あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid~千回目の絶望と失望と嘆きの果ての先~
記念すべき千回目、憎悪すべき千回目、失望も嘆きも歓喜も涙もやり尽くして迎えた千回目…僕……不動 冴は千回目の初めましての洗礼を召喚されたイカれた世界という世界で受けていた…。
「始めまして!俺は明音 永暁異世界に召喚されてこうして同じ宿命を背負った者同士ヨロシクな」
「わ、私は百樹 羽歌といいます!精一杯この世界を救う為にがんばります!」
「……………」
千回目……の初対面の2人の笑顔、初々しくて異世界に転移し興奮し赤らむあどけなさなの残る16歳の永君と18歳の羽歌さん…そして17歳の肉体の僕…本当は今僕は何歳なんだろう?
「あの?」
「えと…」
「3人の勇者様、召喚に応じて下さりありがとうございます。改めて礼と今後の話を…」
耳障りで不愉快な男の声今すぐ殺したい所だけれどまだ準備は整っていない、見慣れた腹が出たオッサンと杖を持ったじーさんと、胸に脳ミソの養分迄回ったビッチ、僕達をこの世界に333人の罪無き人々の命を犠牲にして召喚した諸悪の権現のグズ共、準備が出来たら殺す、この世界の神も殺す。
僕は魔王達を殺しに2人を置いて行く、転移だ便利だ魔法ってスキルって凄いよね。
「あ、あのどちらに?」
「お待ち下さい」
そうそうそうやって最初は下手に出て歓迎してくれて…本当は腹黒ど畜生共、お前達にはきっちり地獄をプレゼントしてあげる、魔王達を殺したその後に…。
戸惑う永君と羽歌さんを置いて、これからこの世界に巣食う魔王333体全員皆殺しにしていく、多い…多い…多すぎると思うんだけど…実際人類と敵対している魔王は33体だけ、人類と仲良く子供とか作っている魔王もいる…全員殺すけどね。
友達になった魔王も死闘を繰り広げた魔王も僕達を殺した魔王も、無抵抗な魔王も殺す…999回の先に僕は壊れた…最初から壊れていたのかな…分かんないや。
元々日本でバイトをしながらの実家暮らしの17歳、高校には行っていない小学生の時からの不登校で親は僕に興味が無かった、僕はゲームやアニメやファンタジー小説が好きな只の引き籠り、15歳になって学校に行かないのなら金を稼いで来いと言われバイトを始めた、金さえ入れれば親は何も言わないから楽だった…帰りたい?そう聞かれればもちろんと即答出来たのは、400回目のやり直し位迄だった。
あ、さっそく魔王がいた、僕は決めている事がある魔王を殺す時は彼らのスキルを使って殺す事にしている僕のスキルは殺した者の魔法やスキルを奪える、キャンセルも出来るけどそれで…死ねば転移された時に戻る…記憶と能力を引き継ぐ…そうこれも魔王のスキル…だからこれを解っている魔王もいる…。
「こんにちわ…さようなら」
この大陸におよそ50体の魔王がいるもう僕の事に気付いて動き出そうとしている…気配…遅い、大陸がなくなるけれど時間が惜しい。
「〘無に帰せ果てろ〙」
自分を護る為の羽を24枚出す、他の場所から攻撃が来るだろうからそれらを全てカウンターで返せる便利なスキル、これを持つ魔王と戦った時は大変だったなぁ…130回位挑戦してやっと勝てた…これはとても便利。
大陸が焼失し魔王50体の気配が消えた、そして他からの攻撃がああこれ助かる88体の魔王達からの攻撃一気に消せる、ありがとう、カウンターに100倍の攻撃力を掛けて返せるのも他の魔王のお陰、みんなありがとう、みんなの強さがみんなを殺す。
88体の魔王の気配が焼失、次は頭上に幾つもの輪を生み出し…それを飛ばして…遠隔で殺していく細切れだそれで30体、魔王って弱いんだよ強いのは本当に一部の魔王だけ…それでもこの世界は人が優位に立つ為にこうして異世界人を召喚する、永君と羽歌さんと歩いた道、道中で出来た仲間達と旅した跡も消えていく…飽き飽きしていたんだ、綺麗に無くってくれた方が良い、次は空に手を翳し空から文字通りの血の雨を降らす猛毒の雨、これで消える魔王は44体。
そろそろ強い魔王ばかり残っているだろうけれど何の心配も無い、残り121体収納空間から嘗て彼らが使っていた武器を出す、持ち主に返してあげよう、沢山あるから、ループして振り出しに戻っても収納空間の中身も引き継げる、これも魔王のスキル…みんな器用だね、ありがとう。
返した武器に色々仕込んで…そして生き残った魔王は66体か…だろうね、人類を玩具にしていた側が今度は玩具にされる側だね。
「不動」
「ああ、こんにちわ。死んで」
ループしている事を理解している魔王、僕にとっての恩人である魔王が転移で現れるがごめんね、死んでねさようなら、空間転移簒奪スキルで魔王の内部の核と心臓を出し破壊すれば灰になって消える。
魔王の灰はその場で留まり…残り1体を残し64体の魔王が現れた、少しでも生き延びたければ組んだ方がマシかもね、まあ何回目だっけ魔王が組んだ時もあったね。
「こんにちわ、じゃあ殺すね」
魔王達が放つ全ての攻撃魔法をカウンターで返す、面倒だからついでに空間転移簒奪スキルで64体の魔王の核と心臓を抉り灰にした。
「はい、あと1匹」
場所は知っている、狡猾でずるい魔王だけれど何回も殺しているから大丈夫、魔王達は楽に殺してあげよう記念すべきそして憎むべき千回目記念にね。
「こんにちわ」
「ふ、不動…」
「うん、来たよ。さ、死んでね。この世界の神も殺すからもう誰も繰り返す事はないよ、安心してね」
「くるっているああぁぁあぁああ!!!!!!」
「知っているよ、そんな事。さようなら」
最後の魔王の住処、この魔王も記憶を引き継いでいる僕の名前を呼び怯える、大丈夫大丈夫すぐ済むから。
最後の魔王は小さな子供姿をしていた、永君や羽歌さんが躊躇って何度も殺された相手、可愛いんだよね近づいて腕を伸ばし身体強化で魔王の体内に腕を突き立て、心臓と核を掴み握り潰して灰にした。
「早く終わって良かった…戻ろう」
みんなありがとう、みんなのお陰で強くなった。
「戻って来たのか!?」
「きゃ、きゃぁ!その血は?」
あれから数時間、召喚の間できっと説明を延々と聞かされていたんだろう、魔王の赤い血で濡れる僕の身体を心配する永君と羽歌さん優しいなぁ……拗れて捩じれて殺し合いもしたけれど、やっぱり仲間だもんね。
「魔王はみんな僕が殺しました」
「明音永暁さん、百樹羽歌おつかれさまでした。もう日本に戻れます」
魔王を333体殺した特典、ちゃんとあったんだ、大体のファンタジーって騙されて帰れないパターンが多いよね、でも帰れるだ僕は帰らないけれど…好きな漫画の結末知りたかったなー打ち切りになっちゃって最終話手前で転移されたからそれだけかな未練は。
1回だけの帰還の魔術を発動させる、魔法陣が2人の足元に発動させる時間が少し掛かるけれどこの陣に入れば出る事は出来ない。
「ほ、ほんとうか!?待ってくれ!異世界人には使い途が…あが…」
「333体全員殺しました、じゃこれあげる」
ウザイ腹が出た国王が驚き唾をまき散らすから剣を口の中に突き立て灼く、悲鳴が上がり兵士達が外から雪崩れ込んでくるから…氷漬けにした、氷化魔法で室内が寒くなるけれど2人は影響を受けない。
「いぁぁあ!お父様!」
「陛下!?」
「まだ死んでいない」
悲鳴を上げるビッチとおっさん、まずビッチからね。
「このおっさんは生きているよ、もっと苦しませたいからまだまだ灼くのと同時に高速回復でいったりきたりしているよ、ノルテンシエナ君の声ずっと不愉快だったし…そうだなぁ君は…うん」
自分の美貌を鼻に掛け自分より綺麗な女性には惨い事をし、顔の良い男性は無理やりハーレムに加え、抵抗すれば家族や恋人命じて殺す悪女、何度も羽歌さんはこのゴミ女の罠に掛けられ酷い目に遭わされた…ごめんなさい…羽歌さん。
「おばあちゃんになろうね」
若さを奪うスキル、時間吸収を使いノルテンシエナの時間を吸収し干からびたおばあちゃんの姿に変えた、綺麗なドレスや宝石がミイラみたいな身体から滑り落ちる。
「最後はお前、お前は生きたまま地獄へ、さようなら」
「ひぃ!た、たすけて」
「いや」
そして最後はこの国の神官、全ての元凶の元…この世界は天国と地獄があるんだ、それもすぐに滅茶苦茶になるから安心してね、地面から気味の悪い扉が出現し開かれれば魑魅魍魎達が手を出し神官の爺さんが呑み込まれ扉が消えて行く、よしこれで殆ど終わり。
「この世界での記憶は消えます、忘却魔法で僕が消しますから大丈夫です。それとすみません、どうしてもお2人の魔法とスキルは消すことが出来ませんでした…ごめんなさい、でも使う為に記憶がなければ使えないと思うので安心してください」
「帰らないのか?」
「そうですよ!?よ、よく分かりませんが帰りましょう」
「無理なんです、この魔法は術者が残らないと発動しないんです。日本に未練はないので僕は帰りません…帰りたくない」
「そんな…」
「ありがとうございます…」
「こちらこそ…ありがとうございます」
僕は深々頭を下げる、こちらこそ2人逢えて良かった、2人を日本に返したいその気持ちだけで千回目まで来れた、忘却魔法を発動させる…羽歌さんへの忘却魔法は発動が上手く行った…戻れる時間も転移した時と変わらない場所へ戻れる…けれど永君の方の忘却魔法が上手く発動しない。
「冴…?冴…」
「記憶が…」
『ノロイ…マオウ333タイノノロイ…』
「……弱い魔王達の癖に余計な事を」
声が聞こえる魔王達の声、永君の記憶が消せない様にしたのか…どうする?もう1度死ぬ…か。
[魔王333体殺害により空間固定、時間固定、時間遡行を拒否。尚、この世界での貴方の死は認められません]
「……よくも」
流石の僕もそれには怒る、弱い魔王達がよってたかって僕の邪魔をする。
「千回、俺達は……」
永君の記憶の放流が始まった、駄目だ…もう止まらない。
「さようなら」
日本に帰れば何も出来ない、混乱やパニックが彼を襲うだろうけれど冷静と並列思考のスキルが彼を平常と日常に戻してくれるだろう。
そうして此処に僕以外はいなくなった、冴と僕の名を呼ぶ永君…聞けて良かったのかもしれない。
「じゃ、神様殺しにいこう」
《アーシマクト》の外の世界…宇宙だ、羽を出して空を超えて宇宙からみる《マーシアクト》は…不気味な姿をしていた。
丸い球体に海や大陸が存在する、僕が壊したから大陸の形は歪だ、問題はその球体を膜で覆いその上に上半身女性の姿の神が眼を閉じ微睡んでいた。
女性の下半身が《マーシアクト》、上半身は神と呼ばれる世界を運用する器官のような物、最初みた時綺麗だと思ったけど…今は気持ち悪く感じる。
両腕を広げ微笑む神に向けて僕は魔力で構築した銃を額に放つ、これで終わり意外と神様って脆いんだよね、さようなら神様。
甲高い悲鳴を上げて…そして神は死んだ…下半身の《アーシアクト》が濁っていく、もう何も見えない世界が終わった。
「おやすみ、さようなら…バイバイ」
僕が死んでももう、《アーシアクト》には行かない…そうしていれば勝手に僕のステータス画面が浮かぶ、本当にゲームみたいだね。
[神殺しおめでとうございます、貴方もまた神モドキとなりました。特殊スキル《異界渡り》が使用可能となりました。宇宙を同じくする世界ならば自由に移動可能です]
「そっか、僕は何処にでも行けるのか…行ってみよう…か新しい異世界へ」
僕は行く事にした、《マーシアクト》でもなく日本でもない異世界へ…。
「初めまして、こんにちわ。僕は不動 冴です」
ではまたお会いしましょう…不動 冴でした…
「流れ星ですね」
「見えなかったぞ」
夜の星空の下歩く、蒐集家と大河。
夜に材料が無くなった薬草の採取をしている時に夜空を見上げた蒐集家が囁く、大河も見ていたが大河には見えなかった。
「この世界で流れ星を見られる者はイカれているんですよ、イカれているから見られるんです」
「お前もイカれていると言う事か?」
「そう思っていないんですか?」
「……」
蒐集家が嗤う、大河は採取を行う。
蒐集家は声に出さず唇でゆっくりと『おめでとう』と囁いた…。




