あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid~死よりも遠い場所にて~
死にたい…死にたい…死にたくて仕方ない…傷だらけの身体、自分を否定する両親、面倒ごとは御免だと目を逸らす教師、気に食わないと殴る同級生たちと金持ちだだからとカツアゲをしてくる塾の奴らと…うんざりだだから死ぬ。
「学校はもういいや…」
私立のそれなりに偏差値のある高校のトップの成績、テストの結果がだけが物を言う縮図…勉強しかする事がないから勉強そしていた、成績が良ければ両親は何も言わないが同級生達からは悲惨ないじめを受ける、夏でももう半袖を着る事が出来ない跡、成績だけが大事で良い大学さえ行けばいいのか…なんだろう何で生きているのか…朝の通勤通学の電車に飛び込めば良いのか衝動的に…いや、家族や学校に迷惑を掛けても良いが他人に迷惑を掛けるの違うと思い反対側の電車に乗り込む。
遺書は用意した、暫く学校が騒がしくなる位だ、死にたいがただ死ぬのは嫌だなと思い、自分に暴行を加えた同級生、見て見ぬ振りをした教師、成績が少しでも下がれば何時間でも説教し食事を与えない両親、人の財布から金を奪い笑う塾の奴らのボイスレコーダーも置き土産に適当なビルから飛び降りるつもりだ。
全員地獄に叩き落して死ぬ方が面白いと思う。
どうせ死ぬなら死にたいなら面白い方に転ぶ方が良い、今日は17歳の誕生日だだから今日死ぬのが良い。
「………」
電車に揺られ周囲を見渡せば駅を通り過ぎるに連れ人が減る、終点まではまだまだ遠い都心は人が多い逆は少ないそんな当たり前の事だ。
色々考えた家で死ぬもの良いし、学校で死ぬのも良いかと思ったが死ぬ場所は知らない場所の方が良いかと家や学校だと遺書とボイスレコーダーが警察に見つかる前に奪われるかもしれないからだ、保身を大事にする学校や外面の良い両親、死因は勉強や成績の維持に疲れ果てた故の自殺とされてしまうと思ったからだ…。
思考が止まらない考えの海に呑まれる、ずっとずっと勉強であまり眠れていない思考が纏まらない眼を閉じ終点まで寝ていよう……。
「今どこだろう…」
どれくらい寝ていたのか腕時計は10時過ぎを指す、電車は走っていない止まっている…駅ではないドアは閉まっていた…。
「え?」
外は見慣れる花が咲く場所…蝶々が舞う…窓の外を見て驚く…そんな…寝ていたら誰か運んだ?現実じゃない、夢だろう夢である筈…。
「夢だ…おかしいこんなの…携帯は……圏外…で電車は…誰も乗ってない…この車両しか…ないそんな…はは…異世界?だってどうして…なんで…おかしいよこんなの…」
何で電車ごと…と、勉強ばかりで漫画やゲームも小学校迄しか見てないしやってない、本を読むとしても文学小説か推理物位だ…。
「寝る?戻るかもしれない、リアルな夢……痛い…くない…?え?」
ブレザーの上から腕を強く掴む傷が痛い筈だが痛くない、ブレザー脱いでシャツを捲れば綺麗な物だった…・
「あ、はは…なんだ僕、死んだんだ…傷も無いし…そっかそっかこれって死後の世界か。それなら…いいか」
実は飛び降り自殺を図り記憶が抜けていて此処がもう死後だと、それならこの状況が分る。
「もしかして電車に飛び込んだのかも…それならこの車両が此処にあるのも納得できる、遺書とボイスレコーダーも一緒にあの世にあるのも納得……うんしよう、ここが死後の世界か…歩こうかな。開閉ボタンも…開く…電気無いのに」
外は綺麗な花畑と蝶々、開閉ボタンを試しに押せばあっさり開く、電気とかどうなっているのか分からないが一緒に死後の世界に来たのだ、今は深い事は考えない。
何かあった所でもう死んでいるんだ怖い物はない、足を降ろした地面は柔らかい、振り返れば銀色の車両、いつも使っいる電車が頼もしく見える。
「土柔らかい…綺麗な場所…」
少し歩けば蝶は舞い花の良い香りがする、身体は軽い走ってしまうザザ…花には申し訳ないが花が散ってしまうが走ってしまう。
「湖?大きい…綺麗」
暫く走ると大きな湖に辿り着く、のぞき込めば透明で底が見える程に透明度があるキラキラと光る底には石?水晶のような物が沢山ある綺麗だ死後の世界はこんなにも美しい…。
「喉乾いた…飲もう、死んでるけど喉も乾くんだ…水が毒でもいいや…綺麗…」
冷えた綺麗な湖の水を両手で掬ってゴクゴクと飲む、美味しい甘みもある…。
「おいしいなぁ…」
目を細める、ああ…死んだ後に生きている実感が湧くのは何故だろう…。
「石…綺麗だなぁ」
暫くぼんやり湖の中に置かれた石を眺める……小学校までは喘息気味だったから水泳教室に通っていた……泳ぐのは好きだ、潜水もいける…。
「泳ごうかな、誰もしないし、もう死んでるし…あの石欲しいな」
おもむろに服を全て脱いで準備体操を念入りに行う、湖に入れば冷たい…が耐えきれない事もない息を深く吸って飛び込む……。
「え?息が出来る…すごい…これなら…」
一旦表面に顔を出して立ち泳ぎをして湖の中で息が出来る事に驚く、幾らでも水の中に潜っていられる…口も鼻でも呼吸が楽だと再び潜り意外と深くない底で水晶を掴んでみればポロリと軽く採れるし水の中のせいか軽く感両手に持てるだけ持って服の側に置きまた潜る、青やオレンジや赤や緑や透明な水晶や小振りな石…気になった物全て持って上がる。
「たくさんとった…」
気が付けば小さな山になってるので湖から引き上げれば身体に水滴は無い、不思議だ…また制服を着てその山を眺めた。
「綺麗…お腹空いたな…」
両親は2人とも仕事をし弁当などは無い、金を渡されそれで昼食と塾の前の食事買う……その金もしょっちゅうカツアゲされていたが…なのでカバンの中には食料はない……。
「花食べられるかな…」
試しに咲いている花を食べてみる、味は薄いが塩気を感じる呑み込めない事もない。
「……んーんー……」
死んでいるからこそ此処迄無防備に出来てしまう、足りない……ふと水晶が視界に入りちょっとした好奇心で舐めてみる甘い…少し歯を立ててみれば簡単に砕けて口に入れれば美味しい。
「え、何これ!美味しい!!すごいこの透明なのは甘い、この赤いのは辛い、このオレンジは果物っぽい…はぁ死後の世界の物っておいしいんだ…気が付けば取って来た山は無くなりお腹もいっぱいになった。
「お腹もいっぱいだし、戻って寝よう……」
立ち上がり車両に戻る、あそこが今日から家だ、考える事はあるかもしれないけれど今はこれで良い…。
それではまたお会いしましょう………でした…。