38 薬作り
朝、起きて伸びを1つしベッドから起き上がる、今日は薬を作ってみようと朝食の支度を行う、昨夜掛けたタペストリーか鮮やかに視界に入る。
焼いた魚の切り身とスープと飯、濃い茶を用意して食べる、日本にいた時よりも良く食べている。
朝食を終え、薬用の入れ物も沢山あるので本を読みながら鑑定を使いやっていこうかと作業台に向かう。
「先ずは…傷薬」
ベースは清潔な水と傷に効く薬草を数種類混ぜて、ドロップ品で出た道具を使いすり鉢で混ぜていく……ワセリンの様なクリームに混ぜて固めてみたい…、ドロップ品で出た植物性の油と水に混ぜると粘度が出る粉、これもドロップ品で出た物だ平たくした回すタイプの蓋の入れ物に粘度の粉と薬草を混ぜた物を混ぜて注いで固まるまで置いておく。
次はそれと同じ用量で火傷の薬やハンドクリーム等塗り薬を作っていく、鑑定にも効果有りと出るので……色々組み合わせていく。
「…栄養ドリンク…サプリ?…も出来る…」
効能や効果、体内に摂りいれられるかどうか鑑定で見れば栄養ドリンクやサプリなんかも作れそうだ。
造る過程が面白い、黙々と脳内で足し算かけ算を行い薬を作っていった。
没頭し過ぎて気はが付けば夜、昼を食べず飲まず食わずで作っていたので本日の作業を止めて風呂にはいる、花と薬草の入浴剤を入れてゆっくり時間を掛けて入れば広くして正解だと寛ぎ長めに入った。
夕食は魚のフライサンドイッチと具沢山すいとんスープとお茶にし、夜食に干した肉と果物と果実水を並べ読書を行い静かに夜を過ごした。
朝…今日はこの場所を引き上げ、新しい街に行こうか、また新しい森にも行きたい。
スープとキノコと野菜蒸しにパンを食べ身支度を整え歩く事にした。
「右…」
適当に拾った棒を倒し適当に進む、身軽だ軽すぎる。
自然が多い世界、本によればドラゴンも精霊も妖精も古代種という存在もいるらしい…別に会いたいと思わない、平和?平穏?静かに暮らせればそれで良い。
「右…」
分かれ道とも言えない道を進んで行く、抜ければ寂れた…遺棄された村がそこにあった…。
「……………」
人の気配のない打ち捨てられたあばら屋ばかりの村とも言えない集落、鑑定してみれば 遺棄された村:疫病で亡くなった人々を弔い移住した 住んでいる者はいないです。
「…………」
人の気配は無い、打ち捨てられて大分経った家屋、しばし周囲を歩く、畑の跡があり農村だったのだろう、10分歩けば一周してしまう小ささだ。
「…………」
見慣れない植物を採取し外れの大きな木の下に行けば岩の墓が並んでいた、文字等は無く岩が並べられていいる、この世界は土葬か火葬が主で疫病の場合は火葬だと本に書かれていた。
「……………」
柄にもない事をと思いながら大きな木から少し距離を離した場所に木を産み出して花を咲かせる、白い花の木…ジラという花らしい、環境が整っていれば割りと簡単に咲く花で薬の材料にもなる花だと本に書かれていたので植えておく。
「…………」
手を合わせて…村を出る、歩くのも飽きたので転移で適当な街の手前に転移した…。
「ようこそ《エモスド》へ入街料1,000ログです」
まだ午後を過ぎた位だ、適当な街に入り金を支払いふらふらと観光した。
旅人が多いらしく、広場で古市場の様な物々交換等しているらしいので行って見る事にした。
「………」
広場に行くと賑やかで屋台も出ている、茣蓙に適当に品を並べて皆が見ている、所謂フリーマーケットだ毎日入れ替わり立ち替わり行わなれているらしい。
久しぶりの感覚だ、ギーギスに会った時もこんな雰囲気だった。
本はタイトルは目についた端から買い、旅先で手に入れた植物の種や苗も購入する。
青い布が綺麗だったのでそれも買い、ふらふらしていると綺麗な歌声と音楽に足を止めた。
うす緑色の髪が印象的な青年が幾人かに囲まれ歌を披露している様だ、吟遊詩人といった風情だ。
見馴れぬ楽器…ウクレレに使い物を鳴らし、朗々と歌を披露する、思わずその場で聞き入り3、4曲で歌が終わり足元に置かれた帽子に皆コインを投げる、こういうのは世界が変われども変わらないと1万ログコインを放った。
吟遊詩人は目をぱちくりとさせたがにこりと笑い、帽子を拾い丁寧に頭を下げた。
此方は特に気にせず買い物を再開する、本や布、細工物、革、紐等を買い市場を出る。
この世界は旅人が多い…これは大分後になって知った事だが人間は産まれた場所に居着く、他の種族は旅をする傾向が強いらしい。
人の型をした人ではない種族は寿命が長い、ちっとやそっとで病気にもならないし魔力も豊富だし売買で金を稼ぐ、冒険者の様な職業にも就く者も少ないと……。
寿命が長い者は旅をし金を稼げ、その場所で大して価値がない物でも他の場所では大金を産む場合があるからだと…。
それを聞いた時、思ったのはどんな種族でも人に近い型をしていれば金が必要なんだと、稼ぎ使い…経済を回しているんだとそんな感想を抱いた…。