年間神を忘れなければもう1度提示しましょう、片道切符を」

「分かりました…その間彼にゲームやお菓子を送って貰えますか?」

「構いませんよ、ですが無料でとはいきません」

「はい」

「此処でバイトして下さい、給料も支払いますよ」

「分かりました」

悠陽は頷く、此処でバイトが出来ればより彼を忘れない筈、3年…長い…金魚鉢を貰い明日から来るようにと言われ頷いて家へと戻った。


「オーナーは普通の水で良いって、食事も嗜好品程度って何でも良いって…」

空っぽの水槽に水を張り、金魚を移し替える水と金魚しかいない物寂しい水槽だが空っぽでは無くなった。

「君の名はアイネ…絶対に忘れない、待っていてアイネ」

水槽を眺め悠陽は誓う、何時の日にかまた彼と他愛のない話しやゲームをしお菓子を食べる…細やかな願いを叶える為に…。


「いいんだ…忘れとけ、俺の寂しがお前を呼んじまった…ごめん悠陽…でももしも…俺を忘れないでいてくれたら…その時はまた一緒にゲームをしよう…」



                              いつかへ続く…


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